六話目:初登校(?)
―次の日
登校時刻のため生徒でごった返している通学路を、「光」と「僕」―つまり「レイル」と「僕」―はお互い違った気持ちで歩いていた。
まずレイルだけど………うん、レイルは正直言って、余裕だ。レイルにとっては初登校(勿論「光」にとってはありふれた日常の一ページ)だが、別に緊張で力んでいる様子はなければ、一時間後位に行われる予定のことについても、全く気にしてない様子だ。
そしてもう一方の僕だが………恥ずかしながら、いわゆるレイルと正反対だ。こう言えばだいたい僕の様子は分かるのであえて説明しないけど。
「………さっきから何をそわそわしているんだ」
レイルが―自分の左肩あたりに浮いている僕に向かって―言った。
―ねぇ、ホントに大丈夫なの? 昨日、教科書のテスト範囲の所を読んだだけだけなんだけど……
「まぁあれくらいで、何とかなるだろう」
―一応君は「知我光」なんだから、あんまり僕の立場を揺らがさないでよね………
「………なるほど。そう言ってるおまえの実力はとてつもなくすばらしいのか……確かにこれは手が抜けないな」
ギクッ!!!!
……実を言うと僕の成績はいい方でも悪い方でもなく、中間というよく分からない場所だ。
……………僕はまんまとレイルに一本とられてしまった。
「あ、おはよう! 光!」
突然、後ろから声がして僕とレイルは振り返った。
―あ、浩介か……
未原浩介。一口で言うと僕の親友だ。
レイルは一瞬僕の方を見たかと思うと、すぐに向き直って言った。
「あ、あぁ…おはよう」
言った途端、浩介が「ん?」という仕草を見せた。
「光……今日は声低いな。風邪でも引いたか?」
「あ、いや別に……」
「そうか……?」
浩介がレイルを(まぁ正確に言えば、「光」を)まじまじと眺める。確かに、なんだかレイルの声は十三歳にしては低いように聞こえた。
―レイル!もっと声のトーンあげて!
「あ、あぁ……」
そう返事したレイルの声は、まだ低いように聞こえた。
「? じゃ、お互い今日はがんばろうぜ」
浩介はそう言うと、僕らを追い越して行った。
―ふぅ、一瞬ひやひやしたよ……
「…しかし、おまえの声はずいぶんと高いんだな」
レイルが言った。
―ちがうよ!レイルが声低いんだよ。さっきの返事でもまだ低かったし………
「あれ以上は無理だ。さっきの浩介とやらの声も聞いてたが、やっぱりおまえが高いぞ」
―えぇぇ………そんなこと無いと思うけど………
僕はそう言い返した。
―とにかく! 今日のテストをがんばろうよ。怪しまれないためにもさ。
「そうだな。………ところで、まだ昨日のやつを見てないが、何処にいるのだ?」
―あぁ、小春先輩はもうとっくに来てると思うよ。あの人、朝早いから。
そう僕が言った時、ようやく(なんだかずいぶん長い時間がたったみたいに感じる)校門が見えてきた。…………しかし僕、そんなに声高いかな………?




