一話目:事の始まり
「はぁ………全くやんなっちゃうよ」
と、さっきから小言をつぶやきながら、僕―知我 光は図書室の本の整理をしていた。
先輩に言われて、さっきから何百冊……いや、何千冊もの本を一年生全員で整理している。
僕は奥の書庫の本を整理しているのだが、この仕事がえらく暇で、地味だ。
普通解放しているところに並んでいる小説などとは違い、ここに置いてある本はえらく分厚く、中身がなんじゃこりゃ的な本ばかり。主な原因はこれだ。
そしてもう一つ………
「ん?なんだこの本」
僕は一冊の本を手に取った。
他の本と同じく、えらく分厚いことには変わりないのだが、この本だけあまり埃がかかってない……どうやら最近ここに置かれた本のようだ。
試しにぺらぺらとめくると―
あるページで、突然本がまばゆい光を発した!
「!!!!!!!」
カッ!!
ブゥワッ!!
―うわっ!!
んん……ここは…………
なんだか意識がぼうっとしている。
どうやらここは、さっきと同じく、書庫のようだ………
「うう……………」
??
なんだか側でうめき声がした。誰か入ってきたのだろうか?
「うう……ここは…」
低い声の方を向くと、目の前には見覚えのある背中がみえていた……………
……………え?
一瞬目を疑った。
いや、目は正常だ。
でも、確かにこの人物の着ている服は、今日僕の着てきた服と全く同じ(あ、僕の中学は自由服なので、そこんとこよろしく。
似たようなくしゃくしゃ頭。
短い足。
声もかなり低いが、質はどことなくそっくりだった。
―あの……
なんだか変な感じがする。
僕の声が届いたのか、その人物はさっとこちらへ振り返った……
―……え???
また目を疑った。
だから目は正常だって。
でも、目の前の光景は信じがたいものだった。
青い服、黒いズボン―お世辞にもセンスがいいとは言えない、今日僕が着てきた服。
くしゃくしゃ頭の短足。
そして、あまり頼りなさそうな感じがする目と、そこにかけられた丸渕の眼鏡。
……その人物は間違いなく僕だった………
……って
ええええええぇぇぇぇぇぇ???????