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Kの証言  作者: T.K.I.K
5/6

追憶3

「えー、イベントも終ったので、気持ちを切り替えるように。進路面談がまだの人はこのあと私の所へ希望する時間帯を言いに来てください。補講がある人は早川先生のところに集まってください」



三年生は何かと忙しい。この時期に進路が決まっていない奴はさすがにいないだろう。


「特に無い人はこのまま下校するように」



特に無いので、帰ります。マフラーあったっけかな。


「マジめんどくさいー。ユウコ、アタシの代わりに願書書いてよ」


「ハルカ駄目だよー。願書は自分で書かないと。」


「だってこれ予備とか無いんだよ?ミスったらマジ終わりだからね」


「ハルカマジうけるー。あ、すーちゃん書いてあげなよー」



なんで俺が書かなきゃいけないんだよ。自分の進路だろ。バカはさっさと働けばいい。


「いいよ。でも字汚いよ?」


「マジ?すーちゃんマジ神や」



この時期になってやっと願書書くとか遅すぎる。まあ女は体一つでどうにでもなるしな。そうだ、このあと約束があったんだ。


「願書、今書くからちょうだい」


「うけるーやる気満々じゃん!」


「すーちゃんさ、いっそのことハルカの代わりに受験してきてよ」


「アタシの名前ですーちゃん登場とかマジ爆笑」


「わかったから、願書」


「どーぞ」



うわっ。こいつこんなとこ受けんのかよ。わざわざ金かけて行く所じゃない。進学すれば良いって問題じゃねえだろう。


「そういえばハルカ、キョウタにあった?」


「最近会えてないんだー。キョウタも忙しいんだよ」


「キョウタって進学すんの?」


「ユウコ、アタシの彼なめないで。ああ見えて頭いいんだから」


「勉強しなさそうだけどね」


「スポーツ推薦だけどね」


「えー推薦いいなー。種目は?」


「はい、出来たよ」


「ありがと。でさでさ、キョウタはね…」



わざわざ書いてやったのになんだよそれ。死ねばいい。まあいいや。約束に間に合えばいいや。彼氏なんかとイチャつく暇があんなら勉強しろ。


「すーちゃん」


「おお、将太」


「このあとは?」


「用事があるんだ、帰るよ」


「一緒に帰ろうぜ」


「いいよ」


「すーちゃんさ、何だかんだで進学先同じだな」


「幼稚園から同じだな」


「腐れ縁ってやつ?」


「それそれ」



将太は説明会行くのかな?聞いてみよう。


「将太さ…」


「将太!」


「おお、雄大!久しぶり!」


「受験で忙しかったからな~」


「まさかの三人とも進学先同じってゆうね」


「まじで?てか三人って?」


「こいつも同じなんだよ。紹介するよ、すーちゃんです」


「あっ、ども。てかなんであだ名で紹介するんだし」


「ちわーす、雄大です。将太の友だちです」


「なんだその自己紹介。簡潔だな。仲良くしてやって、すーちゃん」


「再来週、説明会あるじゃん?良かったら三人で行かない?」


「雄大ナイスアイデア!すーちゃんもいいよね?」


「俺は全然構わないけど、雄大…君、はいいの?」


「ぎこちない!雄大でいいよ。俺も全然構わないよ」



なんか、友達が出来た。進学先が同じとか凄い偶然。


「すーちゃんこのあと用事は?」


「あるけど、まだ時間あるよ」


「まじか!実は俺らのグループでもう一人友達がいるからそいつ呼んで4人でこれから遊ばない?」



将太のグループってなんだ?もう一人って知ってる人かな。


「いいよ、楽しそうだし」


「はい決まり!」


「おっけ、今電話するから」


「アイツ電話でるかな?」


「彼女と一緒にいなければすぐでるよ」


「あ、繋がった、もしもし?今どこ?………まじで?じゃあ駅前に集合で、はいはーい」


「何だって?」


「八王子駅にいるって。さっき将太にメールしたって言ってたよ」


「ホントだメール来てた。全然気がつかなかった。今ひま?だってさ」


「うける。じゃあ行きますか」



すげえ二人でやり取りしてるけど、俺浮かないかな?遊ぶってどこかな?


「すーちゃん、とりあえず八王子駅に行くことになったから行こう」


「わかった」


「アイツ彼女はどうしたんだろ」


「今日はたまたま会わない日なんじゃね?あとで聞いてみるか」



頭のなかではめっちゃイケイケな人物が思い描かれている。最悪の場合ヤンキーかもしれない。


「将太、その人ってどんな人?」


「えーと、雄大は俺の近所の人。で、雄大の友だちがアイツ」


「見た目はチャラく見えるかもな」


「でも、進学先決まったってよ」


「まじで?勉強してなかったじゃん」


「スポーツ推薦だよ、アイツは」


「なんだよ。で、進学先はどこ?」


「俺らと同じだよ」


「まじかよ、どんだけだし。しかもスポーツ推薦あったんだ」


「アイツ、サッカーしか取り柄ないからな。勉強は無理っしょ」


「いや、ボーリングと賭け事はつえーよ」


「確かに。最近受験で忙しかったからモヤモヤしてるかもな」


「噂をすれば、やつから電話だ」


「まじで、貸して。もしもし、俺、将太だけど」…



学校を出て20分近く、会話に入れないまま八王子駅に着いた。なんかすでに俺浮いてる。


「うぃーっす、雄大、将太」


「待たせたな」


「紹介するよ、進路は俺らと同じで…」







将太が紹介している。思っていたほど不良感はない。むしろ清潔感溢れる人。そう考えたせいか、将太の紹介があまり頭に入らず、ぼーっとしてしまった。




「はじめまして、進路同じだから仲良くしようね」


「よ、よろしく」



なぜか動揺してしまった。


「ケイちゃん、こちらがすーちゃん。大島純吉で、すーちゃん」


「よろしくすーちゃん。俺は川田京太で、京をけいって読んで、ケイちゃんです」


「ケイちゃん」






あだ名って言うのは色んなところに由来が転がっているんだと思った。











「高校行ってもよろしくね」















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