大迷宮踏破・下層
結果的に怒り熊はいい経験値になってくれた。
この怪物は一定の確率で通常より多く再出現することがあり、パーティー壊滅の原因の一つになるらしい。
通常より多く、というのが曲者で、上限は決まっていない。
まれに百匹以上出現すると災害並みの扱いになるのだが、今回も似たような事が起こった。
百匹とは言わないが、再出現ポイントの部屋が怒り熊だらけになったのだ。
「他の部屋に逃がすな」
「はい!」
「てりゃああああああ!」
二人が斬りかかる間に"光弾"を呼んでおく。
「複数生成できます。生成数はいくつですか?」
百にしておこう。
全てに当たるかどうかはやってみないとわからぬが、注意を引ければよい。
"光弾"がアリスとフェイを追い抜いて怒り熊の群れを覆う。
やはり蝙蝠のような具合にはいかない。複数当たっても倒せていない。
せいぜい毛皮を盛大に焦がす程度だ。
だが、襲いかかってきた怒り熊は結局我の位置まで一匹も到達できなかった。
『剣閃乱舞』
『重拳』
アリスの双剣が残像を残すほどの疾さで怒り熊を切り裂き、フェイの拳が体に大穴を穿つ。
見えない腕が持つ盾はフェイへの攻撃すら遮っていた。
仲間を守ることもできるようだ。
『光弾』
今度は二百。
倍する数の光が怒り熊をなめつくすと、かなりの数が燃えて倒れた。
あとは大丈夫だろう。
フェイとアリスは傷一つ負うことなく残りの熊を殲滅した。
「経験値がものすごくたまりました!あ、ああああ?38レベル!」
「あたしは2つかあ……しょうがないよね。77レベルです」
「ここはもうよかろう。降りるぞ」
我等は怒り熊の残骸を放置して下層への移動を再開した。
「素材をとっていかなくてもいいんですか?」
「カバンに空きがない。食料を捨てていくか?」
「いえ!結構です!」
フフンとアリスが鼻をならす。
「お子様ね。フェイちゃんは」
食い意地が張っているのはお前もだがな。
十一から十三階は鉱脈の露頭があり、人が多い。
鉱夫と護衛兼見張りが列をなしているため、到底レベル上げなどできる状態ではなかった。
「十四階のムービングツリーを倒してリンゴ取りましょう。そろそろ甘いものがほしいです」
「あれか……」
たしかに都合がいい敵ではあるが。
「よく知ってますね。姉さん」
「この間来た時にハイデンベルク様に食べさせてもらったのよ。膝枕で!」
「すごい!うらやましいです!」
膝枕などしていない。
「ムービングツリーの実はみかけも味もそっくりだがリンゴではないぞ」
「え」
「"毒"リンゴだ」
「ででででも、おなか壊したりしませんでしたよ?」
「あれには強烈な睡眠薬が含まれているそうだ。調子が悪そうだったので寝かせておこうと思ってな」
「うう……」
落ち込んだアリスをなぜか勝ち誇った顔のフェイがなぐさめていた。
「十四階に着いたぞ。いくらでも狩れ。しかし食べるなよ」
「食べませんよ!ちっくしょおおおおおおおおお!」
アリスの剣の冴えが増したようだ。
「負けていられませんね!」
フェイも新たに身につけたらしいスキルでムービングツリーの厚い樹皮を軽々と貫通している。
なかなか調子がいい。
午後の数時間だけで見渡す限りの怪物は残らず木片と化した。
フェイの能力をかなり上げることができたようだ。アリスと並んでも遜色はない。
名前:フェイ
種族:人間
称号:捧げたる者
称号:神の拳
職業:聖闘士
職業:助祭
後見人:ヨーハン・ハイデンベルク
レベル:61
経験値:0
HP:96000
MP:2750
力:1120
敏捷性:1711
正確性:1542
魔法力:95
耐久力:1450
肉体技能
高等拳術
風の捌き
無手無双
重拳(後見人の知覚範囲内にいる場合使用可能)消耗MP5
連続拳(後見人の知覚範囲内にいる場合使用可能・追加攻撃の回数を増加可能)消耗MP5
蓮華掌(後見人の知覚範囲内にいる場合使用可能・即死効果)消耗MP20
極限剛力
罠解除・中位
精神技能
罠感知・中位
危険感知・中位
精神防御
状態異常大抵抗
神聖魔法
聖闘士宣言(使用可能)消耗MP0(使用後死亡する可能性有)




