48、王妃の書斎
私の中間で国語と英語が88点以上なら、500点がテストで取れるので頑張って取ってこようと思います。
王妃の書斎。窓には重たい緞帳が引かれ、外の月光は紙一枚分も差し込まない。机の上には、写本の複製が数冊、整然と並べられていた。蜜蝋の灯が淡く揺れ、机に映る王妃の影は長く細かった。
「来てくれたな、宰相。」
王妃は声をかけると、椅子に腰かけたまま柔らかく笑った。その笑みは安らぎではなく、計算の色を含んでいる。
扉の外からグラビアスが入ってきた。彼は深々と一礼をし、机の向こうでそっと背を伸ばした。手には例の写本の一冊。彼はそれを王妃の前に置き、控えめに問いかける。
「陛下は……歴史の改竄をこのまま続けるおつもりですか?」
「改竄?」
王妃は複製の頁を指でなぞりながら、ゆっくりと答える。
「改竄なんかじゃない。これはーー導き。人は真実だけでは団結しない。真実に『解釈』を与えれば、動く。」
グラビアスの顔に僅かな戸惑いがよぎる。だが彼は臣下としての冷静さを取り戻し、言葉を選んだ。
「しかし陛下、史実を改竄すという行為は……民の信頼を裏切る恐れがあります。万一露見すれば、我々が築いた秩序は脆くも崩れます。」
王妃は笑い声を漏らす。だがその笑いは優雅ではなく、狭い檻に閉じ込められた獣のような響きを伴っていた。
「露見することを、恐れているのは貴方だ、宰相。私は違う。私は先を読む。民が望む“敵”を一つ提示すれば、人は恐怖に縛られ、秩序に身を寄せる。そこに私の統治を置くの。王家そのものを守るため、そして私が守る“王国の形”を壊す者を排すために。」
グラビアスはやや後ずさりした。
「それが陛下の望みなら、私は手を貸します。しかしその見返りに——」
「見返り?」
王妃が少し身を乗り出す。目が冷たく光った。
「あなたには役目がある。筆を持つ者、読み書きで人の記憶を組み替える者。あなたは表向きの顔を演じ、私は裏で糸を引く。必要ならば諸侯の手も借り、書記官を買収し、学者を脅す。全ては大義のため。」
彼女の指が一冊の写本の角を掴み、ゆっくりと頁をめくる。その隙間には、緻密に練られた脚色と、後に出す“証拠”のメモが差し込まれていた。字は女性の小さな手で走り書きされている──冷徹で、ためらいがない。
「私が“戦犯”だと?」
グラビアスの声は低かった。言葉の裏には、憤りとどこか救いを求める響きがある。
「あぁ、戦犯だ。」
王妃は淡々と肯き、続けた。
「だが戦犯とは単に罪を犯した者ではない。戦を起こし、敵を名づけ、秩序を再建する者のこと。誰もが好んで私を憎むだろう。だが、憎まれる立場に立たない者に何ができる?」
グラビアスの顔が陰に沈む。彼は小さな声で言った。
「それでも、真実を踏みにじるのは——」
「真実?」
王妃は軽く鼻で笑った。
「真実とは書物に封じた言葉ではない。民の心、習俗、恐怖、それらを動かすための“物語”だ。私は王の名を用いて、古い害悪の記憶を作り出した。人々はその記憶に怯え、私たちを求める。結果として、国は守られる。手段は苛烈でも、目的は崇高だと私は信じる。」
長い沈黙が来た。壁掛け時計の針だけが、淡々と時を刻む。
「だが、陛下──その暴走を止めるのは誰です? あなたが作った‘敵’が制御を失えば、我々が守るべき民が最初に傷つきます。」
グラビアスは目を伏せた。
王妃は立ち上がり、窓の向こうの夜景を見下ろした。遠くに光る街灯が、まるで彼女の思惑を映すかのように小さく瞬いている。
「その時は、その時でまた物語を紡げばいいだけのこと。私がこの国の物語の作者であり続ける限り、終章は私が書く。わかるか、宰相――あなたは私の筆先であり、私はあなたの意思だ。」
グラビアスはゆっくりと頷いた。そこには従属の屈辱と、ある種の救いが混ざっていた。王妃の掌中で、言葉は刃となり、盾となり、そして秩序を作るために振るわれるのだと、彼は理解した。
「ならば進めましょう、陛下。あなたの物語を、民へと届けるために。」
王妃は小さく笑って、写本を取り直した。その頁にはすでに、次の案が鉛筆で薄く書かれている。
そこに書かれていたのは、こんな文字だった。
「今から3ヶ月以内に皇帝を消せ」
灯の光がその鉛筆の線を照らし、線は夜に溶けていった。
要するに、皇后と謎の男との会話をまとめると
皇后
→歴史の改竄は悪ではない。むしろ良いことである。
皇帝さっさと消せやー
謎の男
→不安だが、皇后には実績があるため強力な信頼。
皇帝を消す(言ってしまえば殺す)ように命じられた が、なかなか動けない




