十四話目(別の名で最終話):帰る
どのくらい時間がたったのだろう。
いや、実際全然時間はたってないんだけど。
しかし、これでやっと元の体に……。
…………
―……………あれ??
僕は自分の体を確かめた。
しかし…………
………元には戻っていなかった!!
「……な……あれ?」
レイルもやっぱり戻っていない。僕の体で辺りを見回している。
―ねぇ、どういう事? 一体どうして戻ってないの?
僕は言ったが、しばらくレイルは黙ったままだった。
しばらくして………
「……ひょっとしたら!」
突然、レイルはすごいスピードで図書室を飛び出していった。
僕は突然の行動に驚きながらも、急いで後を追った。
―ここ………七組?
そう、レイルが向かったのは、一年七組の教室だった。
そして、そこには一人の人影があった。
「あれ………君は………」
それは、うたた寝していた憂だった。
「ちょっと来い!」
「な、何なのさ急に〜」
レイルは憂を引っ張って再び書庫へと戻ってきた。
そして、片手に例の新品書(で、押し通します)片手に花………もとい憂の手を握った。
そして、目を閉じる。
しばらくしてから目を開けて、ただ一言、言った。
「やっぱりそうだったのか………」
僕には訳が分からなかった。いや、もうこの際訳が分からなくていいやと思った。
レイルは憂に新品書を指差して、開けてくれと指示した。
「むむ……………これでいいの………?」
憂がページを開いたときだった。
カァッ!!!!!!
さっきよりもっと、いや、ずぅーっと強い光が僕たちを包み込んだ。
僕は光に呑まれないように二人を見た。
憂はまだ訳が分からないようで、ぼーっとした顔つきをしている。
レイルは、どうってことな……………………………違った。はっきりとは分からなかったけど。
カァッ!!!!!!!!!!!!
うわっ! ………………………………………………………………………………―――――
「ここは……………」
図書室、と自問自答しながらおきあがった。
「うう……なんだ今のぉ?」
これは憂。
それで終わり。
会話はそれで終わった………
…………戻ってる!!
ずっしりと重い僕の体。起き上がるのがずいぶん大変に感じる。
久しぶりの、床や、棚などの物体の感触。
とても嬉しく感じた。
ふと、僕は足下に転がっている本に目を向ける。
誰が見ても、分厚い書庫似合いの本―
そのどうってことない本で、様々な思い・感情が巡ってきた―
僕は、それを拾い上げる。
そしてどうってことないように、棚に戻す。
そして、憂の方を向いて一言
「帰ろう」
―さぁ。
帰りましょう。
非凡の平凡。日常へ。
これで、「僕とレイルの取っ替え騒動記」は終わりです。
今までご愛読、有り難うございました。
未熟な私ですが、これからの小説も、どうぞよろしくお願いします。