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フェイ、再び

ごろごろごろごろ。

アリスの討伐証明と剥ぎ取った素材をカウンターに並べていく。

「え、これをアリスさんが倒したんですか?全部?」

謹慎が明けて受付に戻っていたフェリシアが驚愕の眼差しでこちらを見てくる。

「倒したのはアリスだな」

「援護はたくさんしていただきました……」

まだ含むところがありそうなアリス。まあ訓練内容はかなり厳しかったがな。

「狂い狼の毛皮75、ボーンゴーレムの魔石五十二、オークの皮九十一、オークリーダーの皮一……」

「討伐部位もある」

「はい。それも合算します。ええと、合計で二百五ターラーになりますね」

「ほんとに?!」

「ええ、支払いは銀にしますか?金貨にしてもいいですけど」

「銀にしておけ。使う時面倒だ」

「あ、うん。ハイデンベルク様と半分でいいの?」

「これはお前のものだ」

アリスが固まる。

「そんなわけに「だめですよ、ちゃんと等分してください」」

途中でフェリシアが割り込んできた。

「それがしは討伐には参加しておらぬ」

「そんな話通りませんよ。ボロボロになった装備を見ればアリスさんが討伐の主体だったのはわかりますけど、援護がなければそんなに倒せる訳がないんですから」

「かまわぬと言っているのだが」

「そんな話が広がると色仕掛けでレベルを上げてもらおうとする女性冒険者が群がってきますよ。今でさえアリスさんは注目の冒険者であるハイデンベルクさんのパーティーに入れてもらってやっかまれているんです。一気にレベルを上げてもらったり、装備を買ってもらったりしてることを知られたらもっとひどいことになります」

「わかります……」

「そやつらにも一緒のことができるならやってやろう」

「本気ですか?」

「アリスはなかなか根性があった。泣きながらでも格上の怪物に必死にくらいつく根性がな。色仕掛け云々はともかく、誰にでもできることだとは思わぬ」

アリスが伏し目がちになっていた顔をあげてこちらを見た。

「そうですよね……私、がんばりましたよね!おしっこ漏らしても戦ってたし!」

「も、漏らし??」

フェリシアが若干引いている様子だったので我らの"パワーレベリング"の詳細を伝えてやった。

「ハイデンベルクさん」

「何か」

「あなた、鬼ですか」

フェリシアの顔がかつてないほど冷たかった。


「漏らし……そういうのもあるのね……」

情け容赦ない"ノール潰しのパワーレベリング"のやり方が冒険者の情報網を伝わり、主に女性冒険者がすさまじい勢いで引く中、更なる性癖を獲得し、別の意味でレベルアップを遂げる少女がいた。

フェイ。9級冒険者であり、ヨーハン・ハイデンベルクをご主人様と慕う彼女は牙を研いで出番を待っていた。


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