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ゆめわたる  作者: 燈夜
7/9

On the first day-Beginning of the towns, and front man.

一日目ー 門前の男。始まりの町。

暫く歩いていると町に着いた。

町に着くまでの描写?申し訳ないがカットだよ。只管(ひたすら)歩いていただけだからね。

何も面白くはないよ。残念だけどね。


「ここが町?」

「はいそうですよここは始まりの町テラです」

私が目前にそびえる城壁を見上げながらそう問いかけると、ジュピターとは逆の方向から答えが返ってきた。

「ぬおおおおおー!?」

「ジュピター。いろいろ剥がれかけてる」

ジュピターが女が口にすると不味いような野太い諸々(もろもろ)の悲鳴をあげて跳ね上がっているのを横目に見ながら、私は声のした方向に目を向けた。

その先に居たのは、欧米人風の彫の深い顔をした男だった。

「あんた誰」

「私ですか?私はこの町の門番をしておりますマークと申します。以後よろしくお願いいたします」

「そう」

相当ぶっきらぼうに聞いたはずだが

門番とやらは全然気にした風のないような顔をして

なんの反応も見えなかった。

いくらなんでも初対面の人にここまで威圧的に返されれば多少は動揺する筈だが、しかし彼は愛想良く答えていた。

そのうえで更に先程の義務じみた台詞を顧みるに、

おそらくこいつは。

「彼はNPC(ノンプレーヤーキャラクター)かなー?」

「恐らく。それならの気配のなさもわかる」

ようやく立ち直ったジュピターが取り付けたような真剣な顔をして答えた。

そんな顔してもさっきの失態は残念だがなくならないぞ。

NPC(ノンプレーヤーキャラクター)とは、簡単に言えばプレーヤー、つまり私達が操作をしないキャラクターであり

それでいてそれぞれ個別に|キャラ設定(AI)を持ったキャラクターである。

まあ、言ってしまえばモブ。

その他大勢でしかないものが多数だ。

主に指定された言語やそれに類する言葉で反応し、指定された行動しかしないものと、性格のパターンを組んでそれに見合った行動する種類など複数が存在しているらしい。

「…あ、ねぇ、ちょっと聞いていー?」

私の口撃によるダメージで一通り悶えていた状態から立ち直ったジュピターがあいつにしては珍しく静かに門番へ問いかけた。

「この門の先にある町はどんなところなのかなー?」

その突飛な問いかけに、門番はやはり愛想良く返した。

「はい、了解です。この先にある町は始まりの町、テラと呼ばれています。

この町はおおまかに五つに別れており、ひとつは交流の場として、ひとつは鍛治どころとして、ひとつは商売の場として、またひとつは住民の住処として栄えております」

「最後のひとつはなにー?」

「残念ですがお教えできません。

あまり用が無いなら近づかない方がいいですよ」

ジュピターのゆっるい口調に苛つきもせずまっとうに返そうとしてくれるなんて、この門番は中々に紳士らしい。いや、そういうキャラ設定なだけなんだろうけど。

「ジュピター、もう良い?」

「アリエース冷たーい。でも、もう平気ー。速く町に入ろーか」

話は終わっただろうとジュピターに声をかけといつも通りの明るい声が返ってきた。

いつも思う事だけども、こんな言葉足らずで良くわかるね。



門番マークに見送られて入った町の第一印象はなんと言うか、その。

「なーるほどー、ふつーの町ー?」

「…多分」

人通りは多くも少なくもなく、ある程度のと言える程度で、

だが一定数はいるであろうプレイヤーたちのおかげで寒村の如く人のいないわけでもない。

まあもっともNPCらしき人々もちらほら見かけるので、この町の人口は元々多くも少なくもないようだ。

この町の大きさは一日である程度回れるくらいのの大きさなようで、例えるならば○売と某ランドの中間ほどの大きさだ。

周るのに苦労はしないが少々疲れるしそれ相当の時間もかかりそうだ。

だがしかしどのゲームのどの町も大体これくらいの大きさのものが多い事を考えるとなんだか悪態をつきたくなる。

町の外観もありきたりなものに感じるし、

そこらのゲームとあまり変わらない気もする。

そもそもこういう検証じみたことは得意な方ではない。

自慢じゃないが脳筋なんだ私は。

「取り敢えずさー。このゲームの基本チュートリアルやりに行こー?」

ふらふらと落ち着きなく揺らしていた身体を勢いのままくるり一回転させ、こちらを見たジュピターがそう提案してきた。

私も私で早くも飽きて来たので即答した。

「了解」

「よーし、チューちゃん探すぞー!」

そうして私達は歩き出した、



のだが。


10分

「ねー。チューちゃんどこー?」

「知らない」


20分

「どーこーなーのー?」

「いいから探せば?」

「酷い、酷いよアリエースゥー」

「はいはい、良いから探せ」



さらに30分後


「何処にいるんだよ!」

「叫ぶなうるさい

…居ないな。今回は違う人なのかもな」

「それはあり得るけどー

信じたくなーい。

だってずーとチュートリアルはチューちゃんだったじゃんかぁー!!」

「私に言うな」

「わかってるーわかってるのー!

でも嫌なのよーぉ」

ここまで会話を聞いていたらわかると思うが、いないのだ。彼女。

チュートリアル専門にキャラメイキングされている彼女(モブ)が。

私達が覗ける範囲はあるかた見てまわったが、いない。

これまでT-MIX社のチュートリアルは非常に目立つ外見のお姉さんが毎回どのゲームでも行っていた。

彼女はどんな時もわかりやすい場所で、決して動かずにとどまり続け、

強制イベント内であろうと何時話しかけてもチュートリアルのことしか話さなかったので、何時しかチューちゃんと呼ばれるようになったらしい。(ジュピター談)

可愛い声と丁寧な口調から、彼女に傾倒する人も多かったようだ。

それは、愛玩人形を愛でるように彼女を愛で続けたとか。

そしてジュピターは一部廃人のように人生かけるほどではないが、一日一回は話しかけるほど彼女が大好きなので、かなり機嫌が悪くなっている。

「喚くな煩い」

「だっ「五月蠅い」……」

私達は既に町の真ん中にあたる広場の前に来ていた。

もう一日中歩きっぱなしで良い加減疲れたし、もう休みたい。

でもチュートリアルをやらないと、金がないのだ。

いや、それは正確ではない。

チュートリアルをやらないと、アイテムボックスの開け方や、それ以前にアイテムボックスが何かすら分からない。

T-MIX社は毎回設定が違ううえに、説明書にだって何も書いてない。

まあ、そもそも最近の説明書は何も書いてない事が多いが。

そのため、先ずはチュートリアルを受けなければならない。

受けないでゲームを進めれば、何時か必ず行き詰まるとすら言われる程だ。

だから早くやりたいのに、隣は、




「行くよ。疲れた」

「あー。ごめ「るせぇ」

「あー。アリエースちゃんブチ切れてるー。

………はぁ」

「静かにしろっつってんだろ!」


思ったよりも進まなかった…(´・_・`)


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