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49、扇動者

夜更けの古い離れにて。

薄明かりのランプに照らされ、石卓を囲む四人の影が揺れていた。

アリアンヌが、この場所に三人を呼んだのだ。


「何のつもりだ。」


コヌルが言う。


「みんな今日は来ていただいてどうもありがとう。

 そろそろ私の計画を進めたいと思って。」


「計画って?」


今度はココスが言った。


「宰相グラビスについてよ。

 そろそろ潰しにかかってもいいんじゃないかと思っ て。

 宰相グラビスの罪は明白よ。そして目的もね。」


アリアンヌが口を開いた。机の上には、いくつもの古文書と写本が積み上げられている。


「彼は王国の年代記を捏造し、今の皇帝を亡き者にしようとしている。王妃イザベラ支えにして、今の権勢を築いたのよ。」


レジーナが問う。

「なんで?」

「簡単だよ。権力が欲しいから。」


コヌルがアリアンヌの代わりに答えるが、腕を組み、重苦しい声で応じる。


「だが、あいつは難しい。特にこの貴族社会では。王妃の次に権力がでかいと言ってもいい。」

「あのねぇ、皇帝の暗殺計画を知ったんだから少しくらい動揺してくれないかしら?」


「「アリアンヌには」」

 「君には」


「「「言われたくないよ」」」



「だからこそ、準備を整えるの」

先程のやりとりがなかったように、アリアンヌは鋭く仲間を見回す。


「私が正面から行く。あなた達は裏で動いていれば良い。」

「あんた1人が功績を引き受けるの?」


コヌルが不満そうに答えた。


「あら?やりたいなら変わってあげてもよろしくてよ?」


アリアンヌが微笑みながら答える。


「、、、いや、いい。」

「そう。」



アリアンヌは軽く頷き、話し合いの結果をまとめる。


「レジーナは今回ココスと共に情報収集をお願い。」


ココスは少し眉を上げる。


「この子爵令嬢とか?」

「結構仕事できる方よ、彼女。」


アリアンヌは話を戻す。


「そして私は戦略を。」


最後にアリアンヌはコヌルの方を見て言う。


「あなたは何の仕事をしてくれるの?」


三人の視線が一気にコヌルへと降りかかる。

コヌルはゆっくりと帽子と仮面を外した。

短い黒髪がふわりと肩へ落ちる。

赤い口紅をつけた唇が動く。


「私は扇動者だ。

 民衆の不満を煽り、宰相への信頼を失わせるのが私 の仕事だ。」


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