第十五層
冬休みに入り、いよいよ第十五層へ行く準備が整った。
第十五層、ここはゴブリンダンジョンの最下層。
ここにいるゴブリンキングを倒せばダンジョンを攻略したことになる。
長い廊下を抜けた先に王の間が現れる。
奥には玉座に座ったゴブリンキング、左右には王を守るようにゴブリンナイトが控えていた。
コタローたちが中へ進むと、ゴブリンナイトたちがこちらへと向かってきた。
ゴブリンキングは座ったまま静観している。
ゴブリンナイトは4匹、王の親衛隊の為通常の個体よりも大幅に強化されている。
いつもならリンが前に出るのだが、今回は後ろに控えコタローとメイがゴブリンナイトたちと対峙する。
リンには万全の状態でゴブリンキングに挑んでもらう為だ。
メイは3つの魔導石を取り出し、それぞれを水魔法で包みこむ。
水に包まれた3つの魔導石は人型に姿を変え、ゴブリンナイトたちに襲いかかる。
人造ゴーレム。
コタローたちの切り札の一つ。メイと相性のいい水属性の魔石を元にハクアに依頼して作ったものだ。
ゴーレムはゴブリンナイトとそれぞれ戦闘を始め、互角に渡りあっていた。
メイはゴーレムに指示を出しつつ魔法でサポートする。
残り一匹のゴブリンナイトは黒い異形の化け物と戦っていた。
全身が黒く覆われていて、背中からは二本の腕のようなものが生えていた。
コタローは王の間に入る前に一粒の丸薬を飲んでいた。
切り札その二でコタロー専用に調整された強化薬。
短時間の間能力を限界以上に引き上げるもので、生成する毒液にも適応される。
生成量の増えた毒液を自身に纏うことで近接戦の強化に成功した。
その姿はまるで映画に出るようなダークヒーロー。
今まではリンのゴリ押しとそのフォローでなんとかなっていたが、今回はコタローとメイも前衛に出て戦うことにしたのだ。
リンにかかる負担を減らす為、以前から火力不足だったコタローとメイは強化案としてハクアに魔導石と丸薬の製作を依頼していたのだ。
コタローとメイがゴブリンナイトたちを抑えている隙にリンはゴブリンキングの元へ向かう。




