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魔王vsパワードスーツ/魔王に滅ぼされかけた異世界の人々、26世紀のパワードスーツを召喚して反撃に出る  作者: kadochika
5.凍魔、覚醒

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5.9.撃滅の計画

 ディゼムの提案は、大雑把には以下のようになる。


1.氷山に穴を開け、黒い鎧に到達してその凍結を解除する。

2.黒い鎧を凍魔から引きはがす。

3.凍魔を封印、あるいは活動停止状態に追い込み、更に可能であれば撃滅する。


 エシアの反応は、可もなく不可もなく、といった様子だった。


「まぁ、概ね順当ではあるが……

 私は直接見てはいないが、黒い鎧と凍魔は巨大な氷山に閉じ込められたような状態と報告を受けている。

 氷山の直径はおよそ五十メートルは下らないそうだ。穴を開けるとは、どのようにだ?」


 その質問に答え、ディゼム。


「中心部にいるプルイナのところまで氷を砕くなり、溶かすなりできりゃあいいんです。

 そこまですれば、あいつなら俺たちが凍魔をどうにかする方法を考え出したと察して、脱出してくると思うんで」

「黒い鎧に付属している食料生産装置は我々も回収したいところだが……

 誰がその通路を作る? 青騎士たちにやらせるのか?」


 エシアの意見に、彼は更に提案した。


「俺がやりたいんで、青騎士の鎧を一着貸してくれませんか?

 それを改造して、俺が氷に穴を開ける役をやります」

「……試作品なら分けてやるが、そんなもので、厚さ二十五メートル以上ある氷の壁を破れるか?」


 懸念するエシアに対し、今度はレブルが提案する。


「鉱山で使っている魔術爆材は……通路を進んでいくとなると時間がかかるな。

 俺たちが採鉱用に試作していた削岩機がある。

 それを使って、氷に穴を穿てないか試してみよう」


 すると、自身のあごを捻りながら、エシアがうめいた。


「……氷山の近くに仮設基地を作るか。

 色々試すにも、拠点が近い方がいいだろう」


 こうして翌日、凍魔の封印地点から一キロメートルほど離れていた漁師小屋が徴発され、仮拠点となった。

 昼過ぎに呼ばれ、歩いてそこにたどり着いたディゼムは、その寒さに少々戦慄していた。

 太陽の覆い隠された曇り空からは、しんしんと雪が降りしきっている。


「とんでもねぇ冷え方しやがるな……」


 言葉にすると、それだけで吐息が湯気となって虚空に膨らんだ。

 トラルタにはそれまで厳しい冬というものがなかったらしく、防寒着というものがあまり発達していなかった。

 多くのトラルタ人に防寒着の製作が命じられたが、使える繊維資源も多くはなく、それも今から簡単な機械と手作業で作っていては時間がかかる。

 トラルタから借りた薄手の衣服を何枚も重ね着した状態で、ディゼムは南の海辺にそびえる氷山を見て、考えた。


(……あの中に、プルイナがいるんだよな)


 凍魔を包み込んだ黒い鎧が深い霜に覆われてから、十四時間ほどが経過している。

 思い出してみれば、凍魔が動き回っている間は、彼女の身体に霜がまとわりつくということがほぼなかった。

 ディゼムは昨日、凍魔を浜辺にたたきつけて氷漬けにしようと試みた。

 その効果が薄かったのは、彼女が物質の凍結を阻害する魔術といったものを使っていたためかも知れない。

 今氷山に覆われているのは、プルイナに封印されることでそうした魔術が作用しなくなっているのだろうか。

 だが、黒い鎧の犠牲にもかかわらず、こうして寒波は広がり、強まってきている。

 仮設拠点にやってきた気候学者は、次のように推測していた。


「この雪も、間接的に、あの氷山によってもたらされたものと考えられます。

 強烈な低温源である氷山が、周囲の空気を冷やす。

 冷えた空気は重くなり、氷山周辺へと下降して、その周りへ放射状に吹く。

 その冷たい風によって、特に海面上にあった比較的暖かく湿った空気が上空に押し上げられて、上空の低温で冷えて水分が凝結し、雪に変わります。

 これが今降っている雪の由来と推測できますが……

 トラルタは海に囲まれているので、このままではこのプロセスが止まることはないと考えられます。

 むしろ、強まっていくと考えた方が自然ですね」

(マジかよ……)


 それだけでなく、エシアの部下である書記官たちも、意見を述べる。


「既に刈り入れ前の麦類が枯れ始めて、打撃を受けています。他の作物も同様です。

 このままの寒さが続くだけでも、農業生産はかつてない被害を受けるでしょう」

「海面の凍結が広がれば、船を使っての漁業も出来なくなります。

 我が国は昨今の陸での不作を海の豊漁で凌いでいたところがありますので、これは厳しいと言わざるを得ません」

「インヘリト王国などの外国に救援を求めるのも難しい状況です。

 原因不明の不具合によって合言葉が使えない状況では、ホウセの槍が唯一の行き来の手段だと思われますが、現在修理中。

 それが直っても、外に出られない恐れもありますが……そもそもなぜこうなったのかは不明です。

 状況からして、凍魔の復活と関係している可能性もありますが……

 そもそもなぜあんなものが鉱山の中に埋もれていたのかも含め、検証する手段がありません」


 これらの事態を解決するには、早急に封印を解いて、完全に凍魔を滅ぼさなくてはならないと考えられた。

 ディゼムも青騎士の鎧に改造を加え、防寒性能を向上させることを試みていた。

 青騎士の鎧の上から衣類をまとってもいいが、防寒性能の低い衣服を重ね着すると動きが鈍る。

 封印を解いた際、活動を再開した凍魔との戦闘に入る可能性を考えると、改良は急務だった。

 ディゼムは仮設の工房で寒さに耐えながら、“原図”に戻して作業机に広げた青騎士の鎧(の試作品)を睨んでいた。


(問題は、俺にそんな改造ができんのかってことだが……)


 こうした魔術の道具は、大量の魔術紋様を体系立てて集積、変形させることで形成されていた。

 ホウセが普段首と腰に巻いている真紅のマフラーも、特定の呪文を唱えることで運動場並みの面積を持つ“原図”に戻すことが出来る。

 真紅の鎧には自己修復機能もあるというが、基本的には破損した魔術の鎧の修復や改造は、こうした“原図”に手を加えることで行うのだ。

 ディゼムが机に向かっているのも、青騎士の鎧を構成する魔術紋様の記述を改変し、機能を向上させるためだ。

 これまでの訓練の成果か、“原図”を読めばその意味が分かるのは、救いだった。

 ホウセの鎧と比べればはるかに小規模だが、青騎士はその開発において、機能を限定しつつも全体的な水準を高く保とうと苦心した形跡がうかがえる。


(通気性がいいのは、意図的な設計なんだな……

 気密を上げると、激しく動いた時に鎧の中に熱が籠り過ぎる……

 なら気密を上げつつ、中の熱量に応じて排熱をするようにしてやりゃあいいが、そうすると記述面積が膨れ上がるってことで……)


 これまで学んできた魔術紋様の知見が役に立っていることに感動しつつも、ディゼムは自身の技術が追い付いていないことも痛感した。

 そこに、背後から声をかける者がいた。


「なに一人で悩んでんの」


 振り向くと、そこにいるのはホウセだった。

 首と腰に真紅のマフラーを巻いているが、今は更に、何枚も衣服を重ね着している。

 ディゼムは軽く頬をかきつつ、正直な所感を述べた。


「あ、いや……やっぱ、お前とエリカレスの鎧はすげぇんだなって」

「……?」


 彼女は一瞬怪訝そうな顔をしたが、すぐに微笑んだ。


「うん、まぁ、それなりに時間かけたしね。

 それより、青騎士の試作品を改造してるって聞いたんだけどさ。

 どこで詰まってるのか教えて? 手伝えるかも」

「いや、アケウたちを呼ぶ方が優先だ。自分の槍を先に直しといてくれ」


 そう返答すると、彼女は首に巻いた真紅のマフラーの端をいじりながら、


「こっちはトラルタの人たちに手伝ってもらって、何とか変性した部分の削除が終わったとこ。

 今は最低限の箇所だけ直して、自己修復中。その方が早いから。

 あと半日ぐらい様子を見ながら動作確認して、そのあと最後の修正かな」

「半日以上か……」


 それを聞いて、ディゼムはならば、とホウセを頼った。


「……じゃあ、悪りぃんだけど……お前の鎧みたいに、排熱制御をしてぇんだ。

 外からは熱を通さず、中からの熱は外に逃がすって風に」

「今回は外が寒いから、そこまで難しくはないね。

 感受部分と排熱部分を作って、中の熱が一定以上になったらそこが連動するように繋げて記述すればいいから、統御部分も含めて四か所加筆だね。

 このくらいなら配置と接続は素直にやっちゃっていいと思うけど、具体的に使う記号は分かる? あたしのはエリカレスが使ってた悪魔式になっちゃうけど――」

「わ、悪りぃ、もう少しゆっくり頼みます……」


 まくしたてるように口にするホウセに圧倒されそうになりながら、ディゼムは改めて彼女を尊敬した。

 そこに、また別の声がかかる。


「持ってきたぞ。こちらは問題なさそうだ」

「ん?」


 そう言って仮設工房に入ってきたのは、やはり重ね着をしたレブルだった。

 彼は大判の分厚い冊子のようなものを脇に抱えており、それを自身の目の前に広げ、呪文を唱えた。


「解凍」


 すると、広げられた冊子のような物体が変形し、人間の背丈ほどもある長さの物体となった。

 全体的には長い形状だが、両端が肥大しており、特に地面に落ちた一方には棘か、いぼを思わせる固そうな突起が多数生えている。

 ディゼムは、レブルに尋ねた。


「もしかして、それが削岩機ってやつか」

「あぁ。本来は坑道を掘り進んで、地下から宮殿に攻め入るために作っていたものだがな……」


 レブルはその削岩機を何もない方向に向けて構え、再び呪文を唱えた。


「旋回」


 すると、突起に覆われた前方部分が高速で回転する。

 これで氷を砕こうというのだろう。


「問題は、躯体は魔術紋様で作っているが、動作は呪文で行うということだ。

 掘削力は、使用者の魔術出力に依存する。

 お前の魔術の力は知らないが、相当に疲弊することは覚悟した方がいい。交代要員も選定するべきだ」

「あ、それは大丈夫じゃないかな。

 あたしの見立てだと、ディゼムの魔術、基礎的な出力は相当強いから」

「え……そうなのか?」


 ディゼムが意外に感じて声を上げると、ホウセは自分の拳を軽く握り、構えのような動作をしつつ答えた。


魔拳(マグナックル)してるでしょ。あれは基礎魔力が相当高くないと、あそこまでの威力は出ないはずだよ」


 それに、レブルが反応を見せる。


「それは魔術拳の技か? そんなに強力なものなら、それで氷を砕けないか?」

「いや、あれは黒い鎧の補助と防御力があって初めてできるもんだろうから……

 青騎士の鎧でもやれなかないんだろうが、威力が足りないんじゃねぇかな。

 でもまぁ、試してみるか」


 ディゼムはあまり詳しく自分の技について検証したことなかったが、今までの感触からそう感じていた。

 レブルは頷いて、


「まぁそちらも含めて、そちらの改造が済んだら試してみよう。

 あぁ……それと」


 少し間を置いて、言った。


「書記官長の許可は……一応、取っておくか」


***


 ディゼムたちは仮説拠点を出て、凍魔が封印されている氷山へと向かった。

 ホウセは真紅の鎧の修復が完了するまで待機ということで、今のディゼムはレブルと、そして青騎士隊員一名が同行している。

 エシアの許可自体は問題なく降りたが、成否が判明したら一度報告に戻る、青騎士の一人を監視に付ける、という条件が付いたためだ。

 先頭を歩くディゼムの装備は、プロトタイプの青騎士を改造した仮称“試製青騎士改”。

 トラルタ正規の青騎士との識別のため、両肩の装甲だけが赤くなるように調整されている。

 レブルは独自開発の赤い全身鎧、青騎士は正規型の青い全身鎧だ。

 彼らは全員が防寒着の上に鎧をまとい、氷山のすぐ近くまでたどり着く。

 それが冷熱の発生源なのだから当然なのだが、仮説拠点にいた時よりも気温が低く、風も強い。

 青騎士が、温度計を手にうめいた。


「マイナス三十度まで測れる温度計が、計測不能になって凍り付くとはな……」

「プルイナがいりゃあ、正確な気温が測れたかも知れねぇが……

 ともあれ、試してみっか。少し、離れててくれ」


 ディゼムは二人を遠ざけると、氷山の壁に軽く拳を当て、距離を測った。

 そして、腰に装備されていた護拳を握り、黒い鎧を着装していた時よりも加減するような要領で、“魔拳”を放ってみた。


「――ッ!」


 青い鎧によって速度を増幅され、魔力の籠められた拳が、がっ、と氷壁に食い込み、その周辺を破砕する。

 握った護拳も含めて、手首のあたりまでの深さの穴が開いた。

 手が潰れるかも知れないと危惧していたが、試製青騎士改は問題なく耐えた。

 この手応えなら、もっと強く打っても行けそうだ。

 そう感じたディゼムは拳を氷壁から引き抜き、三メートルほど下がって構えなおし、宣言する。


「……それじゃ、もう少し強く行くぞ。

 あぁ、そのくらい離れてればいいか」


 レブルと青騎士が十メートル近く離れたのを見て、彼は改めて、氷壁に自分が開けた穴を見据えた。

 試製青騎士改の増幅力を考えれば、助走距離は適切だ。


「――らッ!!」


 より威力を高めて、試製青騎士改は閃光となって跳躍し、一瞬で氷壁を、轟音と共にかなり深く砕いた。

 同時、ディゼムは後ろに向かって飛び退き、崩れ落ちてくる氷から退避する。

 が。


「お、うぉおおおおお!?」


 ガラガラガラ――と崩れ落ちてくる氷の量は、予想よりはるかに多かった。

 ディゼムたちはやや慌てながらも埋もれないように距離を取り、互いに相談した。

 同行の青騎士が、期待するような声音でディゼムに尋ねる。


「もしかして、この調子で全部割れたりするのか?」

「あ、いや……護拳も割れちまったから……

 鎧の素の拳で同じ威力を出したら、多分手が潰れちまうと思う」


 真っ二つに折れた武器を見せながら、ディゼムは答えた。

 そこに削岩機の変形した冊子を携え、レブルが言う。


「全部割って、もしも凍魔が自由に動けるようになったりすれば困ったことになる。

 あとは削岩機を試運転して、仮設拠点に戻ろう」

「あぁ、そうだな。貸してくれ。解凍、でいいん――うぉっ」


 レブルから借りた冊子は、確認のつもりで発音した呪文にも反応した。

 展開した削岩機を慌てて持ち支えたディゼムは、それを担ぎ直して氷山に近づいて行った。

 レブルが、説明する。


「旋回、で動いて、魔力の加減でトルクと回転速度を操作できる。

 停止、で魔力の伝達が止まる」

「分かった。さて、どんなもんかね……旋回!」


 すると、先ほどレブルが実演していたように、削岩機の先端部分が回転を始める。


「で、魔力の加減ってのは……」


 そちらは、直感的に理解できた。

 太く力強くをイメージして魔力を送り込むと、先端はゆっくりとだが力強く回転し、細いながらも勢いよく送り込めば、高速で回転する。

 強いて言えば、吐息の要領に似ていたかも知れない。

 そして砕けた氷塊の散らばる凍結した大地を踏みしめ、ディゼムは回転する削岩機の先端を、氷壁に押し付けた。

 反動と共にガガガ、と破砕音が響き、削岩機の先端の突起が、回転に応じて氷を削り始める。

 その勢いは悪くなく、削れた氷が勢いよく散らばり、空気を含んだ砕片の山になっていった。

 削岩機の後端にはバランス用の錘が付いており、これが穴を削り広げる際、反動で削岩機が暴れないようにする役割を持っているらしい。

 ディゼムは先端を円を描くように動かして、既に深さ1メートルほどを、半球に近い形状に掘削した。


「停止!」


 掘削機の性能を知るには十分と判断して、ディゼムは削岩機を停止させた。

 近くでそれを見ていたレブルが、彼に言う。


「魔力の消耗次第だが、加減が効く分、こちらの方がいいと思う。

 お前はどう感じる、ディゼム?」

「そうだな。穴を掘るってんなら、自分が潰れかねねぇ大技よりはこっちが向いてるか」


 彼らは青騎士を伴って仮説拠点に帰還し、エシアたちに成果を報告した。


***


 報告を聞いた書記官長エシアは、顔色一つ変えずに口にした。


「ならば、黒い鎧と凍魔にまで道を開くのは比較的容易と見ていいな」

「まぁ、中心に近づくにつれて硬さが増してく可能性はあると思いますけど」


 ディゼムの補足を聞きつつ、彼女は部下の淹れた茶を飲み、カップを皿に戻す。


「ホウセの槍の修復が終われば、インヘリトから増援も呼べると聞いている。

 ならば、凍魔撃滅の見込みも増すというものだ」


 ディゼムは同じく出された茶を啜りつつもそれを聞いて、胸中で毒づいた。


(つい昨日まで俺らを外に出すまいとしてたくせに現金だな。

 まぁ政治家なんてそんなもんかも知れねぇが……)


 そんな思考が悟られてはいないはずだが、エシアは彼に訊ねる。


「氷を掘り進んでそこまで到達すれば、黒い鎧は復活するという認識でいいんだな?」

「……実をいうと、そこは少し、断言しかねるところがあります」


 彼がカップを皿に戻して本音を告げると、エシアは目を細めて言う。


「……どうやってかは知らないが、黒い鎧は今も、凍魔を封印し続けているのだろう。

 封印される前の凍魔が、極度の低温を発しているにもかかわらず、氷に閉ざされることなく活動していたと報告したのはお前さんだ。

 ならば、今の奴が氷に閉ざされたままなのは、黒い鎧が生きて、封印を続けている証拠ではないか?」


 彼女の言いようは、ディゼムを勇気づけていると取れなくもなかった。

 そのため、彼は顔には出さなかった――つもりだった――が、少しばかり面食らった。


「そりゃあ、そうかも知れませんけど……」

「我々はそれを前提に動くのみ。躊躇(ためら)うな。

 鎧が戻ってくるなら、食料生産装置を求める我々にも望ましい結果だ。

 だがもし、お前さんが黒い鎧を掘り当てても、それが戻ってこなかった場合を考える必要がある」

「あいつが、戻ってこなかった場合か……」

「その場合、黒い鎧の防御力を貫く威力でもろともに凍魔を殺すか、強制的に黒い鎧を凍魔から引きはがさなくてはなるまい」


 エシアの言葉は冷酷でありつつも、妥当だった。

 考えたくはなかったが、そのための準備もしなければなるまい。


「また、黒い鎧が自分から戻ってきた場合は、凍魔が動き出すだろう。

 それに備えて、別の手段で凍魔の足を止める必要がある。

 準備すべきは黒い鎧を凍魔から引き剥がす手段と、凍魔を足止めする手段。

 そして最悪の場合、黒い鎧ごと凍魔を殺せる手段、だ」


 そして、凍魔を殺すための計画の、第二段階の検討が始まった。

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