Bloody Bacchus.
大人の象徴ともいえる酒や煙草は、この世界から消えてしまえばいいと思う。私はそれらが大嫌いで、特に、酒には悪い思い出しかない。どちらも使用した本人だけでなく、その周囲の環境さえ壊してしまう。
記憶の中の父は、いつも酒を飲んでいて、母や私に手を上げる。職場では人望を集めているらしいが、家に帰りネクタイを緩めた途端、酒に呑まれた鬼と化す。そうなってしまえば、もう、人の力では止められない。抵抗するほどその時間は続くため、私達は為すすべもなく、ただ耐えるだけ。
もしも、世界から酒が消えれば、母を哀しませる鬼が現れることもなかったのかもしれない。さらには、交通事故などの酒が絡んだ刑事事件が減少し、その分世界が平和になる。煙草も同じで、その毒煙がなくなれば、より長く生きられる人だって数多くいるかもしれないのだ。
たとえ嗜む程度にしようと心掛けても、よほど意志の強い人でないと、その決意は簡単に崩れる。嗜み程度の酒が酒を呑み、気づかぬうちに酒に呑まれ、本人は呑まれたことすら記憶に残らない。そして、再び酒を飲む。
酒がなくならない限り、酒飲みは消えない。
そんな当たり前のことを思いながら、私はブラッディ・メアリーを一口嘗めた。
こんにちは、白木 一です。
不定期投稿の掌編シリーズ第二段、
「Bloody Bacchus.」です。
バッカスとはお酒の神様、題意は
『血まみれのバッカス』となります。
私はまだ未成年ですが、酒と煙草の臭いが嫌いなため、書きたくなったお話です。
これからも、書きたくなったお話をどんどん投稿していくので、ときどきは白木 一のことを気にかけてほしいです。
わがままでごめんなさい……。