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55、教えてくれない

「教えないわ。」

「え!?」 「は?」

「私が言えるのは、もう噂は抑えようがないほど広まりきってしまったということ、それだけよ。」


そういってチラッと懐中時計を見る。


「あら、もうこんな時間。それじゃあ、2人とも。今日は会議があるから来るのよ。では、ご機嫌よう。」

「ちょ、ちょっt」


ココスが引き留める隙もなく、アリアンヌは颯爽と帰ってしまった。

2人は、改めて橋の上から広場を見下ろす。

掲示板の前にいる4人の兵士とそれを怪訝そうに見る国民。

戦いはずっと平行線だ。


最後の会議からぴったり1週間がたった日の夜。


「今日は集まってくれてありがとう。久しぶりね、ココス。随分と顔がやつれているようだけど、何かあったのかしら?」

「、、、なんでかだって?

 見ろよこの業務スケジュール。」


ココスは机の上に分厚い紙束を叩きつけた。

インクの染みがまだ乾ききっていない。


「一日十六時間勤務、宰相の命令で監査と報告の繰り返しだ。

 寝ても、夢の中で書類が襲ってくる。

いい子ちゃんのフリもセットだ。

……おかげでこの通りだよ。」

「それは……気の毒に。」


レジーナが苦笑する。


「で、今日は何のためにここに集めた。

 何かがあって集めたんだろ?」


アリアンヌは壁に背中をもたれさせながら、答えた。


「“土台”は十分にできたわ。

 あとは、火種が欲しいわね。」


「“火種”?」

レジーナの瞳が揺れる。


「えぇ。」

「そういえば、アリアンヌ。」


ココスがずっと聞きたかったことを尋ねるような顔で言った。


「何?」

「今日話してた、噂を広める別の方法とやらを教えてくれないか?」

「、、、、、、」


アリアンヌはしばらくの間黙っていた。

この方法を教えてもいいのか。

5分が経っただろうか。

アリアンヌがパッと顔を上げた。


「吟遊詩人って知ってる?」

「吟遊詩人、、、って、あの各地を歩き回りながら詩を使って色々なことを伝え歩いている人のことか?」

「そう。それよ。」


話を聞いても、他の三人は意味がわからなかった。

でも聞けなかった。それ以上聞いても教えてもらえない気がした。


「もういいかしら?

 それじゃあ、レジーナとココスは明日学園があるから、今日はしっかりと休んで登校するのよ。」

「「はーい。」」


そこで、会議はお開きになってしまった。

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