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出会い。
さっきから窓際の席に座る人間の男が気になるようで、魔鬼はちらちらと男を見ていた。見た目は至って普通で、スーツを着ているからサラリーマンだろう。でも、あの男の周りには何か別の気配がした。
「マスターあの男、よく来るの?」
「ん? ああ、最近来るようになったお客さんだね」
「ふーん」
「気になってるのかい?」
「あの男には何かが憑いてると思う」
「幽霊、とか?」
「幽霊だったら問題はないさ、ただ、死んでから時間が経ち過ぎて悪霊化してたら大問題だろうな」
「その割には随分とのんびりしているね」
「別に僕の仕事じゃないし」
「確かに」
「でも、おかしいな」
「何が?」
「人が死ぬ際には死神が絶対に迎えに来るはずなんだけど」
「つまり、あの幽霊には死神が迎えに来ていないって事?」
「それか、死神の誰かが意図的に野放しにしたか」