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魔王がポンコツだから私がやる。 ──恥ずか死した私の黒歴史。  作者: さくらんぼん
第07章 : カエデとツバキ──全世界が“理解”を諦めた日。
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#081 : パンに栄光あれ☆ホーリービーム♡


前回までのあらすじ

→ 大聖堂で説教をすることになった。ローザ仕事出来る。

 ツバキ「あの人の暴走止めろ!!!」


====================

……集いし者たちよ、沈黙せよ。

語る者はこの身なり。

呼ばれし名はツバキ──“異界に咲きし灼瞳の神子”。


この地に召喚されて幾星霜。

時は未だ定かならぬが、我が魂は既に多くの覚醒を経た。


汝らの“魂の器”は安寧か?

我は今朝、ひとつの奇跡に遭遇した。


それは──《神域の輪環》。


外殻は“サクリファイス・クラスト”、内核は“フワリス・エンジェリカ”。

触れし瞬間、記憶と感覚が次元の狭間で融合し、我はこの世界を一時、忘却した。


それはまさに──

“俗世の枷を断ち切る、禁断の芳醇”。


再び、あの聖なる断片を口にせし日を願っている。


されど──

何故、この世界には《沙士縛鎖麺包》が存在せぬのか。

あの甘辛の旋律は何処へ。


《暗黒の双角》も《天使の臓腑》も、未だ見ぬ幻。


これは……この世界の“喪失”か……それとも、我への試練か……。


嗚呼──

不覚……またしても“穀霊の啓示”ばかりを口にしてしまった……。


我が言霊は、今宵も暴走する宿命にあったらしい……。


──時は満ちた。

これ以上語れば、言葉は虚無となるだろう。


ここで、我が言葉を封印する。

聞き届けてくれたこと、深く感謝する。


(翻訳 :

 ……こんにちは、みなさん。

 私の名はツバキと言います。

 この地に召喚されてから、もう幾日かが経ちました。

 皆さん、お元気ですか?

 私は今朝、とても美味しいパンを食べました。

 外はサクッ、中はふわっとしていて、ほんのり甘くて──

 あの瞬間だけは、異世界だとか聖女だとか、全部忘れられました。

 またあのパンを食べたいなと思っています。

 焼きそばパンとかは無いんですかね?

 チョココロネとか、クリームパンとかも好きなんですよね。

 あっ、すみません。パンの話ばかりしてしまって。

 ……そろそろ話すことも無くなってきたので、ここで終わりにさせていただきます。

 聞いてくださって、ありがとうございました。)


挿絵(By みてみん)

[タグ]#ただパンの話してるだけ #深淵を感じろ

====================


“パンに栄光あれ。我が魂にバターを。”


──我、退場す。


「そして我らは──虚無を恐れるな!!!なぜなら……このツバキの左目が──」


ビーーー♡


天井がバゴンと吹き飛び、虹色のビームが一直線。


差し込む陽光に照らされた私は、ただ呆然。


信者たちが立ち上がり、歓喜に震える。


わー!わー!

 教徒A「ツバキ様ー!」

 教徒B「うおおおッ!!!」

 教徒C「今のが、神……」

 教徒D「まさにホーリービーム♡ッ!!」

 教徒E「……なぁ?ただのパンの話じゃなかった?」

 教徒F「黙れ!深淵を感じろ!!」


ツバキ「ライブ会場みたくなってる!?」


(助かった……ビーム様々……)


◇◇◇


──その夜。


「本日の闇の説教、大成功でございました!」


ローザが紅茶を運んできた。いつもどおりテンション高め。


「ふん…じ…序章に過ぎぬ」


なんとかクールぶって返すけど、内心ほっとしてる。


「それと、聖典の進捗報告です」


「……また増えたの?」


「はい!第四章『天を貫く灼眼』が完成しました!」


「……ま、うん。すごい速い。神速。たぶん」


「さらに昨夜の分も『黄昏の神託』として第五章に収録されました」


「…君たちは…暇なのかな…?」


ローザはキラキラした目で続ける。


「あと、“新たな儀式”が信者の間で流行中です」


「……儀式?」


「はい。“朝、あと5分だけ”と唱えることで夢の叡智に触れるとか」


「それ……ただの二度寝だよね!?」


「“夢と現の狭間を行き来する神秘の旅”とも」


「詩的に…しないで…!!」



(つづく)

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