宿屋に篭る日々②
MPというやつ、時間と共に回復するようだ。
夜半を過ぎたころに試すと、ステータスの解読がまたできるようになっていた。
慎重に上から解読を進めよう。
称号の下には
HP:150211(150211)
MP:95(98)
とあった。
HPとやらは括弧書きの中と同じ数値、MPは違う。
今またMPが変化した。
左の数値が92に。
括弧書きの中が最大値で、左は現在の値と見るのが正しいか。つまり現在も消耗中ということだ。
おそらくMPというのは精神的な力を現す。するとHPというのが肉体的な力ということか。
耐久力という数値と何が違うのだ。全くわからぬ。
肉体的な疲労を表すという仮定はできたが、今のところ実証に至らない。
多少腕を振ったりするくらいでは影響はなさそうだ。
それにしても魔術師として名を馳せた我の精神の値がこれとは、情けなくなってくる。
そうしているうちにまた3減った。
いくつまで減るのだ。
0になったときどうなるのだ。
しばらく時間をおいてじっと見ていると、数値がどんどん減っていく。同じ文字を見ていても減るということは、解読したときにだけ消耗するというものではなさそうだ。
ついに解読ができなくなった。
直前の数値が5だったので、今は2になっているはずだ。
おそらく今、ゴランの店から帰って来たときと同じ状態になっている。
この状態で無理に解読をしようとするとどうなる。
安全な部屋の中で試しておくべきだ。
意を決して画面をにらみつける。
ふ、とかすかに揺れて、MPが0になった・・・・。
この世界に堕ちて、我は初めて意識を失った。




