第二話 脅迫状
「なんだと…」
高崎が本気で言っているので、どうやらイタズラの次元ではないらしい。
「ちょっと見せて」
「言わなくても見せてるわ」
脅迫状には、次のようなことが書かれていた。
『東京都23区の諸君
これは脅迫状だ。
我々には東京23区への一極集中が気に入らない。
そこで、君たちを困らせるために東京の二十三区を早くとも年末まで閉鎖することにした。
今区部にいる者たちは、以下の事項を遵守せよ。
一 区部の外に出てはならない。また、それを試みてはならない。
一 現在区部に一部でも残っている乗り物は、全て区部内に引き戻す必要がある。当然、乗客も例外ではない。
一 外部から我々の許可なく何かを入れてはならない。逆も同様とする。
一 言うまでもないことだが、区部内の者は、我々の指示に従う必要がある。
一 我々の許可なく外部との通信を行ってはならない。これには個人的なやりとり、SNS、テレビやラジオ等も含まれる。
一 ただいまから閉鎖終了まで内部の様子を記録してはならない。個人的な日記も含まれる。
一 我々を攻撃してはならない。
一 法律、条例、その他これらに準ずるものの制定・改正・廃止等は我々の指示にのみ基づいて行う。
一 これらの無効化を試みてはならない。
これだけでは脅迫状が成り立っていないことはよくわかっている。
以下の各所に中規模爆弾を設置した。
都庁、最高裁判所、首相官邸、国会議事堂、東京タワー、東京スカイツリー、東京ドーム、JR東京駅、JR上野駅、JR池袋駅、JR新宿駅、JR渋谷駅、JR品川駅、各区役所、各大使館
その他、各所に小規模爆弾を設置した。
小規模爆弾の正確な数は我々も把握していない。
さらに、総務省ビルに原子爆弾を仕掛けた。
当然、これらは全て我々の操作で起爆できる。
指示に逆らえばどうなるかは言うまでもないだろう。
これで脅迫状として成り立った。
まだこれをイタズラだと思っているのなら、総務省××部⚪︎⚪︎課田崎翔一氏のデスクの一番下の引き出しを開けてみるといい。
今、何が起ころうとしているのかが身に染みてわかるはずだ。
総務省公式ホームページの△△のページの閉鎖を合意の合図とする。
そちら側の合意を確認したのち、次の指示を出す。
次の指示の書き出しが「あなたたちには失望した」になるか「そちら側の合意を喜ばしく思う」になるかは、君たち総務省員次第だ。
3月7日13時30分までに回答がない場合は…。
ついでに言っておくが、我々は区部内のどこで原子爆弾が作動しようと影響のない場所にいる。
では、あと2回以上連絡できるように祈る。
おっと、言い忘れた。
爆弾の移動は区部内なら自由に行え。
ただし、解除を試みていいのは小規模爆弾のみだ。
煌永28年2月末日 犯人』




