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第四話

第四話です。

ではどうぞ。

「料理ですか?」

「そう、ネメシスって料理できる?」

「はい、人並みには」

「良かった。私は料理全然できなくてさ、執事がいなくなってからは野菜とか茹でたりして食べてて」

私の場合は長の護衛兼世話役だったため、料理の技もたたきこまれている。


今、約一週間分程の食料の買い出しに来ている。

外の世界を見に行こうというのは一体どういうことなのか。


私は周囲を見渡した。

そこでは、多くの人たちが店で買い物をしていたり、椅子に座って話をしていたり。

誰もが笑顔で楽しそうだった。

私にはその光景がまるで、同じ表情を貼り付けた人形たちが動いているように見えた。



私はそれらに不快感を覚えた。



すると突然、視界がグニャリと歪んだ。、

頭がグラグラと揺れる錯覚に陥る。

視野が少しずつ暗くなり、胃から逆流しそうになる気持ち悪さに耐えきれなかった私は、まっすぐ歩くことすらできず、その場にしゃがみ込んでしまった。



「ネメシス? え、ちょっと顔が真っ青じゃないか! あそこの椅子で少し休憩しよう」



「飲み物買ってきたよ。これで少しは楽になれるといいんだけど」

ヘリオス様が近くのお店で購入してきた飲み物を飲むと、先程よりは気分が良くなった。

「もう大丈夫です。申し訳ありません」

「謝らなくていいよ。でも急にどうしたんだろう? 疲れてるのかな?」

恐らくそうでないことは自分がよくわかっている。

この感覚は、お屋敷でヘリオス様の顔を始めてみたときと近いものを感じた。


周りと自分の間にある大きな隔たり、とてつもない孤独感、程遠く感じる距離。

それらは人を殺すよりも苦しく、辛い。


なぜ今になってそう思うのだろう。


「私とあなたたちとは何かが決定的に違うものがあるように思えます。なぜあなたたちは、そんなに楽しそうなのか。どうしてそんなに笑顔なのか。私にはそれがわからない……違和感を感じてしまうのです」

私がそういうと、ヘリオス様は何かを考える仕草をした後、私の背後へ回り、サッと私の両目を覆った。視界が一瞬で暗くなる。

「びっくりした?」

「いえ、それほど」

「えーつまんないの」

不貞腐れたような返事が返ってきた。


「きっと君は今ね、こんな状態なんだよ」


視界が塞がれ真っ暗の中、ヘリオス様の声だけが聞こえる。

何も見えないからか、ヘリオス様の甘い声色が脳に直接響いてくる。そのような感覚に私は不思議と不快ではなかった。

「私にとっての『普通』とネメシスの『普通』は違う。人間は皆そうだ。そしてネメシスにとっては、今のように真っ暗で何も見えない世界が『普通』なのだろう。だけど、私にとっての『普通』はこれだよ」

パッと視界がひらけて、陽の光が急に入ってきたことにより、目を瞑ってしまう。そして目を開けると人間たちの笑顔の光景が瞬く間に広がる。

「きっと君は視野が狭いんだ。けど心配することはない」

タタタと私の目の前に立ち、視界を遮った。

「これから、もっと外の世界を……沢山の人達の『普通』を知っていけばいいんだよ」

彼の笑った顔は、背後で燦々と照る太陽のように輝いて見えた。

ああ、そうだ。



この人たちは眩しいのだ。

目が眩むほどに。



真っ暗で、凍えるほど寒い。

私が生きていたそんな世界とはまるで別物。

この人は眩しく、そして氷のように冷たい人たちの心も温め、溶かしてくれるような……そんな力を持っていると感じた。


「今日はもう帰ろうか」


差し出されたヘリオス様の手をとる。


考えたことなかった。いや違う。

考えようとしなかったのだ。

人という生き物がどれだけ眩しく、尊い存在なのか。

初めてだった。


彼らのことを――――彼のことをもっと知りたいと思ったのは。


第四話どうでしたか?

改善点、高評価よろしくお願いします。

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