13、夜の星の瞳
誤字報告ありがとうございます>_<
本当に助かります。
この度3件目と、4件目のブックマークをいただきました。ありがとうございます!(*^^*)
ココスはそう言うと、礼もせずに踵を返した。彼の足音は、石畳に吸い込まれるように消えていく。
レジーナはその背を見送りながら、ほんのわずかに唇を引き結んだ。
“記録しておく”?
あの男は、ただの情報監ではない。きっとこの国の「核心」に近い場所で動いている。
ならば、自分が放ったその一言も、歴史の一部になる可能性がある――
(それも悪くないね)
彼女は再びホールへ戻ることにする。
(アリアンヌ様を探さなくては。
「レジーナ・バサリサ」
今度は、別の声が彼女を呼び止めた。
低く、鋭い男の声。背筋にわずかな緊張が走る。
振り返ると、そこに立っていたのは――名門侯爵家次男マルク・マークス。
だがさっきまでの余裕を帯びた侯爵家次男ではない。目の奥に宿る光は、今や明らかな警戒心と関心を帯びていた。
「ココスと、何を話していた?」
「ご挨拶と、軽い世間話。あなたのような方には、退屈でしょうけれど」
「……あの方と“対等に”会話できる人間は、限られている」
「それが“何か問題”ですか?」
マクスの視線がわずかに鋭くなったが、レジーナは怯まない。むしろ、その余裕を見せつけるように軽く笑う。
「それとも殿下、あなたも“執念”に取り憑かれたことがあるのですか?」
その言葉に、マクスの表情が一瞬止まった。
それはほんの一瞬の“間”だったが、レジーナは確かに見逃さなかった。
「……君は危険だ、レジーナ」
「それなら、ご忠告としてありがたく受け取っておきます。」
「君が敵に回った時、最も厄介なのは――」
「執念を忘れない女、か
ですか??」
マクスは息を吐き、笑った。それは皮肉ではない、わずかに震えるような微笑みだった。
「どうやら私も……君に“興味”以上の感情を持ってしまったかもしれない」
「その感情が“敬意”であることを祈ります。欲望なら、切り落とすまで。」
レジーナの瞳は夜の星のように冷たく、美しく輝いていた。
⸻
その夜、レジーナ・バサリサの名は、社交界で確かな重みを持ち始める。
噂と警戒と憧れが交錯する中、彼女は静かに笑った。
偉大なことを成すのに、王族の血も、莫大な財産もいらない。
ただ――
どこまでも、自分自身を信じて貫く執念があれば、それでいい。
マクスと話してる時のレジーナの心情
(邪魔だな、、、
早くアリアンヌ様を探しに行きたいんだが。)