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第三話

第三話です。

ではどうぞ。

彼はヘリオス・ルミナと名乗った。

母は彼が小さかったときに他界、父は企業の社長についており、2つ下の弟のクロノスは将来父のあとを継ぐため日々勉学に励んでいる。

家族は三人だが、父は病のため入院、セレヌスは遠い学校の寮で暮らしているので、実質この家では彼一人で生活している。

もちろん今まで執事もいたが、長男であるヘリオスの命が狙われているとわかった以上、危険を避けるため全員解雇したそうだ。

そんな他愛もない会話をしながら片付けていたら、荒れ果てていた部屋はすっかり綺麗になった。

「いやあ、助かったよ。一人で片付けようと思ってもなかなか腰が上がらなくてね。ありがとう。えっと……」

「……?」

「名前だよ。父からは護衛の人が来るとしか聞いていないんだ」

「ネメシスと申します」

「ネメシスってあの『終焉の眠り姫』?」

「世間からはそう言われております」



ヘリオスの顔から笑顔がスッと消えた。

そして。




「私が怖いですか?」




「そんなことは……」

「手」

私がそう言うとヘリオスは手を後ろへ隠した。

「微かに手が震えています。脈絡も先程より早くなっている。それが恐怖という感情なのでしょう?」

今まで私が殺した人たちもそうだった。

私が名乗ると皆同じ反応を示した。

これから自身の身に起こることへの恐怖、目の前で仲間が殺されたときの怒りや憎しみ。

私にはよくわからないが、良いことではないことだけはわかる。

                                   ・・・・・・

「そこまで言われると参ったね。少し恐怖を感じたのは確かだよ。でもそれは君に対してで

・・・

はない」



首を傾げた私を見て察したのか、彼は笑みを浮かべた。

「いいや、なんでもないよ。それに『終焉の眠り姫』は顔は知られてはいないよね。そして、名乗れば誰だって、君のことだとわかる。しかし、君は私に躊躇なく名を名乗った。それはなぜ?」

「名を名乗ってはならないと言われてはいないので」

「でも、名乗れとも言われていないんだろう?」

「私はただ、ヘリオス様が私の名を聞いたので、答えたまでであります」



私に自分の意思で何かをするという概念はない。

『言われたとおりにやれ』

これが長の教えだ。

私はこれに従うまで。

私はそう答えた。



「そう」

小さく、誰に言うわけでもないたった一言を、息を吐くように呟いた。

これに座って、と木製の椅子に座らされ、彼はキャンバスの前に座り、私の絵を描き始めた。



「でもさ」

彼は話し始める。

「それだと、まるで君が道具みたいな扱いをされているみたいじゃないか」

「誰かに必要とされるなら、それは人間の本望というものではないのでしょうか」



「違うよ。その考えはただ周りに利用されるだけだ。誰かを縛ったり、誰かに縛られたりす

る権利なんて、人間にあってはならないもの。人間はいつだって自由に生きるべきなんだよ」



私はヘリオス様の言っていることがよくわからなかった。

長に必要とされ、任務を遂行し、成功すれば報酬をもらえ、さらに生活を保証してくれた。

私が今まで思ってきた “満たされている” という価値観はヘリオス様とは違うのではないのか。

「ネメシス」

ヘリオス様が私の名を呼ぶ。

少しの沈黙が流れた。

「ここの麓に降りれば街があるんだ」

パタッと鉛筆を置いた。


「……一緒に外の世界を見に行こう」


第三話はどうでしたか?

改善点、感想等よろしくお願いします。

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