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ステータスの消し方

危ないところだった。

ふと思いついて話す方に集中してみると、その間だけ翻訳されて伝わるのに気がついた。

話している間は聞き取る事はできないのだが……。

胡乱げな目で見られているのはわかっているが、これで"外国人であまりこの国に慣れていない戦士"という設定に一応の説得力を持たせることができたはずだ。

無論、外国人の戦士などどいうもの自体、信用がおけないものであろうが、いきなり殺されたりはしないはずである。

子供っぽい女の声が馬車の中から聞こえていたが、集中しないと内容がわからない。護衛がなだめるように呼びかけている。高貴な女人とはいずこにおいてもわがままなものだ。

ほっとすると同時に、この世界に堕ちた当初からの大問題を相談してみようという気になっていた。

護衛隊長の名前はさきほど教えてもらっている。

「アリアス殿」

「なんでござろうか」

「アリアス殿ハ"すてーたす"ニツイテ何事カゴ存知デアロウカ」

「"ステータス"?ステータス魔法についてであるかな」

「ウム」

なんだその珍妙な魔法は。

「そうはいってもそれがしなどの一介の武人、詳しいことは全く知らぬが、オープンとクローズの二つの呪文を授けた創造の神の恵みには日々感謝しておる。魔法など学んだことがなくても呪文を心の中で唱えるだけで自分の能力や成長が目の前で読めるのだからな」

「……ナルホド」

「まあそれがしなど、剣ばかり振っておって文字を覚えたのが遅かったので、子供の時分は呪文だけ教えてもらっても開いたこともなかったがな。ははは。ま、聞きたいのはこういうことではあるまいが、わが国の誇るステータス魔術研究については、詳しいことは知らぬし言えぬ。冒険者ギルドなどでは便利に使っておるそうだがな。」

鋭い目でこちらを見ている。なんだかよくわからぬが、他国の間諜とでも思われているのか。

「イヤ、ソウイウコトデハナイノダガ……」

「では、それがしのステータスについて聞いておられるのかな。忠告しておくが、この国では他人のステータスについてあまり聞いたりはせぬほうがよい。犯罪というわけではないが、無礼とみなされることがあるゆえな」

「アリガタシ」

貴重な情報だ。

心の中で「クローズ」と唱えてみる。どちらかが消す呪文だろう。

我を悩ましていた目の前の"ステータス"が消え去る。ということは。

「オープン」

また"ステータス"が見えた。

能力と成長が見えると言っていたな。

経験値:6999

大男を倒す前は1だったのだからずいぶん増えたものだ。ほかの項目も落ち着いたら見てみなければなるまいな。

「名乗ッテイナカッタ……ヨーハン・ハイデンベルクデアル」

「おお、これはご丁寧に」

鋭い目は変わっていないが、歩きながら手を出してきたので握手しておいた。

このあたりの習慣は同じようだ。


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