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15、後悔させないよ!

アリアンヌは服をぎゅっと握りしめ、言葉を続けた。


「……いいじゃない。学生最後の一年くらい。」

「それをそのまま返させてもらうけど、いいのか?

 お前は王太子妃になるんだろ?」


「いいんだよ」


レジーナが即座に返す。その声音には迷いがなかった。

「私たちが貴族だからって何もしなかったら、一生立場っていう言葉に締め付けられます。

中途半端に生きるくらいだったら背伸びしてもいいんじゃないですか?」


レオが深く息を吸い、ゆっくりと吐き出した。

「……リア。お前ってやつは、ほんと、無茶苦茶だな」

苦笑しつつも、その声にはどこか諦めきれない温度があった。


「リアって何ですか?」


レジーナが聞く。


「あぁ、俺はアリアンヌのことをリアって呼んでる。」

「そうですか。」


レジーナがなぜか面白くなさそうな顔をする。


マルクは腕を組んだまま黙っていたが、やがて本を閉じて机に置いた。

「挑戦するだけなら、俺は止めない。ただし、徹底的にやるぞ。やるからには“遊び”じゃ済まさない。観客を唸らせるだけの稽古をする。それが条件だ」


レジーナが顔を上げ、マルクを驚いた顔で見た。

「マルク様まで乗るんですか?」


レオは肩をすくめて笑った。

「アリアンヌの目を見てたらな。無視できる奴なんていないだろ」


沈黙の中、アリアンヌはわずかに嬉しそうな顔をする。わずかに。レオは溜息をつき、台本をぱらぱらとめくりながら渋々言った。

「……分かった。でも、アリアンヌ、絶対に後悔させるなよ。」


その瞬間、アリアンヌの顔にぱっと花が咲いたような笑みが広がった。

「ありがとう! 三人となら、必ずやり遂げられる!」


レオはその時、少し顔を赤くしながら


(アリアンヌの笑った顔、久しぶりに見たな)


と無自覚に思っていて、

レジーナは


(アリアンヌの笑った顔可愛い!)


と思っていて、

マルクは


(頑張らなくては)


と真面目に思っていたのだった。



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