表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつかの歴史の幕開けを  作者: 星月夢夜
貴族の夜会編
8/16

第8話 命運

皆さんこんばんは、星月夢夜です。

地元のとあるお菓子が大好きなのですが

手を止めることできずつい食べてしまいます。

依存は身近なところにあるんですね。


では、本編スタートです。

「いいなぁーヒビキ様たち。私も行きたかったなー」


ヒビキたちがルーイン家の屋敷でとあるゲームに巻き込まれていた頃、クライト家の屋敷では打って変わって和やかな時間が流れていた。夜食の時間を過ぎ、静かになったダイニングルームにはいつもここにたむろしているシュガー、プリン、ソルトの3人と彼らの向かいに座るアイリスの姿があった。


「プリンも行きたかったなのー。なんでいっつもベグばっかりなの? たまには、私たちもヒビキ様の護衛をしたいなの」


「それはベグの皆さんがその担当なので、仕方ないと思いますが……でも確かに、他のお屋敷の食事を見たことないですから、1回くらいは行ってみたいですね」


基本的にベグ以外の3グループが外に行く機会はあまり無い。言うなれば、彼らはヒビキと同じくらい他の貴族との交流が無い。だからこそクライト家で料理関連のことを担当しているコフの3人は、他の屋敷で提供される料理がどのようなものか気になるようだった。


「それなら、ジョーカーさんに相談してみてはいかがですか?」


3人の会話を静かに聞いていたアイリスがそう言う。それを聞いたシュガーは目を輝かせた。


「そうね! ジョーカーたちが帰ってきたら、相談してみましょ!」


「やめとけ」


ダイニングルームの明るい雰囲気を制するようにそう言ったのは、彼らのリーダーであるココアだった。


「おやココアさん、こんばんは」


アイリスはそれを気にすることなく夜の挨拶を言う。


「どうも。アイリスがここにいるなんて珍しいな」


「コフの皆さんのお話が気になりまして」


そう笑顔で言うアイリスに、鼻を鳴らしたココア。どうやらアイリスの言ったことを信じていないようだ。


「なんでやめとけなんて言うの! ココアだって、他のお屋敷の料理気になるでしょ?」


少し怒りながら身を乗り出して言うシュガーに対し、ココアは興味が無さそうな表情を浮かべている。


「気にならない。第一、お前らが行くことになったら、俺まで行かなきゃいけなくなるだろ。めんどくせぇ」


面倒事が嫌いなココアは、自由奔放な後輩たちに振り回されて外に行くのが嫌らしい。


「えー! じゃあココア抜きの3人で行っちゃう?」


ココアに断られたシュガーは不満そうな声を上げ、そう提案する。


「ジョーカーさんのことだから、4人揃ってないとダメとか言いそうなの」


「た、確かに……」


プリンの言葉に頷くソルト。普段ヒビキの護衛を担当しているベグは、必ず4人で仕事を行う。それは担当が他のグループに変わったとしても、同じことが言えるだろう。ましてやココアはコフのリーダーだ。1番行かなければならない人である。


「そういうことだから、諦めろ」


ココアはそう言い放って立ち去ろうとする。その時だった。


「でしたら、私が代わりに行きましょうか?」


突然のアイリスの提案はその場にいたコフ全員が驚くものだった。ココアも思わず足を止める。


「……は?」


ココアのその表情は、本当にまさかという感じであった。


「ですから、どうしてもコフの皆さんが他のお屋敷へ行きたいのでしたら、お忙しいココアさんの代わりに私が行きましょうか、と提案しているのですよ」


対してアイリスはいつも通りの笑顔を浮かべている。


「アイリスそれ本当!?」


シュガーはさきほどよりも目を輝かせている。外に行ける可能性が戻ってきた、それだけでもとても嬉しいようだった。


「えぇ。コフの皆さんと、ジョーカーさんさえよければ」


「私たちはもちろんいいわよ! ね!」


その輝かせた目をプリンとソルトに向けるシュガー。2人も彼女に引けをとらないぐらい目を輝かせていた。


「もちろんなの!」


「はい!」


彼らの返答を聞いたアイリスは柔らかな笑みを浮かべ、ココアの方を見る。彼にも確認をとりたいらしい。


「……お好きにどうぞ」


諦めたココアは吐き捨てるようにそう言うと、部屋から出て行ってしまった。


「きっと拗ねてるのよ、ココア。本当は行きたいって思ってるくせに!」


ココアが立ち去った方を見ながら、少し不満そうに言うシュガー。だが、ココアのことを忘れようとするように笑顔を浮かべた。


「じゃあ、早速ヒビキ様たちのところへ行くよ!」


「え!? い、今からですか!?」


そのあまりにも唐突な提案に、ソルトは思わずそう言ってしまっていた。


「おや。ヒビキ様たちが帰ってこられてから、ジョーカーさんに許可をとる、という話ではなかったのですか?」


シュガーの発言にも特に驚くことなく、アイリスが疑問を提示する。


「確かに最初はそうだったけど、アイリスが来てくれるとなったらジョーカーから許可がおりるのはほぼ確実! 私たちの、他のお屋敷の料理を見たいという理由は正当だし、なにより! アイリスはメイド長だからね!」


得意げにシュガーはそう言うがプリンはあっけらかんとし、ソルトは少し呆れ気味、アイリスは変わらず楽しそうに笑顔を浮かべており、誰も彼女の言い分に納得していないようだった。


「つまり! 今日のルーイン家の夜会も、私たちも行っていいことになる! 豪華で有名なあのルーイン家。きっととんでもない料理が出てくるに違いない!」


当のシュガーはそんな他の3人の様子など少しも気に留めていないようで、意気揚々と語り続けていた。


「そうとなれば早速出発するよ! 今から行けば、まだ間に合うはず!」


そう言い放つと、3人の返事を聞くことなく足早に部屋から出て行ってしまうシュガー。なにがなんだか分からないまま取り残されてしまったアイリス、プリン、ソルトはこれからどうしようかという感じで少しの間固まっていたが、シュガーを1人で行かせるわけにはいかないということになり、遅れて彼女について行くことになった。



一方で。ルーイン家の屋敷は、惨状と化していた。ヒビキとベグがいるメインホールには煙が立ち込み始めているにも関わらず、まだ残っている他の貴族たちは外に出ようとはしない。それは何かしらの理由があって出ないのか、出ようという考えにすら至らないほどなのかは、知る由もない。さらに、そんな混沌とした状況に追い討ちをかけるかのように屋敷が突然大きく揺れ、ホールの床に大穴を作った。


「ヒビキ様!!」


ジョーカーがそう声を上げた時には、ヒビキはその大穴に姿を消そうとしていた。落ちゆく主を助けようと、ジョーカーは形相を変え、目にも止まらぬほどの速さで動き、その手を彼に伸ばした。だが、突如そんなジョーカーの肩が穴から遠ざけるように押される。その反動で彼と代わるように穴に向かっていったのは、爆発で怪我を負っていたチェスだった。


「ここを、頼む」


そう、言い残して。


「……!」


それはあまりも突然で、誰にとっても予想だにしないことだった。


「チェス!!」


ジョーカーの声にチェスが耳を貸すことはなく、そのままヒビキと共に深淵の中に消えていった。


「ヒビキ様!! チェスさん!!」


スペードが2人の名前を叫ぶが、すでに彼らの姿はどこにもない。ヒビキとチェスが落ちた大穴を覗いてもその底は見えず、2人のことは確認することはできない。


「……ッ!!」


2人のことを救おうと思ったのか、ジョーカーは衝動的に大穴に飛び込もうとする。それに気付いたスペードが、すんでのところで止めた。


「ジョーカーさん! 落ち着いてください!」


ジョーカーは未だに恐ろしい形相を浮かべている。彼にとって自分の命よりも大切な主、そして仲間の危機に、いつも冷静なジョーカーも一時的に正気ではいられなくなってしまったようだ。スペードが止め彼の言葉を聞いたことにより、なんとか正気を取り戻す。


「ヒビキ様!! チェスさん!! 聞こえたら返事してください!!」


ダウトは大穴に向かって2人の名前を叫ぶ。無論スペードとダウトも、ジョーカーと気持ちは同じだ。もしかしたら、と最悪の結末がどうしても頭から離れない。気が付くと、ダウトは涙を流していた。


(お願い、2人とも、死んだら嫌だよ……)


心の中で必死に願うダウト。ダウトが呼びかけても大穴から返事は返ってこず、3人が絶望を感じ始めたその時だった。


「ダウト!! 聞こえるよ!!」


小さくではあるが、確かにそう声が聞こえた。3人は揃って大穴を覗く。


「ヒビキ様!? 本当にヒビキ様ですか!?」


ダウトは思わずそう聞き返してしまったが、彼が聞き間違えるはずはない。いつも書斎の大きなチェアに座り、沢山の書類を抱えながら、自分たちベグと会話をしている、大切な主であるヒビキの声だった。


「うん!! チェスも怪我はしてるけど、ここにいるよ!!」


ヒビキの声を聞いたダウトの涙は、だんだんと嬉し涙に変わっていった。そんなダウトを見て、同じ気持ちだったスペードは思わず微笑む。


「泣くんだな、お前も」


つい悪態をついてしまったスペードをダウトは涙ぐみながらも睨む。そして穴を覗くのをやめ、スペードといつもの口論を始めた。こんな時に、という感じだがそれは彼らが安心した証拠なのだろう。


「ヒビキ様はお怪我は!?」


そんなダウトとスペードを全く気にすることなく、ジョーカーはダウトの代わりに穴の中に叫ぶ。


「僕は平気だよ!! でもチェスが!!」 

 

チェスは大穴に落ちる前から爆発に巻き込まれ怪我をしていた。その状態で落ちたのだから、彼の体が危機的な状況になっていてもおかしくはない。そんな中、ダウトと口論中だったスペードが不意に上を見て、何かに驚く。


「ジョーカーさん! リオがいません!」


ヒビキの方ばかりに気を取られていたジョーカーが、スペードの言葉を聞いてハッとして顔を上げると、さきほどまで踊り場にいたはずのリオの姿が消えていた。それに加え、火の手も少しずつ迫ってきている。ヒビキとチェスだけではなく、ジョーカーたちも危険な状況にいるのだった。


「ヒビキ様、そこから出られそうですか!?」


「分からない!! だけど、左右に道は続いてる!!」


どうやらヒビキとチェスは、深い穴に閉じ込められたというわけではなさそうだった。ならば、2人が外に出られる可能性は少なからずあるかもしれない、ジョーカーはそう考える。


「ヒビキ様!! 我々はリオを追いかけます!! ヒビキ様は、チェスと共にそこから脱出を!!」


「分かった!!」


主がいなくても仲間が欠けても、ベグがやることは変わらない。自分たちをこのような悲劇の演者にしたリオのことを、到底許すわけにはいかなかった。


「チェス!! ヒビキ様のこと、頼みましたよ!!」


ジョーカーがそう叫ぶものの、チェスからの返事はない。怪我のせいで大声を出せる状態ではないのだろう。もちろん、ジョーカーはそれを分かって言ったのだった。穴を覗くのをやめ、自身の気持ちを切り替えるように短く息を吐く。


「ジョーカーさん」


「ジョーカーさん!」


名前を呼ばれジョーカーは振り返る。そこには、真剣な面持ちで立つダウトとスペードの姿があった。心強い部下を持ったものだな、そう思いながらジョーカーは立ち上がる。


「私たちは、私たちのやるべきことをしましょう」


ダウトとスペードは尊敬する上司の言葉に「はい!」と同時に返事をした。普段の2人ならば、きっと口論を始めていただろう。だが今の2人は違った。ともに、覚悟を決めたのだ。


「ダウトはここで、貴族の皆様を外に誘導。その後、リオ・ルーインの事を調査してください」


「了解しました!」


ダウトはぐっと右手の親指を立てる。


「スペードと私で、リオ・ルーインを追いかけます」


「了解です」


スペードは力強く頷いた。


「では、行きましょう」


ジョーカーの合図の後、彼らは計画通りにダウト、ジョーカーとスペードに分かれる。それぞれが自分たちのやるべきことを果たすために。たとえ離れ離れになっても仲間が、そして主が、無事だと信じて。



「痛って……」


大穴の中にヒビキを庇うようにして落ちたチェスは、爆発での怪我も含め全身の痛みと戦っていた。


「大丈夫? チェス」


そんなチェスの身を心配して声をかけるヒビキ。


「えぇ、なんとか。下が土で助かりましたよ」


その土がクッションとなり、チェスとヒビキは大事を免れたのだった。


「それはよかった。にしても、ここ暗いね。何か灯りでもあればいいんだけど……」


上、つまりヒビキとチェスが落ちたところからうっすらと明かりが見えるだけで、2人がいる場所はとても暗く、かろうじて互いのことが見えるほどである。だがそんな暗さでも、ここが密室空間ではないということは分かった。なぜなら、自分たちの声が遠くまで響いていたからだ。


(それに、少しだけ風を感じる……)


風を感じる方向に進めば外に出られるかも、ヒビキはそう考えていた。だがこの暗さで行動するのは危険だと思いながらヒビキが一歩前に進んだ時、彼の足に何かが当たる。なんとか拾い上げて触れてみると、それがランタンであるということに気付いた。


「チェス! ここにランタンがあったよ!」


ヒビキは暗闇の中でランタンをチェスに手渡す。


「それはいいですね」


「でも、火を点けるものが無いよ?」


ヒビキがそう呟くと、突然2人の前に火が小さな火が現れた。


「念の為、マッチを持ってきたんです」


そう言ながら、チェスはランタンに火を点ける。真っ暗だった世界に明かりが灯された。


「これでよく見えますね」


火の点いたランタンをチェスが持ち、自分たちのいる場所を照らすように少し高く上げる。すると、今まで見えなかったあるものが姿を現した。


「これは、レール?」


2人がいた場所は土の洞窟のような場所で地面の真ん中にはレールが敷かれていた。左右にとても長く伸びていて、その終わりを見ることはできない。


「どうやら、この屋敷が鉱山の跡地に建てられたというのは、本当らしいですね」


「うん」


ヒビキとチェス、2人がルーイン家の屋敷から落ちた先は坑道だったのだ。


「しかし、随分錆びついていますね」


チェスがそう指摘するように、レールはひどく錆びている。10年ほど前に鉱山が閉鎖されたというのもどうやら本当のようだった。


「でも、最近使われたみたいだよ。このあたり、少し錆びが落ちてる」


そう言ってヒビキはレールを指さす。よく見ると、確かにレールの錆びが少し擦れた痕跡があった。


「レールを使ったってなると、きっとトロッコでしょうね。ですが、一体何を運んだんでしょうか?」


「分からない……」


ヒビキは暗闇の坑道の奥を見つめる。早急にここからの脱出をするべきではあったが、この奥には何があるのか。それがずっと気になっていた。


「行ってみますか?」


そんなヒビキの思いを汲み取ったのか、チェスがそう言う。


「でも、チェスは怪我してるし...」


「大丈夫です。それに、俺も気になりますから」


そう言ってチェスは微笑む。ヒビキはまだ少し躊躇っていたが、チェスと共に坑道の奥へと進むことにした。その先に、自分たちが求める真実があると信じて。



ジョーカーとスペードと分かれたダウトはジョーカーからの命どおりに、未だにメインホールから出ずにいる貴族たちの誘導を開始することに。ホールの隅の方にうずくまっていたり、混乱してあちらこちらと移動している者もいる。彼らに向かって、ダウトは思い切り叫ぶ。


「皆さん!! オレと一緒に、外に出ましょう!!」


真剣な面持ちでそう叫ぶダウトを見た貴族たちは平常心を徐々に取り戻し、ゆっくりとダウトの元へ寄って行く。まだ困惑している者もいたようだが、ダウトがあのゲームを乗り越えたことを知っている同室だった貴族が、彼らを説得して連れてきたのだった。


「こっちです!!」


ホールに残っていた貴族たち全員を連れて、ダウトは少し開いていた玄関の大きな扉を完全に開ける。そして、貴族たちと共に外に出る。外には先に屋敷から脱出した貴族たちが数人いた。


(……23、24、25。参加者はオレたちを除けて25人だから、貴族さんたちは全員いる)


ダウトは素早く貴族の人数を数えるが、その時にあることに気付く。


「なんで馬車が無いんだ!?」


突然貴族の男性がそう叫んだ。そう、ここで待機させていたはずの馬車が1台も無いのだ。


(これも、リオの計画の一部ってこと?)


馬車が無くなっているということは、ここから誰も帰ることができないのだ。つまり、みなここに閉じ込められているも同然だった。もしかすると、ルーイン家のこの屋敷が山奥に建てられているのもリオの計画の一部だったのかもしれない。


「これじゃあ帰れないじゃないか!」


「なんでこんなことに……」


「一体どうしたらいいんだ!?」


次々と貴族たちから混乱の声が上がる。屋敷の外に出ても、中と状況は何も変わらなかった。


(……ッ!!)


劈く彼らの声声にもう嫌気が差したダウトは、彼らを怒鳴るように大声を上げる。


「今!! オレの仲間が、命懸けでリオ・ルーインを追ってる!! 必ず解決してくるから、アンタらは黙ってここで待ってて!!」


敬意も忘れ、無我夢中で貴族たちにそう言うダウト。元々ダウトは気が短いほうだが、自分たちが置かれた状況をただ嘆くだけの貴族に腹を立てたのだろう。主や仲間の事を考えると余計に、だろうか。


「……」


その気迫に圧倒されたのか、貴族たちはただ黙っていた。ダウトは今までにないほど真剣な面持ちで彼らを見ていた。


「オレは今からアイツの手がかりを探しに屋敷に戻るけど、絶対ここから動かないでよ!! 分かった!?」


ダウトに流されるままに貴族たちは頷く。それを見たダウトは急いで屋敷に戻る。自分のやるべきことはまだある、全ては主と仲間のために。そんなことを、考えながら。



屋敷の中に戻ったダウトは、誰もいなくなった荒れたメインホールを眺める。部屋中に煙は充満し、火の手はますます大きくなっている。一刻も早く見つけなければ全て燃えて消えてしまううえに、ベグの身も危なくなるばかりだ。


(ジョーカーさんとスペードはリオを追って2階に行った。左の3つの部屋にはもう入れない。てことは……)


ダウトは真っ直ぐ正面を見る。リオが立っていた踊り場の真下であり、2階に続く階段に挟まれるようにして存在する1つの扉があった。


(よし!)


自分が見るべき場所はあそこしかない、そう考えて急いで向かうダウト。ゲームが行われた3つの部屋の扉よりも、少し豪華に造られているその扉を開けてみる。


その先にあったのは、ルーイン家に相応しいというべき豪華な客間だった。


(めちゃくちゃ派手な部屋……)


真ん中には濃い茶色の背の低いテーブルに、それを挟むように置かれた金縁のソファ。見るだけで高価なものと分かる代物だったが、部屋の中でダウトが1番興味を抱いたのはそれらではなかった。


(ん? この写真は……)


次にダウトが目をつけたのは、左の壁際に置かれているシェルフだった。その上には何枚か写真が飾られている。見てみるとそこにはリオが誰かと握手をしている写真や、同じ黒っぽい服装に身を包んだ人たちが一列に並んでいる写真があった。明らかに普通ではない様子だったが、これが一体何なのかはまでは分からない。


(この写真なら持って帰れる)


そう考えたダウトは、素早く器用に写真立てから写真を抜き取った。そして、最後にダウトが目をつけたのが部屋の左奥にある扉だった。この場所には似つかわしくない普通の扉で、部屋の少し奥に存在している。


(なーんか怪しいな……)


そう思い警戒するダウト。この部屋の奥には、何かとんでもないものがある。そんな予感を直感的にダウトは感じていた。ゆっくりとその扉に近付き、背中を合わせて中の音を聞いてみるが何の音も聞こえない。ダウトはドアノブに手を伸ばし、素早くのその扉を開けた。


「……な、何これ!?」

再度皆さんこんばんは、星月夢夜です。

やっと全員集まったと思ったら

また離れ離れになってしまったヒビキとベグ。

物語はいよいよ終盤に入っていきます。


仲間を信じて行動する、その姿勢は逞しく

クライト家の特徴ともいえるかもしれませんね。

互いのことを信頼しているからこそできる技だと思います。

それが壊れないことを心より願っています。


それでは、本日もお世話をしてくれている家族と

インスピレーション提供の友達に感謝しつつ

後書きとさせていただきます。

星月夢夜

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ