お天気
思いつきで書いたので、おかしな文章になっているかもしれませんが、そのへんは見逃して頂いて、ほのぼのとした気持ちになって頂けたら幸いです。
特別な事は何も無い。ただただ日々を過ごしていくだけ。
僕等にとってそれは当然で、退屈で、ちょっと、楽しい。そういうのを、『青い春』って言っても、良いんじゃないかな。
「環汰、寝転がりなら物食うの止めなさい」
静かに発せられたその言葉に、井浦 環汰は首を竦めてパンを持つ手を止める。
「……ふぁーい」
環汰は僅かに頬を膨らませながら、しぶしぶといった感じで返事をした。環汰を叱った声の主である三上 遊斗は「宜しい」と言うように頷いてから、ほんの僅かに上げていた視線を、持っていた本へと戻して、言った。
「お前、その返事可愛いと思ってやってんなら一回死んだ方が良いよ。キモいから」
「酷っ!!いつものことながら酷えよ!ってか別に可愛いとは思って無いからな!?俺男なのに可愛さ求めてたらそれこそキモいだろ!!」
「そうだな。お前はキモいんじゃない。ウザいんだ。黙れカス」
「お前本当酷えな!!良いじゃんかまってくれても!本ばっか読んでないで俺と遊んでよ!!」
「そういうことは秋に頼め」
「だって秋寝てんじゃん!」
環汰はコンクリートの上にタオルケットを敷いて眠っている男子、宮村 秋を指差して言った。
「そうか。頑張れ」
遊斗は環汰にかまっているのが鬱陶しくなったらしく、それだけ言うと読書に集中し始めたらしく、環汰が何を言っても反応が無かった。
「むー…。暇過ぎる…」
環汰一人ごちて、握っていたパンを頬張っていると、環汰達が居る屋上の扉がばたんと乱暴に開いた。
「あ、咲」
環汰が呼ぶと、坂崎 咲夜は「おー」と手を挙げて環汰達の方へ寄ってきた。
「日直お疲れー」
「おー。お前ら飯食い終わっちゃった?」
「んー、遊斗と秋はね。俺はまだだけど」
「そか。ってか、お前ら友達甲斐の無え奴らだな。オイ。ちったあ手伝えよ」
「えー、だって俺と秋はクラス違うじゃん!そういうのは遊斗に言ってよ」
「馬鹿、今のあいつに何言ったところで聞こえて無えだろ」
「だろうね」
「だろ?」
二人でパンを頬張りながら喋っている間も、咲夜が騒音と共に屋上に現れた時も、遊斗は一向に顔を上げなかった。遊斗は一度何かに集中し始めると、周りが見えなくなり、何も聞こえなくなるのだ。
「なー遊斗ー」
パンを食べ終わった環汰が遊斗に寄りかかっても、遊斗は全くの無反応だった。
「ねえ、泣いちゃうよ!俺寂しくて泣いちゃうよ!!」
「環汰うぜえ」
「咲までそういう事言うー!俺もう泣いてやるー!!」
「分かった分かった。俺が飯食い終わったらかまってやるから」
「咲…!!好き…!!」
「うん、キモい」
この春高校生になった僕等は、屋上を占領して、青い空と、温かい空気を満喫している。
昼休みになると、屋上に集まって、だべって、昼寝して、読書して。本当に普通の何でもない日々が続く。
それは僕等にとって当然で、退屈で、ちょっと、楽しい事。
だらだらとのんびりしているだけの日常だけど、何か、くすぐったい。
こういう『青春』も、けっこう良いよね―――――。
「…ん」
秋は薄らと目を開いた。
「…今、何時」
時計を確認すると、始業3分前を示していた。
「まず…っ!!」
何で誰も起こしてくれなかったの?そう尋ねようとして、気付いた。背中合わせに座っている環汰も遊斗も、環汰に寄りかかるようにして座っている咲夜も、皆―――――ぐっすりと眠っている。
「……ふふっ」
変わらないなあ、と、秋の唇から言葉が零れ出た。環汰は涎を垂らして眠っているし、遊斗は本が手元から滑り落ちてしまっている。咲夜なんかは眼鏡をかけたまま眠っている。
「しょうがないなあ、もう」
秋は呟いて、三人が眠っている方へ寄って行った。そして、
「今日は暖かくて気持ち良いからなあ…。眠くなっちゃうよね、そりゃ」
三人に寄りかかるようにして、座った。
「うん、だから、太陽が悪い」
おやすみ。囁く様に言って、秋はゆっくりと瞳を閉じた。
午後の授業は、サボりました。
だらだら、のんびり。そんな『青春』モノを読みたいなあと思ったのですが、中々見つからなかったので。ぐだぐだな『青春』を満喫させたいと思います。
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