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第6話 ■■■■の言葉

 その日、世界に衝撃が走った。比喩的表現ではなく現実的に世界全土で衝撃波のようなものを観測されたのだ。


 突然の出来事に世界中は大混乱となった。そして、さらに混乱がもたらされることとなる。


『アーアー。オホンッ全世界の諸君。

 静粛に。今のはなんだとか、この声はどこからだとかは一旦考えるのは止めて僕の声を聞いてほしい。

 簡潔に言えばこの世界の法則にあらたな力を加えた。

 以上。これだけ。どんな力を加えたかは自分たちで確かめてほしい。

 それでは改めて自己紹介、僕の名は■■■■。君たちの成長を求め、見守り、願いを聞くものである。

 では諸君。しっかりと成長をみせてくれる事を楽しみにしているよ。』


 全世界の人々に対して告げられた謎の言葉、その言葉に対して立ち尽くすしかなかった。


 ――――とある病院――――


 ガヤガヤ………

「―――んっ………ここは?」


 見知らぬ白い天井、差し込む日差しは眩しい。

 目覚めた錬は周りを見渡す。そこには詠の姿があった。


「錬?錬!やっと目覚めたのね!良かったぁ!」


 錬が横たわっているベットの横で詠が泣きながらも安堵の表情を浮かべておりその姿をみて錬も安心した。

 しかしながら周りが騒がしい。


「なんか騒がしいな?ここ病院だよね?何かあったのか?」


 何故か騒がしい病院内に疑問が浮かぶ錬であった。しかし答えは直ぐに詠が答えてくれた。


「ついさっき全世界、多分全員が、不思議な声を聞いたのよ。錬が目を覚ますほんの1時間前くらいにね。

 そのせいで病院内が大混乱よ。私も訳が分からなくて最初幻聴だと思うぐらいだったわ。

 でも周りのみんな聞こえてるようだったし………。ニュースもそれで持ち切りよ。なんか力を加えるって女の人の声でね。なまえは確か………あれ?思い出せないな?まあとにかく大変なのよ!」


 なるほど……分からん。


「つまり、集団幻聴で大混乱ってことであってるか?」



「………まあそんなとこね」



 とにかく大変そうなことが分かったためとりあえず納得するしかない。


「てゆうか錬!あなた3日も寝てたのよ!今日学校だったんだけどね、さっきの声で午後の授業は中止、休校になったの。それで錬のことが心配で急いできたのよ」


 なんと3日も寝ていたらしい。


「んな!?俺そんなに寝てたのか………心配かけてごめん。ありがとう。詠が来てくれて嬉しい。」


 心配を掛けた側ではあるがあの日の出来事がどうなったのか知りたいので聞いてみる。


「それよりも詠の方こそ大丈夫だったか?あの時のこと無我夢中であまり覚えてないんだ。どうなったか教えてほしい」


 どうやら詠もそのことを話したかったらしく、状況の説明をしてくれた。


「あの後直ぐにお父様に連絡して迎えと警察を呼んでくれたわ。でもその後が大変でね………。警察やお父様、お母様に根掘り葉掘り聞かれて、もうへとへとなのよ。それにまた警察に行かなきゃ行けなくてね。もう大変!」


 まあ多分人が食われてたから色々と厄介であることがわかる。詠の両親にもすごく心配をを掛けただろう。


「それはご愁傷様です。あの怪物はどうなった?」


「そうそれね。あの後怪物が黒い霧になって消えていったわ。それにその場に落ちてたこれよ。この宝石のようなもの!すごくきれいよね。これはきっとまえに言ってた魔石ね。それにこの複雑な模様が刻んである石もあったわ。きっとこのペンダントと同じようなものだと私は思うのよ。とりあえずこの二つね。」


 やはり、ビックリギョと同じく素材をドロップしたらしい。


「なるほどな。つまりビックリギョと同じ可能性が高いってことだな。明らかに普通の生物じゃなかったからな」


 詠も頷く。それとは別にじーっと模様が刻まれた石を見つめる詠であった。


「―――ん?どうした?その石見つめて?」


 数秒考えた後、詠は答える。


「………ねえ錬。この石少し借りていい?」


 どうやらこの石を借りたいらしい。


「ん?いいけどこの石どうするの?」


「今度は私がアクセサリー作ってあげるわ!」


 どうやらアクセサリーを作ってもらえるようだ。この前詠にアクセサリーを作ったお礼だろうか?


「お?おう!ありがとな。楽しみにしてる!」


「錬が退院したらその時に渡してあげる。また秘密基地に集まってね!」


「ああ、そうだ詠。秘密基地と言えば廉人のやつはどうしてる?」



「廉人は親御さんが迎えに来てて、来れなかったのよ。錬に会いたがってたんだけどね。そうえば錬の自宅に連絡しなきゃ。加奈ちゃん心配してたわよ。そうえば一条夫妻も来てたらしいわ。加奈ちゃんから聞いた。どっちかというと加奈ちゃんに会いに来たんだと思うけど」


 加奈は俺の妹のことである。それよりも爺さん婆さんがこんな遠くまで来てくれるなんて思ってもみなかった。いや、詠の言う通り加奈に会いにくる口実にされたようだ。


 錬の祖父母は東京にある商社の会長夫妻であり普段仕事が忙しいらしく、顔を合わせることは少ない。


「まあ確かに詠の言う通りだ。そもそも怪我自体そんなしてないみたいだし、体中が筋肉痛みたいなのは感じるけど。孫娘が可愛いんだろきっと」


「錬。3日も寝てたのよ!少しぐらい怒ってもいいんじゃないかしら?自分の孫ならもっと心配してもいいと思うわ。私なら家族が倒れたりしたら付き添ったりとかするもん!」


「まあまあ。忙しくしてるのも俺ら兄妹のためもあるだろうから。そんな憤りもないし爺さんたちの気持ちも分からなくもないから。大丈夫だよ」


「そんなことわかってるわよ!ほんと大人ね!錬は」


「そんなことないって。まだまだ子供だよ」


 そうして他愛ない会話を続けるうちに看護師さんがやってきて、はっと気付いた。

 その後はてんやわんやで看護師さんと主治医さんには怒られるわ住んでいるほうの爺さん婆さんがやってきたり、検査に警察の訪問、様々なことがありいつの間にか詠は帰っていた。それとやはり一条の爺さん婆さんは来なかった。


 ―――数日後―――


 なんだかんだで退院することができた。しかし目覚めた直後より退院する時の方が疲れていた気がする。

 警察の聞き取り、入院中の検査、食事、数日ではあったが大変であった。特に辛かったのは同じニュースばかりであったこと。女の人の声がー、とか力がなんだ宗教がなんだ宇宙人がなんだ、どこかの国の兵器など様々なことが言われており、興味自体はあったがさすがに何回も聞いていると飽きていた。

 今回のことを自分なりに考えてみる。

 まず初めにビックリギョとの出会い。これでドロップ品と消える生物について知った。そして入院した原因の謎の化物。これも多分ビックリギョと同類のようなもの。そして連日放送されているニュースの内容、女の人の声で『あらたな力を加える』というざっくりとした内容が世界を騒がせているというもの。それと関係があるかどうかはわからないが、戦闘中に聞いた女の人の声、多分世界を騒がせた声と一緒の可能性が高い。

 しかしながら不可解な点がある。力を加えると言ったタイミングのことであり、ビックリギョや怪物が現れたタイミングと謎の声の内容のタイミングが逆なことである。力を加える→怪物が現れる、ならわかるが逆であったことが腑に落ちない。


「っとまあこんな感じか」

 こんなことを考えながら家のベットで横になりながら眠りにつくのであった。

Copyright(C)2023-アバルト

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