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1-3. 馬上少年過ぐ

【美容師の娘】より 冒険者イアンがパーティを組む物語。


【美容師の娘】

https://ncode.syosetu.com/n6487gq/


【美容師の娘シリーズ】

https://ncode.syosetu.com/s0641g/

サリバーン・モモハセ・キミカコツ。


それが、落馬の際は 受け止めてくれ、襲撃でも 助けしてくれた

冒険者の名前であった。若そうに 見えるが もう39歳だという。


私たちは、襲い掛かってきた、男どもを (しば)った。

そして、ギルド(組合)受付嬢を (しば)る。


もちろん、ロープなど 持っているはずが ない。


鎧を ()けている者は、それを 外してしまう。

男は、ズボンの(すそ)を 途中まで 脱がせ、ベルトも使い、足を 結んでしまう。

上着も、両腕の (そで)を 伸ばして 結ぶ。

受付嬢は、スカートを結び、上半身は、男と 同様にする。


気絶から 目覚めても、おそらく、逃げることは できないだろう。


「偶然ですか? 助けて くれたのは。」

サリバーンに (たず)ねる。


「まさか。

 こんな 偶然が あったら ビックリするね。」


「偶然でないと すると?」


「まぁ 偶然も あるんだが、

 今日、報酬を 貰いに ギルドに行ったら 君が いるじゃないか。

 無邪気に 金貨を ちらつかせていたのを 見て、

 昼の講習が 終わるころに 様子を見に来てみれば、

 今度は、高級店の袋を ちらつかせている。

 襲ってくれと 言っているようなものだ。」


「それは、先ほど 思い知りしました。」


「そこに 転がっている ギルドの受付嬢、前々から 悪評があったんだよ。

 11級(ルーキー)()めて 稼いでいるっていうね。

 君が あまりに、無防備なので、

 問題のある 受付嬢を 君を使って、罠にはめるために

 ギルドが 何か仕掛けたかと 思ったんだが・・・。

 後を つけてみれば、なんのことはない。

 甘っちょろい 貴族のお坊ちゃまが、お坊ちゃまのまま

 冒険者になろうと しているだけだった というわけさ。」


「そうですか。甘っちょろいですか。」


「ラブファン亭の新作デザート

『魅惑の麻呂モンブラン』くらいには、甘いね。」


サリバーン渾身の ジョークだったようだが、

新作デザート どころか、ラブファン亭を 知らない私には、通じなかった。


街の治安を維持する 警備兵を、

詰め所まで 呼びに行くのは、私の役目となった。

その間の監視は、サリバーンに まかせる。


10級ギルドカードを 持っていて良かった。

警備隊の詰め所にいた 警備兵は、最初、私の言葉を 鼻で笑った。

どうやら 2人で10人以上を倒した という話を 信用できなかったらしい。


私のギルドカードを 見せたことで

上役に取り次いでもらえ、警備隊が 出動したのだ。

兵士たちは、手際よく 男たちを 連行していく。


サリバーンが寄ってきた。

「おいっ、お前の 取り分だ。」

渡されたのは、銅貨と銀貨の入った 小さな袋。


「これは?」

「お前が、兵士を呼びに行った間に 抜いておいた。

 まぁ 迷惑料だな。半分ずつに してある。」

どうやら、襲い掛かってきた者の 懐から、持ち金を 抜いたらしい。


「私は、金に 困っていない。

 そちらが 全部取ってくれて 構わない。」

袋を 返そうとする。


「ダメだな。それだから 甘っちょろいって言われるんだよ。

 今、金があっても 報酬は 受け取る。

 逆に、金がない時も、報酬以上は 受け取れない。

 それが 冒険者だ。」

どうやら、私に冒険者の心得を 教えようと していたらしい。


ギルドの受付嬢、そして男たちは、捕らえられた。

面白いことに、捕まった者の 所持品や 所持金は、警備隊に 没収される。

我々には、決まった 報奨金が与えられるという。


「おそらく、2人で銀貨1枚と 銅貨12枚だな。」

「それは?」

「ギルドの受付嬢が 銀貨1まい。

 これは、ギルドから 出るだろう。

 あとは、人数分12枚の銅貨が 警備隊から 出るはずだ。」


なるほど、少ない。

サリバーンが、襲い掛かってきた者の 懐から、持ち金を 抜くわけだ。


暗黙の了解で、剣や鎧などの装備は 取ってはいけない。

持ち金も、すべては 奪ってはいけない。


これらは、警備隊が 差し押さえ、収入とする。

私たちは、警備隊の取り分を 残しておかなくては ならない。

しかし、それさえ守れば、このような場合、

報酬に代わるものを 自分で確保することが 許されている。


全ての処理が 片付いたころには、(あた)りは、月も隠れ 真っ暗になっていた。


「それでだ。

 君は、面白い。

 出自もそうだが、その能力も。

 どうだ? 私とパーティを 組んで 行動しないか?」


彼に言わせれば、私は、目も 見えていない、耳も 聞こえていない、

口だけの 甘ったれた お坊ちゃまであるらしいが、

それなりに 面白い人材でも あるらしい。


甘ったれかどうかは横において、彼から学ぶことは、多くありそうだ。


こうして、我々は、パーティを 組むこととなった。

教師と生徒のようなものでは あったが。


*** **** *** *** **** ***



私は、サリバーンと 共に行動した。

少し、慣れてきた ある日、汗血馬(かんけつば)について (たず)ねてみた。


「寄生虫による 吸血によって、

 馬が狂ったかのように 暴れるので 汗血馬(かんけつば)は、欠陥のある 馬だ。」

あの時、彼は、私に そう告げた。


汗血馬(かんけつば)は、寄生虫による出血で、血の汗を 流しているに 見える。

母が死んだあの日、騎馬民族は、血液を流すように見える 馬を、

(なん)なく 操り、仕掛けてきた。


あれは、汗血馬(かんけつば)で あったのでは ないだろうか?

そして、それを 乗りこなしては いなかったか?


サリバーンは、答える。


「ハルサ族は、屈強な 騎馬民族だ。

 彼らは、汗血馬(かんけつば)を 乗りこなす。

 汗血馬(かんけつば)は、(はや)く強い。

 それが、彼らの 強さの秘訣だ。

 しかし、普通の人間が、汗血馬(かんけつば)に 乗ることは、難しい。

 汗血馬(かんけつば)は、興奮すると、スグ 暴れる。

 戦の時に、それを 抑え込んで騎乗するのは、まず 無理だな。

 君なんて、走っているだけで、吹き飛ばされて いたじゃないか。」


確かにその通りだ。

しかし、乗りこなす技術が、存在することも 分かった。

ハルサ族が 出来るなら、私が 出来ても おかしくはない。


普段、私は、サリバーンと一緒に 冒険者として 依頼をこなす。


依頼は、まるで、ギルド試験の 応用問題だ。

植物採取に、害獣駆除。

さすがに 魔物討伐は、1回だけであったが。

なるほど、あの試験は、なかなか ()(かな)ったもので あったようだ。


そして、休日は、汗血馬(かんけつば)を 乗りこなすことに 時間を使った。

馬を 責め、振り落とされる。


昼に 顔を泥まみれにして、サリバーンの所に 帰る。


「どうした?女に振られて、頭から 泥でも かけられたか?」

腹が 立つ。


「何でもない。」

とだけ答えて、飯を かきこんで、馬の所に 戻る。


結局、馬が 血の汗を流している間は、乗りこなすことが できなかった。


サリバーンに言わせると、

汗血馬(かんけつば)が 血の汗を流している間は、寄生虫が 吸血している。

その期間は、ハルサ族以外が 馬を乗りこなすのは 不可能である。


血の汗を 流さなくなれば、なんとか 乗りこなすことが できるが、

今度は、馬の能力が 落ちてしまっている。

寄生虫が 吸血していることが、馬の能力を上げ、

寄生虫が 吸血していることが、暴れ馬に している。


それが、汗血馬(かんけつば)が、欠陥馬と 言われる理由 ということであった。


=== ==== === === ==== ===


そうして、パーティを組み、

数年間 冒険者として 活動を続けたころ、あの事件が 起こった。


=== ==== === === ==== ===

イアンたちは、依頼を受け、依頼をこなす予定でした。

書き始めたところ、イアンが勝手に動き出し、なぜか馬に乗り始めました。

予定の場所にたどり着けるのか、この後が心配です。

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