Calamitous Cats.
猫は、かわいい。
犬が嫌いなわけではないけれど、どちらが好きかと訊かれたら、間違いなく猫だと答える。
何より、飼い猫でも飼われていないような彼ら彼女らの自由な気質が、私は好きだ。
猫の性格には個猫差があると思う。
でも、少なくとも私の飼い猫でもあり友達でもあり、家族だった三匹の猫たちの生き様には、自由の二文字がふさわしい。
初めての猫は、甘えん坊で寂しがり屋なロシアンブルー。
彼女とは子猫の時に出逢い、三匹の中では最も一緒にいた時間が長い。
少しでも触れ合えば猫なで声ですり寄ってくるのに、ひとたびそっけない態度をとってしまうと、逆に拗ねてしまう。ツンとデレの温度差が激しい猫だった。
寂しい時は切ない声で泣くくせに、一匹で旅をしては数日帰らず、私を泣かせることが多々あった。
次の猫は、気ままでのんびり屋なペルシア猫。
いつも寝てばっかりで、一緒に遊んでくれた回数は両手で数えられるほどしかない。
眠る彼女のミルク色の毛を撫でる時間は、一杯のコーヒーに勝る至福のひとときだった。時折布団に入り込んでは腕枕をねだり、幸せそうな顔で寝言をつぶやく。
彼女がどんな夢を見ているのか、私はいつも気になった。
最後の猫は、ノラだった三毛猫。
ケガしていた彼を看病したことがきっかけで、私の家の居候となった問題児。
一日中家にいて、私以外の人が家に来ると、その人が帰るまでどこかに隠れているほどの人見知り。私と二人きりの時はそこまでじゃないけれど、でも、少し心の壁を感じることもある。
猫だけど、群れない狼みたいだと思った。
三匹それぞれ個性は違えども、みんな自由に生きていたと思う。
みんなのことが大好きだったし、今でも大好きだ。
自由とは、たとえそれが猫であっても尊重されるべきだというのが私の意見であるけれど、今はその自由を侵そうとしている。
ある日、三匹同時にいなくなった彼ら彼女らを探して、私は旅をしている。
みんなが自由を生きられていることを願って。
こんにちは、白木 一です。
不定期投稿掌編シリーズ第三弾、「Calamitous Cats.」です。
少し前からTwitterを始めたのですが、フォローしている方に猫の飼い主さんが多く、かわいいなぁというきっかけで思いついた話です。
本編に登場した猫たちは好きな種なのですが、一番はマンチカン。これだけは譲れません。
三匹たちの名前もあえてここでは書きません。
またどこかに出してあげたいと思っています。
本気で猫が飼いたい白木 一でした。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
これからもよろしくお願いいたします。