亜人の後輩
季節は春、コタローは高校三年生になった。
この時期から新人冒険者がだんだん増え始めるので、各地のダンジョンは賑やかになっていた。
この周辺で盛り上がっているのはアンデットダンジョン。
目的は当然メスのモンスターのテイムだ。
昨年のコタローの件とは関係なくこの時期はいつも新人冒険者で溢れていた。
当然このゴブリンダンジョンにもそういった新人冒険者が来てもおかしくない。
コタローという実例がいるからだ。
しかし今ゴブリンダンジョンは身内しか入れないよう規制されていた。
その理由はボタンのいつもの入ダンではなく、別の理由だった。
「自分はマロンであります。ご指導ご鞭撻の程よろしくお願い致します」
挨拶したのは犬の獣人の女の子マロン。
栗毛の頭からは犬耳、お尻の辺りにはピンと伸びた尻尾が生えていた。
マロンを連れてきた冒険者の名は狛村ハナコ。
最近マロンが亜人に進化し、ルナに教育を依頼しに来た。
ハナコは以前コタローたちが訪れた女子校の生徒で、楽しそうにしているリンたちを見てマロンを預けるなら同じ所にしようとここに決めたのだという。
リンとメイの時は同じクランのメンバーだったのでそこまで気にすることがなかったのだが、今回は違う。
メンバー外であるマロンは使用できる施設に制限があり他にも注意することがあるので、一時的にダンジョンを閉鎖し勉強に集中できる環境を整えることにしたのだ。
普段から大して人の来ないダンジョンの上、定期的に閉鎖をしているのでこのことは大した問題ではなかった。
リンとメイにとってマロンは初めての後輩ということになる。
「マロンちゃん、わからないことがあったらリンに聞いてね」
「マロンさん、リンが変なことしてきたらすぐに相談してください」
「もう、リンはそんなことしないよ」
浮かれているリンがやらかないだけが心配であった。




