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3 目覚め



目を開けた時、天井が木だった。


知らない天井。

知らない匂い。

知らない音。


それなのに、驚きはなかった。

喜びも、恐怖もない。


代わりに浮かんだのは、

「問題はなさそうだ」

という判断だけだった。


体を起こす。

痛みはない。

息が深く吸える。


胸が苦しくない。


扉が開き、女が顔を出した。


「起きたのかい。よかった」


「村の外れで倒れてたんだよ。ひどい熱だった」


倒れていた。

熱。


――余命。


自分は、死んだのかもしれない。

だが、体は動く。


「名前は?」


少し考えてから、答えた。


「……レオン」


違和感はなかった。

それでいい、と判断していた。


「ここはグランディ村だよ。家はないんだろ?

 働けるなら居場所はある」


現実的な言葉だった。

だから、悪くなかった。


「分かりました」


声は淡々としていた。


ひとりになる。


自分の手を見る。

若い。

二十代後半から三十前後。


体は、完全に回復している。

だが、それを喜ぶ感情はない。


転生したという自覚もない。

世界が変わったという興奮もない。


ただ、生きている。

それだけ。

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