#086 : 受付嬢ブチギレ☆石はヴァルハラ
こんにちはカエデです!
パン屋のおっソロさんに『宅配でもやってみたら?』って言われたけど、色々な人に怒られそうなのでやめました!
そこで、勇者らしく冒険者として食べて行くことに!
ほら、一応わたし勇者っぽいし!……たぶん!きっと!気のせいじゃなければ!
カエデ「が、がんばるよーっ!……たぶんっ!」
*この発想に至る時点で天然
おっソロさんが言うには「まずは身分証作りに冒険者ギルドに行っといで!まぁなんとかなるさね!あはは!」とのこと…。
そう決意した私は冒険者登録をしに冒険者ギルドに!
うぅ……不安だよぉ……。
──
冒険者ギルドに着いた私は、ギルドの中におそるおそる…えいッ!……入っちゃった。
カエデ「失礼しまーす……うわぁ…完全に場違いだな…」
ギルドは強そうな人達がたくさん!カエデショック!
受付で貰った登録用紙に必要事項を記入するみたい。
(勇者って書くと大騒ぎになっちゃうから、こ、こんな感じかな!?)
【カエデ / 人間 : 巨乳 / レベル1 / 備考:肩が凝るのが悩みです。】
受付嬢「職業が……巨にゅ………へぇ……肩が……ふーん?」
受付のお姉さんが用紙を見てから私の容姿を見て、ボソッと呟いたあとに書き足している?
【カエデ / 人間 : 巨乳 / レベル1 / 備考:肩が凝るのが悩みです。/ 受付注 : ナチュラルに人をイラッとさせるタイプ】
受付嬢「はい!ではこれで登録は完了です!」
受付のお姉さんは書類を棚に叩きつけていました。
カエデ「え……あの……ちょっと……?今、何か良からぬ事を書き足してませんでしたか…?」
私は受付のお姉さんに問いかけました。
受付嬢「はい!では次の人ー?オラァッ!早く来いよッ!……あ!巨乳の貴女はそこのイスに座ってお待ちくださいねッ(怒)」
カエデ「……は、はい。」
受付のお姉さん機嫌がとても悪くなっていたので、おとなしく言う事を聞かないと……。
…
その後、ギルドマスターさんとの実技試験を行うことに。
ギルマス「ふむふむ……れ、レベル1の人間……巨にゅ……な、何をしにここに来たんだ?」
ギルドマスターさんが私の登録用紙を見て驚いてました。
カエデ「えっとぉ……冒険者やってみたくて……あと、身分証とか?ほしくて……」
私はビクビク…
ギルマス「レベル1の巨にゅ……が旅に出たらすぐにモンスターの餌食になるぞ?」
ギルドマスターさんは帰ろうとしている…?
カエデ「でも!私は!他に出来ることも行く当てもなくて……。」
私は真剣に訴えかけた!だって真剣だし!カエデ真剣!
ギルマス「うーん……まぁ……とりあえず試験受けるか?……で、お前は何が出来るんだ?冒険者の荷物持ちか?」
ギルドマスターさんが険しい顔。
……んッ?……あれッ?……私は……旅で何が出来るんだろう?
私は途端に不安に。
あれ……どうしよう……何も無い……私は空っぽ……空っぽなんだ……空っぽの巨乳なんだ……。
すると、ポケットから声が…!
ウィルソン(ただの石)『カエデ!俺たちを忘れてないか?へへ!ほら!そこのおっさんに言ってやれよ!』
……ふわぁ!ウィルソン835世!!
あぁ!そうだった!私には頼もしい仲間たちが居たんだった!
私の目は光を取り戻しましたッ!
そして!ギルドマスターさんに言いましたッ!
カエデ「私は……私はッ!良い形の石を投げられますッ!」
私はポケットから取り出したウィルソン835世を見せながら鼻の下を指でへへん!
ギルマス「は?」
ギルドマスターさんは驚いてた!でしょでしょ?(*勘違い)
カエデ「見てもらった方が早いかな……えっと……そうですね……」
私は辺りを見回す。
カエデ「あ!あそこのマトに石を当てれます!」
私は遠くにマトを発見!でかした私!
ギルマス「え?あそこまで200メートルはあるぞ?」
ギルドマスターさんはマトを二度見しながら言いました。
カエデ「大丈夫です!……いくよ!ウィルソン835世!」
私はマトを見つめ、首を縦にふってから振りかぶり、腰を目一杯までひねり、振り上げた足を真後ろに向け……
ギルマス「……と!トルネード投法!?……え?投げるの?ホントなの?マジで?」
慌てるギルドマスターさんがトルネードなんちゃらとか、よく分からない事を言ってます。
カエデ「のもッ!」
私はそう叫びながらウィルソンを投げたッ!
ビュッ!!! ギュイーーーーーン!!! ズガンッ!!!!!
……パラパラパラ……
200メートル先のマトとウィルソン835世は砕け散った。
ギルマス「ひでおッ!?」
ビックリしたギルドマスターさんも叫びました。
カエデ「やったー♪ ありがとね!ウィルソン!成仏!成仏!してねッ!」
私は手を叩いてピョンピョン跳ねました。
ウィルソン835世の声と同時に天の声が聞こえました。
ウィルソン(ただの石)『へへ……ありがとうな……カエデ……先にヴァルハラで待ってるぜ……』
(カエデのスキル : 【ウィルソンを投げつける】のレベルが836に上がりました。)
ギルマス「……え?あ、あれ?……あのマトは魔法試験用でかなり頑丈に作ってあるんだけど……石で粉砕?……ちょっと色々追いついてこないんだけど……とりあえずさ?野球やった方が良くない?ご時世的にもさ!」
ギルドマスターさんは混乱している……?
《天の声 : ──だが本当の地獄は、ここからだった》
(つづく)