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4 村人A

グランディ村は、静かに衰えていた。


畑は痩せ、水は弱い。

若者は少なく、老人が多い。


病は「祟り」や「運」で片づけられている。

理由を知る者はいない。


レオンは、淡々と働いた。

期待されることも、期待することもない。


そんなある時、気づいた。


井戸の周りだけ、

子どもがよく倒れている。


偶然にしては、回数が多すぎる。


数日後、病が出た。

老人、子ども、母親。


順番がある。

場所も、家も、偏っている。


胸の奥で、答えが組み上がる。


――水だ。


レオンは立ち上がった。


「水を、沸かしてから使ってください」


村人たちは戸惑った。

反発もあった。


だが、説明はしない。


説明より、結果だ。


飲む水を分ける。

病人を離す。

手を洗わせる。


三日で、倒れる数が減った。

五日で、広がりが止まった。


「……なんで分かる」


そう聞かれて、レオンは答えた。


「分からないことが、分かるだけです」


嘘ではなかった。


その夜、寝台で思う。


前の世界で、自分は医者ではない。

研究者でもない。


それなのに――なぜ分かる。


理由は分からない。

だが、確信があった。


この村は、まだ壊れていない。


間に合う。


そう判断した瞬間、

胸の奥で、微かな高揚感が燃えた。


――これは、生き延びた実感だった。


そしてレオンは、まだ知らない。


この「間に合う」という判断が、

やがて神と教会を敵に回すことを。

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