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馬車

半分ほど大男の数が減ったところで、馬車の護衛たちもこちらに気がついたようだ。

最も豪華な鎧を着た者がこちらに何かを言っているが、無論内容はわからない。

「〇△◎XXXX何者X△」

単語が一瞬だけわかったような気がしたが……。

"ステータス"の文字と同じで集中できたところだけ聞き取れるのか?


「待て、まだ動くな」

無駄とはわかっているが呼びかけてみる。

まだ広場の出入り口を固めている敵を排除する前に馬車が逃げ出し始めた。

護衛と離れてしまうと守れなくなってしまうぞ。

御者が勝手に動かしているようだ。窓から乗客の女が身を乗り出し、戻らせようとしているが指示が出せていない。

御者を殺すか、馬を殺すかして止めるか。

しかし敵対行動と取られかねないやり方は避けたかった。

「やむを得ぬ」

十匹ほどに減った大男どもに血塗れの大剣を叩きつけ、ひるんだ隙に馬車に追いつく。

右後輪を思い切り殴りつけるとバラバラに砕け、うまく馬車が止まった。

驚愕する御者を横目にさらに加速し、道路の封鎖をやめてこちらに向かってきていた大男の増援を迎え撃つ。

素手ではあるが、"蝕み"はこれ以上発動させたくない。

止めるのではなく、殴り殺す。

殺意をこめると、手甲から影のような棘が伸びた。

切り下ろす。切り上げる。薙ぐ。

鈍らな剣よりよほどうまく殺せる。

人数分腕を振ると生きている者はその場にいなくなった。


反対方向からの増援も同じように片付けた。

護衛たちはそれなりの手練であったようで、人数が減った大男たちでは相手にならず、七人から減ることなく馬車の周りの敵を殲滅していた。

「しくじったわ」

"蝕み"で魅了された大男がボロボロになりながらもまだ立っている。

護衛たちも一応は味方した形になったので殺しかねて遠巻きにしているようだ。

さきほど呼びかけてきた豪華な鎧の者が大男を指差しながらこちらに向けて何か言っている。

どうにもならぬ。いきなり攻撃されないということは、一応味方とは認識されたようだが、言葉も通じず、裏切り者の大男を従えているとあっては到底白馬の騎士という具合にはなり難い。

大男は我が近寄っても特に反応せず、辺りを見回したりしている。

貴様は用済みだ。

脳天を殴りつけると、首がめり込んで、死んだ。

護衛たちは驚いたようだが、どうせ連れていくわけにもいかぬ。

さあ、後はどうごまかすか。

我は微笑みを浮かべようと努力した。

自分の顔の形もわからぬままではあったが。



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