初恋は牡蠣のフライの味
こちらの小説は2025年2月17日に行った配信でリスナーさんと一緒に書いた作品となっております。
「これは海老名ころも史上究極の選択だ…」
私はいつにもまして真剣なまなざしでメニュー表を見つめている。
カレーのトッピングにエビフライを頼みたい。
だがそれは共食いの罪を犯すことになる。
食欲と理性が錯綜し思考ががんじがらめになっていく…。
「よし、決めた……私はエビフライを食べる!」
いざ注文しようと店員を呼ぼうとすると横から誰かが話しかけてきた。
「海老名さん?」
そこにいたのはお隣に住む田中だった。
「もしかして海老名さんも今からランチ?」
海老名さんは満面の笑みでうなずく。
「そうなんですよ~今ちょうどメニューを見てたんです」
彼は私と同じカレーのトッピングにエビフライを注文したようだ。
「あんたいつもエビフライなんてトッピングしないじゃない。どうしたのよ。」
そこには田中君の幼なじみの委員長が立っていた。
「別に良いだろ、そういう気分だったんだよ。」
田中君はちょっと嬉しそうだった。私はそれを見てちょっとイライラした。
「え、なに?もしかしてあんた委員長のこと好きなの?」
つい口に出してしまった。私はなんて無神経なんだろう。
でも田中君はごまかす様子もなく正直に答えた。
「そうだよ……悪りいかよ」
私は動揺してうまく返事ができなかったが、同時に委員長も動揺していたようだ。
彼女は顔を赤くしながらうつむくとそのまま黙ってしまった。
「すいません!」
私は店員さんに声をかけると覚悟を決めて注文した。
「中辛カレー一つ、トッピングは牡蠣フライで」
田中と委員長は一瞬驚いた顔を見せた。2人の世界に私はいらない。
私が牡蠣と戯れている間に、後悔しない時間を2人が過ごしてくれればそれ以上に幸福なことはない。
スーパーサンクス
碧海アトラさん
はにさん
はくまいキムチさん