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2 祠
入口は、記憶の通りだった。
わざと見つかりにくくしてある。
草を払い、石をどかして進む。
中に入った瞬間、空気が変わった。
ひやりとしている。
だが、不快ではない。
奥に、小さな石の台があった。
祠というより、祭壇だ。
派手な装飾はない。
ただ、清潔だった。
そこに立ち、膝を折る。
祈りの言葉は浮かばない。
願いもない。
後悔もない。
ただ、思った。
――終わるなら、ここでいい。
目を閉じた瞬間、
胸の奥で、何かが組み上がる感覚がした。
理由も意味も分からない。
だが、判断だけが、異様なほど明確だった。
「終わるなら、ここだ」
次の瞬間、意識が遠のいた。
抵抗はなかった。
眠りにつくように、静かに。




