第二話
第二話です。
ではどうぞ。
「ここが例のお屋敷ですか……」
今私は任務であるターゲットの自宅へと足を運んでいた。
一般の民家より2倍、いや3倍はあるだろうほどの建物に少し驚く。
父親が社長であることを実感させられるほどの大きさの建物だった。
住み込みでの任務のため、仕事道具や服一式を組織から持参してきた。
といっても、片手で持てるくらいの量だが。
呼び鈴を押してみる。
返事はない。
私の脳裏にある不安がよぎる。
まさか敵だろうか。
ドアに鍵はかかってなく、取っ手を回すと扉は私を受け入れるかのように躊躇うことなく開いた。
益々、怪しい。
入ってみると、床に広がる大きなカーペット、キラキラと光るシャンデリアが私を迎え入れた。
目の前には見たことのない像が、虚ろな瞳で私を見下ろしていた。
耳を済ますと2階から微かに聞こえる。
シャッ、シャッ……という聞いたことない音が。
階段を素早く駆け上がる。
音もなく敵に近づくなんて、私には造作もないこと。
音がする部屋の扉の前に立つ。
確実に誰か……いる。
長年の経験が私にそう訴えている。
荷物を隅に置き武器をもつ。
そして勢いよく扉を開けた。
バンッと音と同時に私の目に飛び込んできたのは、色とりどりの画材。
部屋は所々汚れ、描き途中の絵が散らばり、筆も出しっぱなし。
正直、足の踏み場がないほどの物が床を埋め尽くしていた。
「やあ、来たのかい。時間通りだね」
部屋の内装に呆気に取られていた私の耳に入ってきたのは、空のように透き通った声。
我に戻った私はサッと武器を隠す。
目の前の大きい白い板の向こうから声がした。
あれは、所謂キャンバスというものだろうか。
「まさか、ノックもなしに入ってくるとはね。びっくりしたよ」
「申し訳ありません。呼び鈴を鳴らしても返事がなかったもので。敵襲かと」
キャンバスの向こうにいるため姿は見えないが、恐らくターゲットである少年だ。
「ま、いいけどね。それより、今少し手が離せないんだ。そこにある鉛筆をとってくれないか?」
声の主は左を指さした。私から見れば右だ。
「そう、そこの棚の前の……」
鉛筆の種類が多すぎて、どれが欲しいのかわからない。
そんな私にしびれを切らしたのだろうか。
「ごめん。部屋が散らかってるからね。自分で取っ……」
立ち上がろうとしたのだろう。
足元にある筆洗いに気づかず、足が引っかかり体が前によろける。
「あ……」
彼がよろける姿はまるでスローモーションのように見えた。
命令、任務。
私は彼を護衛すること。
私は咄嗟に駆け出し、彼の体を支えた。
運よく筆洗いには水が入っていなかったため、床は濡れることなく容器だけがカラカラと音を出しながら転がる。
「お怪我はありませんか?」
その時初めて顔を見た。
窓からさす陽の光で柔らかみを帯びた蒸し栗色の髪。まっすぐ見つめる瞳は琥珀が溶けたような色をしていて、子供の底しれない純粋さ、無邪気さを感じる。しかし、なぜだろう。
お互いの呼吸の音が聞こえそうな距離なのに、私と彼の間に線が入り、切り離されている様に感じる。
私にはそれが不気味で堪らなかった。
「君……」
彼が口を開く。
「私の絵のモデルになってくれ!!」
「……はい?」
第二話、どうでしたか?
改善点、高評価等よろしくお願いします。




