57、案外お似合いな2組
コヌルが宰相と格闘している時、他の三人は学園にいた。
春の日差しの中、アリアンヌ達は何事もなかったように学生服を着て、いつもの学園の一角にいた。
ただ、空気が少しだけ違う。
「ねぇ、アリアンヌ。」
「わかったわ。
後で中庭でね。」
「え、あ、うん。」
アリアンヌはレジーナが言おうとしていることを感じ取ったかのように答える。
中庭の噴水から水の音が静かに響いていた。
「まず答えて欲しいの。
吟遊詩人の件、あれって本気?」
アリアンヌは噴水から目線を逸らさずに答えた。
「えぇ、本当よ。」
「でも、吟遊詩人って詩を広めるだけでしょ?
そんなので噂が動く?」
「わからないわ。」
アリアンヌは低い声で答える。
「でも、ただの噂よりも広まりやすいと考えたの。
あなたが外国語の例文は覚えられないのに、一回しか読んでない本のストーリーを覚えてるのと同じよ。」
「それで?
どんな詩を広めるんだ?」
ココスが聞いた。
「”忠臣の裏切り”と”正義を名乗る影”の物語。」
「まさかそれを王都中に?」
「えぇ、宰相と王妃を舞台にしてね。
もちろん名前は出さないけど。」
ココスは苦い顔をしながらテーブルに肘をついた。
「やり方がえげつないな。」
「でも効果はありそうだよ。」
「効果どころじゃないわ。
吟遊詩人が噂を保証すると出てしまえば、疑問は確信に変わるわ。」
「吟遊詩人が一度歌えば、次の日には街の子供達が口ずさんでるからな。」
「ヒャっ」
パッと現れてアリアンヌを驚かせたのはレオだ。
「ちょっと、何するのよ!」
「あはは、アリアンヌが驚くなんて珍しい。」
「そっちが悪いんでしょ?」
「俺は、吟遊詩人っていう単語が気になっただけだ。」
「あ、マルク」
「久しぶりだな。」
アリアンヌとレオが言い合いをしている横で、レジーナとマルクが話している。
ココスは指でフレームを作り、4人をその中から眺めてみる。
「案外お似合いだな。」
「聞け、アリアンヌ。
今日宰相にお前の流した噂やらについて私が専門で 調査することになったんだ。どこまで教えてやれば いい?」
アリアンヌは少し悩んだようなそぶりを見せてから真面目な顔で言った。
「あなたが調べられるところまでだったら、どれくらいでも教えていいわ。」
「えっt」
「ただし、私たち3人には一切の手助けを借りないという条件付きでよ。」




