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悪魔の尖兵がテンプレ異世界で茫然とする  作者: papaking
デーモン!デーモン!
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大迷宮踏破・養成

大迷宮踏破は我等にとってもやるべきことだ。

フェイのレベル上げ、新しい戦闘スタイルの確立などは実戦でなければ出来ぬ。

しかし武器は結局調達できなかった。

この状態でもできる戦い方をしていくしかあるまい。

もう一度ゴランの店に戻り、フェイになるべく頑丈な手甲を付けさせる。

無論重いが、その重量が武器になるだろう。

我についてはいくつか増えた魔法を試してみるしかあるまい。


携帯食などを買い込み、大迷宮を降りていく。

オスタードとの戦いに赴く際、罠は無視できるものは無視し、そうでないものは体で粉砕してきた。

だが、今回はそうはいかない。

罠解除を持つフェイの経験を積むためだ。

「罠を扱ったことはあるのか」

「子供が兎を捕まえるのに使うようなものなら……でも、大丈夫だと思います。技能のせいか、頭の奥のほうから、あの、出てくるんです」

「罠の知識がか」

「はい。罠がどこにあって、どういう仕組みなのか、自然にわかってきます。あ、姉さん、そこは危ないです。くくり罠があります」

アリスが大げさに飛びのく。

前回降りたときには本を読みながら回避した罠ではないか。全く覚えていないようだ。

「解除してみてくれるか」

「いくつかまとめて無力化します」

フェイがつっかえつっかえ説明するところによると、こうした迷宮の罠はパターンをもって仕掛けられており、一つを回避しても、それで安心はできないのだそうだ。

枝を払って持ってきた細長い木を槍のように使って安全に解除していく。

「もっと強い、機械的な罠でなければこれで十分だと思います」

「素晴らしいな」

「お役に立ててますか?」

フェイがうれしそうに笑った。

「なんか、私の時よりやさしくないですか~~?」

アリスがやさぐれている。

「やっぱり女は若い方がいいんですかねー」

「そんなことないですよ!姉さんは美人だし、強いし、私なんかぜんぜんかないません」

「フェイちゃん……あんた……」

涙ぐむな。

フェイに甘いのではないかというのは自覚している。やはり最初に弱りきった姿で会ったのでいまだに保護の対象として見ているのだろう。

「でも正妻の座は譲りませんよ!」

「正妻って……まずは恋愛関係からじゃないの?」

「姉さん、世の中には体から始まる恋もあるんですよ」

「ちょっと、静かに!聞こえるよ!でもそういうのもアリなのかなあ……」

完全に聞こえている。

フェイのおかしな知識の詰まった頭は聖闘士になっても変化しないようだ。

そして十近く年下の娘に感化されるな。しっかりしろ、アリス。


六階までの有象無象が行き交う混雑振りとくらべ、七階以降は静かなものだ。

「シッ!!」

鋭く拳が振り抜かれる。

増える罠と共にこの階からの難易度を上げている原因、洞窟大蝙蝠の群れをフェイの格闘術は圧倒していた。

それほど耐久力のない蝙蝠だが、熱病をもらいかねないので進んで相手をする者は多くない。

どうしても戦うときは網を使うのが常道で、剣どころか殴って落とす、など非常識なことだ。

「攻撃を受けるなよ。治癒で直るかどうかわからぬ」

「大丈夫ですよ。ものすごーく遅いです。シッ!」

グシャリと大蝙蝠がつぶれる。

フェイの周りには蝙蝠の肉塊が積み重なっていた。

同じようにアリスも倒しているが、その数は少ない。

素早さというより、その複雑な飛び方が倒しにくくさせているようだ。

「この!よけるんじゃないわよ!」

かなりイラついている。剣で落とすのと同じほどの数を見えない腕が振るう盾が落としているのもそのイラつきを増幅しているようだ。

「あ、盾!それ私の獲物!」

コーン。

いい音をさせて盾が蝙蝠を昏倒させて撃ち落す。

「盾の分際でええええええ!」

自分の能力と喧嘩をしてどうする。

「フェイ。どうだ。問題はないか」

「はい!でももう蝙蝠はいいかな」

退屈そうだ。思ったよりもやる。

「ではそれがしも参戦するか」

我が使える暗黒魔法はどれも名前からして攻撃用ではない。

逆に神聖魔法は攻撃的な名前ばかりだ。

"死者討滅"は今の状況では意味がなさそうだ。そればかりか、どうみてもアンデッドを破壊しそうなのだが、この世界にアンデッドはいないはずなので覚えているだけの死に呪文ということもあり得る。

ではこちらか。

『聖光』

目もくらむような光が我の背後から発して蝙蝠どもを襲った。

もちろん他の者にも。

「あうううううううう」

アリスが目を押えている。

丁度こちらを見てしまったようだ。

蝙蝠どもはいくらか影響をうけてフラフラしていたが、飛ぶのに支障はなさそうだ。

蝙蝠は目に頼らず飛ぶとどこかの文献に書いてあった。それが真実だと今わかった。

「ハイデンベルク様~~何かやるときはちゃんと言ってくださいよ~~」

「え、今なにかありました?」

フェイが振り向いてアリスに駆け寄る。

蝙蝠の攻撃は見えない腕が元気に飛び回っているので平気なのだが。

「すまんな。次は言う」

「この間もそんなこと言われた気がするぅぅぅ」

『光弾』

「複数生成できます。生成数はいくつですか?」

飛んでいる蝙蝠は三十ほど。

多めに五十にしておくか。

複数生成すると多少消費MPが増えるようだ。

合計750消費した。

五十個の光の玉が頭上に生まれた。

各々目標に向かって時間差をつけて飛んでいく。

多少なら逃げても追うようだ。ただ、どれを狙うかまでは決められないようで、複数当たってボロクズのようになる蝙蝠もいた。

蝙蝠程度なら一発で殺せる。

狙いを定める必要もなく、フェイやアリスは器用に避けるので便利だ。

単なるエネルギーの塊ではなく、意思のある精霊を使役する呪文なのだろうな。

「なかなか便利だ。それがしの武器はこれだけでなんとかなりそうだな」

「だったらさっきの光はなんだったんですかねえ……」

「姉さんうらやましいです!私もヨーハン様の魔法で苛まれてみたいです!」

「そ……そう?えへへ……」

だらしない顔で照れるな。おかしな趣味を植えつけるな。

困ったものだ。


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