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矛盾
どんな盾も突き抜く矛とどんな矛も防ぐ盾。
とある国家で来たる世界大戦に備えた軍拡が行われていた。その国家のトップに位置する男は、二人の商人と対峙してる。商人はそれぞれ世界を代表する兵器製造企業の社員であり、二つの企業の内一方は世界最高の威力を有する核兵器の製造企業、もう一方は世界最高の防御を有する核シェルターの製造企業であった。
核兵器の製造企業の商人は言った。
「我が社の核兵器をもってすれば、いかなる核シェルターでも跡形も残さず破壊することができる」
核シェルターの製造企業の商人は言った。
「我が社の核シェルターをもってすれば、いかなる核兵器によっても破壊することができないでしょう」
国家のトップは言った。
「ではその核兵器をその核シェルターに対して使ってみることとしよう」
使うことができない兵器という矛盾。