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45、勉強会

もうすぐ中間テストの季節ですね。

この世の学生の皆様、ぜひ頑張ってください。


放課後のセレスト学園・食堂。

 食堂の隅の丸テーブルには、ノートと教科書が山のように積まれている。

 テーブルの中央にはアリアンヌが用意した小さな砂時計。

 上の砂が落ちきるたびに「10分休憩」と宣言するらしい。


「さて――勉強会、開幕ね!」


アリアンヌは公爵家の権力を使って学校の食堂を夜に使える権利を手に入れた。

アリアンヌの号令とともに、四人の反応はまちまちだった。


「開幕って……まるで戦だな。」


マルクが苦笑しつつ、分厚い数学の参考書を開く。


「戦よ。数字との闘い。」


アリアンヌは真顔で答え、ココスは「ひぃ」と情けない声をあげた。



「まずは歴史からいきましょう。セレスト王国建国の年は?」

「え、えっと……千二百……」

「二百じゃなくて二百五十!」


アリアンヌが即座に補足する。


「もう、なんでそんな細かいの覚えてるのよ〜」


ココスが机に突っ伏した。


「合理的に考えれば、建国年を基準に全ての年代を覚えればいいだけ。」


アリアンヌの冷静な一言に、レオはうんうんと頷く。


「でもその合理性が通じないのが数学なんだよな……」


とぼやくマルク。


「じゃあ先生、説明よろしく。」


アリアンヌがにっこり笑うと、レオはペンを手に取った。



「いいか、ここの数式は――」

 

レオが書き出す。

 先生のように堂々と説明していたが、レジーナはいつの間にかペンで猫の落書きをしている。

「こら、聞いてる!?」

「うん、聞いてる聞いてる。二次猫定式でしょ?」

「違う!」

「そこ、うるさい!」


 部屋に笑いが起きる。マルクでさえ、苦笑いをこらえきれずに肩を震わせた。



「じゃあ次は外国語だ。」


 マルクが手元のノートを開く。


「この問題を解いてみてくれないか?」

「えーと、①?」

「、、、、、正解!」

「やった〜!」

 

ココスが小さくガッツポーズをする横で、レジーナは淡々と書き取りを続けている。


「あなた、英語は得意なの?」

「うん、論理的だから。感情より規則で動く言語は好き。」

「……たしかに、レジーナっぽい。」



 時刻はすでに22時を回っていた。

 窓の外には満月が浮かび、静かな風がカーテンを揺らす。

 アリアンヌは全員の様子を眺めて、そっと微笑む。


「……みんな、集中してきたわね。」


 その声にマルクが鉛筆を止めて呟く。


「なんか、こうやって一緒にやるの、悪くないな。」

「ね。試験っていうより、作戦会議みたい。」


とレジーナ。


「作戦失敗したら、補習地獄が待ってるけどね!

ココスが苦笑する。


「……大丈夫よ。」

 アリアンヌは柔らかく言った。





 砂時計の砂がすべて落ちたころ、

 テーブルの上には教科書の山が出来上がっていた。

 ココスはノートに突っ伏し、レジーナはまだ公式をぶつぶつ。

 レオは静かにコーヒーをいれ、マルクは窓を少し開けて夜気を吸い込んだ。


 月の光が五人の顔を照らす。

 ――セレスト学園の夜は、静かに、しかし確かに、成長の音を立てていた。

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