第九話
第九話です。
ではどうぞ。
本当にこれでうまくいくのだろうか。
「アランさん」
「え? お、俺?」
前の席に座っている男子に話しかける。
そう、リリアナさんが言った策とは。
――――「他の男の子と喋ってみてはどうかしら? きっとヘリオス君の機嫌も治るはずよ」
それで、ヘリオス様の機嫌が元通りになるのならば、私はそれに従おう。
これも任務のため致し方ない。
「次はどの授業かわかりますか?」
「あ、ああ……数学だよ。黒板に書いてあるから、それを見るといいよ」
「わかりました。ありがとうございます」
私がお礼を言うと彼の顔は少し赤くなった。
「セレナがクラス一イケメンのアランと話してる!」
「美男美女が話してるところはどこを切り取ってもいい絵になるな」
周りからヒソヒソと話し声が聞こえる。
「セレナさんくらいの美人は、やっぱりアランみたいな美形の男じゃないと釣り合わないよな」
その時だった。
隣から、ビリビリ! と強烈な音がしたのは。
横に目を向けると、ヘリオス様がペンで紙に穴を開け、そのまま引き裂いていたのだ。
何かがおかしい。これで機嫌が良くなると思っていたのに。
もう少し様子を見てみようと思った私が間違っていた。
私が他の男子たちと話しては、横で何回もペンを折る音が聞こえ、彼らたちにわからないところを聞いては、前で答えを書いているというのにチョークを折る音が聞こえたり。
私が思っていた展開と違う。
良くなるどころか悪くなっている気がする。
「リ、リリアナさん。言ってることが違うじゃないですか」
気づけば放課後、ヘリオス様が先生に用事を済ませている間、私はリリアナさんに抗議を申し出ていた。
「だって、本当にやるとは思わなかったんですもの。私の言うことに従順になるなんて。可愛いですね」
のどが渇いたら水を飲むような当たり前の如く、クスクスと笑いながら彼女はそういった。
それに呆気にとられる私。
騙された? この私が?
こんなごく普通の子供に。
リリアナ・ヴェルディ……恐ろしい人間だ。
「けれど、あなたのお陰で興味深いものが見れました。礼を言います」
「は、はあ」
自分の声とは思えないほど腑抜けた声。
リリアナさんは昨日と同じ様に足元に生えていた一輪の花を摘み、私の手にそっと託した。
昨日と違うのは、渡された花は茶色くなり、生気もなく枯れていたことだ。
「これからも一緒に学校を楽しみましょうね。セレナさん」
どこまでも、綺麗でヘリオス様のように純粋だったヘーゼル色の瞳が、この時黒くくすんでいるように見えたのはなぜだろう?
第九話どうでしたか。
ユニークアクセス、ページビューが増えてたので今日は2話分投稿させていただきました。
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