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魔王がポンコツだから私がやる。 ──恥ずか死した私の黒歴史。  作者: さくらんぼん
第08章 : これより、王都を焼きに行きます。
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#097 : 魔王軍☆ブラック企業説

〈城の上空|サクラ SIDE|10:15〉

《*サクラ視点》


王が窓から大声で叫んできた。

ラウワ王「じゃあ戦じゃなくて……裁判では……どうだ!?」


サクラ「そんな正規の手順なんてどうでもいいんだよォォォ!」

「もう滅ぼさないと気が済まないんだよォォォ!!

「全部壊すって決めたんだよォォォ!!!」

「燃え盛る炎で凍った心の暖を取るんだよぉおおおおおォォォ!!!」


王の顔が、青ざめていく。


── 私は最後の宣告を放つ。


サクラ「だから私は来た!!泣きながら!!怒りながら!!請求書を破って!!」

「王都とお前のクビでチャラにしてやりに来たんだよォォォォォ!!」


サクラ「住民の避難も呼びかけたし!あとは燃やすだけでしょ!?」

「良心的だよね!?ねぇッ!?ねぇッ!?」

「なあ王様ァァァ!?なんで私がッ!!」

「泣きながら請求書と睨めっこしてッ!!!」


サクラ「財布の中身と残高計算してッッッ!!!!」

「……こちとらな、限界まで我慢したんだよ……!!」

「だけどさぁ? “あと何回ご飯を我慢する” とか “モヤシいくらだっけ?” とか考えてたら殺意しか沸かなくてさぁあああああ!?」


《*天の声 : 親領主のジルの家で3食昼寝付きだっただろ》



ぐるん!(白目になった)


ぷつん……!(世界に響き渡った)


挿絵(By みてみん)

[タグ]#ヒロインです #モヤシの恨み


サクラ「あああああああ"◯▲◇†☆◆#$%&$$%☆ッッ!!!」


サクラ「ぐぉおおおお"◎†%¥+▲£ッ!!!!」


サクラ「きゃあああ€~×&*◇◎@$☆あああッッッ!!!!!!」


髪をかきむしりながらのたうち回る。


《*天の声:とうとう言語じゃなくなったぞ!?》

(エスト:お姉ちゃん…怖い……)

(辰夫:これはもう理屈ではない……)

(辰美:狂ったサクラさんも好き)


サクラ「──もういい!!!」


サクラ「知らねぇ!!!!!」


サクラ「灰にしてやるわああああああああああ!!!!!」


私は辰夫の背で仁王立ちし、右手を高く掲げた。

空気がピリついた。モンスターたちが、息を止める。


サクラ「辰夫、いけ」(満面の笑み)

辰夫「……ほんとにやるんですか……」


サクラ「お前の鱗って何枚あるんだろうね?剥がしながら数えてみる?」(満面の笑み)


辰夫「任せてください!すぐにいきます!!」


ゴゥゥゥォォォンッッ!!!!


黒き咆哮が天を突き、空が震えた。

魔王軍の進軍は、今、始まった──。


ラウワ王「ちょっと待てええええええええ!!!」

王の叫びが城に響くが、もう遅い。


サクラ「──魔王軍、進軍開始ッ!!!」


──王都上空を、火の粉が舞う。


街の外れから、小さく火の手が上がった。


合図を受けた者たちが、次々と鬨の声を上げる。


空からは怒れる翼竜軍──


地からは“リズムにノってる魔物たち”。


住民の避難誘導をするアンデット。


荷物を持ってあげるオーク。


お年寄りをおんぶする悪魔。


子供をあやすスライム。


── まさかの理由で始まった “征服戦争”。


 そのきっかけは──たった一枚の請求書だった──。


……


── その直前。


モンスターたちが ── 一瞬、ざわついた。


オーク「……あの、やっちゃっていいんすか?」

ゴブリン「いや、支配しに来たんじゃ……?」

サハギン「ってかこのあと住む予定なんじゃ……?」


……なにか聞こえたけど、うるせー。知らない。些事だ。


サクラ「終わったあとで!!魔王軍が!!お前たちが!!」

「徹夜してでもちゃんと建て直せばさああああああああ!!!」

「いいよねぇええええええええええッ!?!?」


── 一瞬の静寂


魔物たち「「「ええ!?ブラック企業じゃね!?」」」


《*天の声:お前ら、気づくの遅くね?サクラだぞ?》


サクラ「はい黙れ!これが魔王軍だッ!!文句ある奴ァ……ここでちょっと殺し合いをしてもらいます。」(右肩をクイックイッしながら)


魔物たち「「「ハイィィィィィィィィィ!!!!」」」


火の手が上がった。

ノリと勢いと押し切りで、侵攻開始である。


── これは戦争じゃない。“感情”だ。

請求書に泣かされた女の、怒りの弁明──。


(つづく)



サクラ「街を建て直す金?王に出させろやぁあああああああ!!!!!」



◇◇◇


《征服ログ》


【征服度】:5 %(王都目前)

【支配地域】:オーミヤ(修繕中)→王都(予告焼却中)

【主な進捗】:

 ・サクラ、怒りの空中演説で債権回収宣言

 ・モンスター軍、金属音とノリで団結

 ・王、意味不明すぎて思考停止


【特記事項】:

 鍋は打楽器。請求書は導火線。

 魔王軍に必要なのは──サクラの機嫌取りと徹夜の根性。

 肩クイはバトロワの呪い。

 そして王都は──まもなく炎上予定。

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