第2話 注意喚起とドロップ品
次の日、いつも通り、廉人と学校に登校するのであった。割と登校時間は遅めなため教室にボチボチ人がいた。そこに詠もいた。
「おはよう、詠」
「おはーよみりん」
「あら、おはよう、昨日ぶりね。早速昨日の戦果を聞かせてもらおうじゃない」
期待するように笑顔を見せながら挨拶を返す詠であった。そしてその期待に応えるように二人も笑顔を見せ、
「「やべーのが釣れたんだ!」」
二人は興奮気味に言うのであった。
「ふーん。そんな期待できるほどの大物を釣ったのね。どのぐらいなのよ?」
と問いかけがあり、二人は見合わせすぐに詠のほうを見て答える。
「大物は大物なんだけどな――」
「――んーちょっと違くてな。……まあ放課後基地来いよ! そしたら面白いもん見れるから!」
「ちょっと、もったいぶらないで言いなさいよ。まあいいわ。放課後すぐ基地に集合よ! ん~気になるわ!」
そうして放課後に集まる約束をしたのだった。そうこうしているうちに担任の梓川先生が教室にやってきて皆席についた。
「お前たちー席に着いたか。よく聞け、昨日でテストが終わりといって浮かれすぎるなよ。今日から普通に授業だからな。」
「それはともかく1個地域からの注意喚起があった。最近学校周りの林の中で大きな獣らしきものがでたらしい。くれぐれも近づいたり、刺激したりするなよ」
そんなお知らせが先生からあり皆何人か疑問に思い問いかけがあった。「先生~獣って曖昧じゃないですか~熊とかじゃないんですか~」そんな声が上がった。そんな問いかけに対して
「うーむ、私たち教師陣も疑問に思い聞いてみたんだか、目撃情報が曖昧でな。熊だったり猪だったり、はたまた化け狸なんて情報が上がってるんだ。まあこのあたりは山に近いからな。注意するように」
教室がざわざわとしてその日はその話ばかりだった。
そして授業が終わり下校することとなった。
「はあ~。まったくこれだから田舎は」
そう言って、ため息をつく錬であった。
「ん? どうしたんだよ。化け狸が怖いのかぁ?」
「ちげーよ。一日中その話題ばっかりだったから聞き疲れたんだ」
「いやーでも正体不明の獣だぜ。気になるだろ」
「昨日のビックリギョのインパクトが出かかったからそこまででもないな。自分の目で見ないとあんまりって感じ」
「確かにな。そんなことよりさっさと家帰って秘密基地に行くぞ~」
そんなふうに会話しながら下校し終え、秘密基地に向かったのだった。
秘密基地に到着してすぐに二人はドロップ品を眺めながら昨日の会話の続きをして詠の到着を待った。
そして秘密基地のドアの開ける音とともに詠がやって来た。
「さて――聞かせてもらおうじゃないっ。あんだけ期待させたんだから相当なものよね?」
「ふっふっふ。聞いて驚け! モンスターのドロップ品だ!」
「は?」
しーん……。――静寂に包まれ、詠は頭の上にクエスチョンマークを大量に浮かべていた。
「ちょっと説明ぐらいちゃんとしなさいよ……」
圧倒的説明不足であった廉人の回答であったため、俺は昨日の出来事を彼女に話すのだった。
「――――なるほどね。まるで中二病の頭の中に来たみたいだわ。まあでもあんたたちが言うなら事実なんでしょうけど」
「ああ。俺らも普通の奴らにこの話を話したところで中二病だとか思春期だとか言われるのがオチだと思ったからな。詠だから話したんだ」
「ふふっ。わかってるじゃない。あんたたちじゃなきゃこんな話、私、笑い飛ばしていたわ」
このように彼らの信頼関係は厚いものだった。
「とりあえず期待以上だったわ。まさかファンタジーな世界の話なんてね」
「ご期待に添えたようでなりよりです。お嬢さま」
廉人は無言で尻を蹴られ悶えていた。
「っとまあこいつはこのままに、それよりもドロップ品だわ!この並んでるのよね?」
「ああ。綺麗な石と魔石と綺麗な皮だな。今日はこれらの使い道の話をしたくてな」
「使い道って言ってもどうするのよ、大抵ゲームじゃ素材とかっていっぱい集めるもんでしょ」
「それもそうなんだかな、この綺麗石とかアクセサリーにできそうじゃないか?」
「まあ綺麗な紋様が刻まれていて宝石のようにとはいかないもののアクセサリーにはできそうね。まあ錬が作りたいなら作ればいいんじゃない? 錬が釣った奴から出てきたんでしょ」
「廉人もいいよな?」
まだ悶えている廉人であったが
「ううっ……! 問題ないぜ」
と二人から了承を得られたので早速取り掛かる。
そもそもアクセサリーなんて作れないだろうと思われそうだが、この3人の中で一番器用である。ガラクタ集めで集まったものを秘密基地のツリーハウス飾るためガラクタなどの分解や手芸チックなことをしていたのだ。
「やっぱりペンダントかな?」
「イヤリングとかピアスもありよね」
「迷うよなぁ」
そんな会話を続け、試行錯誤をしながら辺りが暗くなるころにはアクセサリーが完成した。そして結局ペンダントの形となった。
「よーし。完成ー疲れた。よしっと、これは……詠が貰ってくれ」
「私!? いや私も何もしてないわよ? というかなんで私なのよ?」
「いやーこのペンダントは詠に似合うと思ってな作ってたんだ」
さすがにイヤリングは市販の金具を使わないと作れそうになかったためネックレスとなったのだ。
「ふんっ! ……やるじゃない」
顔を赤くさせながら受け取った詠であった。
「見せつけてくれますな~まったく錬くんは」
俺は首をかしげながら、
「いや、俺ら男にアクセサリーってなんかな、俺らより詠のがいいだろ」
「いつの時代の人間だお前は……元気出せってよみりん」
「――はあ。まったく、まあいいわ。いつも通りいつも通り」
――なかなかの鈍感ぶりである錬であった。
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