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平和憲法4分の1条件

第二次世界大戦以降、日本は平和憲法を持った。

第二次世界大戦が終了して以来、世界大戦は起こっていない。先の大戦で日本は負けて、平和主義国家となった。日本が他の国と異なる点、それは憲法第9条、いわゆる平和憲法を持ったことであろう。


平和憲法を持って半世紀以上、何度か世界大戦の危機を迎えたが、なんとか日本は平和に暮らしてきた。いや、世界でも類を見ないほどの平和国家であることは間違いない。


日本国民は大抵平和が好きだし、戦争はしたくなかった。



しかし、ある人間が総理大臣になったとき、ひとつの議論が巻き起こった。


日本はこのまま本当に武力を持たなくてもよいのだろうか、と。平和憲法は世界に誇るべきものであるし、平和憲法があることによって、世界は日本のことを素晴らしいと評価してきた。だが、平和憲法はあまりに一方的に不利なのではないか。戦争を仕掛けられても、日本は相手を攻撃することができないのだ。


こうして、平和憲法に賛成する者と反対する者がでてきて、お互いに議論を繰り返してきた。


大事なことは、皆戦争がしたいわけではないということだ。平和が1番なのは皆理解していた。ただ、一方的に攻撃されて自分の家族や友人たちを失うよりも、こちらからも攻撃ができるようにしておいたほうがいいのではないか。猫にとって、無抵抗なネズミはただの食料だが、自分が噛まれるかもしれないことを知っていれば、少しは捕まえようとするのを躊躇するのではないだろうか。


議論はなかなか進まなかった。平和憲法があまりに美しかったからである。皆失いたくはないのだ。ただ、持っていてもデメリットが大きすぎるというだけで。



あるとき、一人の学者が平和憲法を保持していてもデメリットがまったくない条件を発表した。以下の4つである。


1:完全に中立で絶対的な抑止力の存在

2:世界中の国家にとって共通の敵の存在

3:世界中の国家すべてが平和憲法を持つこと

4:今後絶対に日本が戦争に巻き込まれないことの証明


以上の条件を1つでも満たすことが出来れば、平和憲法のデメリットはなくなるという。


政府は平和憲法を一時凍結し、再び平和憲法を取り戻すために、どれか1つでも条件を満たそうと、4つのプロジェクトを開始した。



だが、それぞれのプロジェクトは中々進まなかった。


完全に中立で絶対的な抑止力の存在は、核兵器を装備した人工知能で達成しようとした。この人工知能は戦争が起きると、世界中に核兵器を発射し、人類全てが同時に滅びるのである。しかし、中立という前提を満たすため、世界中の人々が協力して作る必要があった。日本だけで作っては、中立ではないのである。こうして世界中の国家の思惑が絡むこととなり、人工知能の完成は遅れた。


世界中の国家にとって共通の敵の存在の確保も難しかった。ある国家1つが悪者になっても意味がないのである。結局、地球を侵略してくる宇宙人を探すことに決め、もちろん、なかなか見つからなかった。


世界中の国家すべてに、お互いに戦争出来なくなるよう平和憲法を持たせる計画も進んでいた。しかし、どの国も「あの国が持った後なら考える」などと言って、自ら進んで持とうとはしない。平和憲法を持ったあと一方的に攻撃されては困るのである。この計画もまた、達成が難しかった。


日本が今後戦争に巻き込まれないことの証明は、経済や宗教、心理学まで、さまざまな分野の研究者たちを集めて行われた。結論は、証明は不可能ということになった。


こうして、4つめは不可能、残りの3つも非常に難しく、4つの条件の内1つも満たすことは出来なかった。



プロジェクト開始から数年が経ったとき、完全に中立で絶対的な抑止力を目指していた人工知能が完成する。しかし、タイミングが悪かった。ある2つの国家が戦争中であったのだ。


人工知能は世界中を無差別に攻撃し始めた。それにより、この人工知能は全ての人間にとっての脅威、つまり、共通の敵となった。この敵を排除するために、全国家は協力し、お互いに戦争をしている場合ではないと結論づけ、皆平和憲法を持った。しかし、人工知能は核兵器を装備している。あれよあれよという間に国が滅んでいき、世界中のあらゆる生き物が絶滅した。そして、人間がいなくなったことにより、戦争が起こらないという証明が成り立った。



こうして、4つ全ての条件が満たされたが、平和憲法という概念はすでに、地球からなくなっていた。

アイデアはあっても、書くのが難しいです。

一部修正(9/14)

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