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魔族の存在

少年のように見える。

突然現れた三人目のことだ。

顔色は紙のように白く、身につけているものは貴族の侍童が身につけているような半袴と黒い上着。

明らかに常人ではない。

額から伸びる巨大な一本角。銀色の光を放つ目。

「冒険者のヨーハン・ハイデンベルクと申す。こちらは連れのアリスである。」

「冒険者なのは見りゃわかるよ。もっとマシなこと言おうぜ」

「尋常に挨拶せよ」

「人間がうるせえんだよ!てめえら下等生物にいちいち挨拶なんかするか!」

少年がいきなり激高した。

蹴りつけると、迷宮の床がはがれてつぶてのように飛んできた。

我はアリスにあたりそうな破片を叩き落し、同じように迷宮の床をけりとばした。

少年が破片を拳で弾く。

「やるじゃんか。その姉ちゃんはどうでもいいや。出てっていいよ。」

少年が今度はにやにやと笑った。

「アリス。外に行け。あそこから出られそうだ」

ボスを倒すと、黒一色だった壁が1面だけ光るようになっていた。

「でもこの子敵でしょ?」

「そうだ。なかなか強そうだ。お前がいると十分戦えぬ」

アリスは悔しそうに唇を噛んだが、おとなしく出ていってくれた。光る壁に触ると外に移されるようだ。

「足手まといがいなくなったとこで名乗ろうか。魔族のフィリフェインだよ」

「魔族?」

「あれ、あんたも魔族じゃねえの?変な魔力の流れがあったから来てみたんだけど」

「知らんな……魔族というのは悪魔と関係があるのか?」

「悪魔ってのはアレだろ、人間の作りごとの中に出てくるもんだろ。そんなもんと一緒にするなよ」

「魔族という種族があるということか」

「そりゃそうだけどさ……なあ、あんたほんとに魔族じゃないの?力とか魔力とかどう見ても魔族なんだけどよ」

「魔族というのはお前の種族だろう。そんな角は持っておらぬ」

「ええ……いや、角はあったりなかったりするけどさ……ほんとに知らないんだな」

「くどい」

「俺の見込み違いか。しょうがねえ、死んでもらおうかな」

銀色の目が光った。

首に衝撃が走る。

「あれえ、かったいなあ」

腹に、足に、頭に、攻撃を受けている。

目が光ると瞬間的に移動することができるようだ。

「おとなしく死んでくれないと困るんだよなあ」

手に小さなナイフを握っている。これで斬りつけられたようだ。

「下等生物のくせにしぶといとか、困るなあ。目ならどうかな」

ナイフをもてあそびながら詰まらなさそうに言う。

少々腹が立ってきた。

「どちらが下等か教えてやるぞ。飛び回る小虫めが」

『エーテル実体化解除』

我の体はエーテルの渦と化す。

悪の力を帯びたエーテル振動はサイーティ、すなわち悪現象を引き起こす。


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