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魔王がポンコツだから私がやる。  作者: さくらんぼん
第01章 : 転生してもAでした。
8/150

#008 : 勇者爆誕☆でも私、魔王軍ですよ☆

前回までのあらすじ

→ 大きいバカが小さいバカのバリアを殴ったらバリア割れたとこ。


◇◇◇


\\パリィィィィィン!!!//


まるでガラス細工のように、バリアが粉々に砕け散った。


【スローモーション開始】


 光の破片が宙に舞う。


 キラキラと輝きながら ── ゆっくりと落ちていく。


 バリアの向こうで、エスト様の目が点になる。



挿絵(By みてみん)

[タグ]#世界征服は無理そう #筋肉は裏切らない



 ヤバい!と気付いたエスト様!

 『ひっ』と声を絞り出す。


 そして、必死の形相で逃げようとするが……


 そのまま勢いの止まらない拳が──


 ゴツン!!『アゴッ☆』


 エスト様のアゴに、クリーンヒット。

 

 涙、鼻水、ヨダレがゆっくりと空に舞う。


 ── そして、ゆっくりと倒れる。


【スローモーション終了】



「……」



私は砕けたバリアの残滓を見下ろす。



(静寂)



「……薄いし、柔いよ……?」


私は拳とエスト様を交互に見つめた。


「えーっと……」


(…………)


(……やっちまった……?)


「どうしよう……」


──この時はまだ誰も知らなかった。


この出来事が、“魔王の致命的なウィークポイント”を世界に知らしめる第一歩になるとは──


◇◇◇


私は気絶したエスト様を見下ろしていた。


……簡単に気絶するほどのポンコツ魔王が、“世界征服”なんて……ムリ。


でも……言い出したのは妹だ。

だったらもう、やるしかないじゃん。


守るのも征服するのも、まとめてやったるわ。


家族ってさ?姉ってさ?そういうもんでしょ?


(うーん……家族……ね……)


(ぶっちゃけよく分かんないのよね……)


(まぁでも……頼られて、必要とされて、大切にされて……)


(私を呼ぶ声……あったかくて、悪くない。)


(うん……悪くない。)


「……姉?姉妹?……私が?暴力と逆ギレでできてる私が?」


── その時である。


《ぺったん ぺったん ずんどこどーん♪》(*レベルアップのテレレレッテッテッテー♪のリズム)


「わわッ!びっくりしたぁ……頭に直接聞こえてる?」


脳内にレベルアップ(?)のファンファーレが鳴り響く。


「ずんどこどーん♪じゃねぇええ!!何がレベルアップだよ!どこが上がったんだよ!?」(胸をガード)


【サクラのレベルが100に上がりました】


「……は?」


(……は?)


「……は?」


「レベル100?……は?この物語の最終回?」


「いや、ちょっと待て待て待て待て待てー!」

「なんで?今の何?チュートリアル?」

「え?私だけバグってんの?ねぇ?」



──天の声──

《理由はサクラだからだ。どうだ?納得だろ?》


「なんだよその理由!?」


(混乱中)


── その時、再び頭の中に響く声。


──天の声──

《ついでに魔王を倒したので勇者認定する。常識だな。世界の理だ。》


【称号「勇者」を取得しました。】


「は?ついで?今度は勇者?……え?ついでに勇者!?」



\\ ぺぺぺぺぺー⤴︎ぺったん♪ // ※効果音


「なんで効果音変わってるの!?(怒)」


================

【ステータスウィンドウ】

名前:サクラ

種族:鬼

レベル:100


▼称号:

- 勇者(成長補正【極】) ☆NEW

- ぺったん鬼女【呪い】

 → 全ステータス20%ダウン(笑)

- 世界一タフな性格


▼スキル:

- 怪力(Lv100)

- 暴食(Lv1)☆NEW(偏食から進化)

================


── かくして、勇者サクラがここに誕生した。


私は腕を組んで首を傾げる。


「えーっと……」


「魔王を倒したから勇者……なのかな……?」

「うん……まぁそうか……なるほど。わかるけどわからん。」


「……で、これから魔王と勇者が世界を征服するの?」


「勇者ってさ、普通“世界を救う”もんじゃないの?」

「私?“世界ぶっ壊す”側なんですけど??」


「勇者になっちゃいました!ついでみたいです!てへぺろ★」

「って魔王に?いや絶対めんどくさくなる未来見えた……」


私は拳を握り力を込めてみた。

身体の中から力が溢れる感覚があった。

壁を殴ったらどうなるか、怖いくらいに予感できる。


(やべぇ……マジで強くなってる……。)



── そんな時だった。


\\ ドガァァァァァンッ!!! //


壁が砕け、現れたのは──【キングベヒーモス】。

筋肉と怒気の塊、異世界の生態系トップ。


「うわああああ!?でっか!?」


「無理無理無理!!」


「え!?なに!?どうすんの!?」


私は後ずさりながら震え声で叫んだ。


挿絵(By みてみん)

[タグ]#虹色は混乱 #ヨダレがフラグの量 #理不尽な世界


──天の声──

《戦え。死ぬぞ。》


「戦う?アレと!?無理でしょ!?」

「いやいやいや、令和のOLにいきなりラスボスクラスぶつけるなぁぁぁ!!」


ベヒーモスが咆哮し、突進してくる。

その巨体が床を揺らす。


「やだやだやだ!!」


──ズルッ。


「ブフォッ!?」


ズシーン!!!


エスト様のヨダレに足を取られ、豪快に転倒するベヒーモス。


「え!?転んだ!?」


地鳴りの中で、私は腰を抜かした。


「でも怒ってる!!やばい!!どうしよう!!」


──天の声──

《スキル《怪力》を使え。》


「怪力!?」

「いやいやいや、私ジムの入会金も払えなかったOLだよ!?」

「筋トレ三日でリタイア勢だよ!?使えって何!?」


──強制発動──

【スキル《怪力》 Lv100 発動】


「え、ちょっ、待っ……力が溢れて──!?」


「これ本当に私の身体!?力入りすぎ!?」


全身に信じられないほどの力が宿る感覚。


「な、殴るよ!?殴っちゃうよ!?」


転倒していたベヒーモスが再び突進してくる。


「きゃあああ!……き、きききたぁあ!?」


「も!もももももう知らんッ!右ストレートだぁ!!」

私は叫びながら目を瞑り、全力で右手でパンチ!


ズドォォォォォン!!!


拳が振り抜かれ、轟音と衝撃波。


ベヒーモスの巨体は壁を突き破り、遥か彼方へと吹っ飛んでいく。


「ギャオオオオオ!!」


遠ざかる咆哮と共に、ベヒーモスは逃げ去った。

天井から瓦礫が降り注ぐ。


「……え?」


「逃げた?……逃げた!?」


震える拳を見つめ、全身ガタガタ震えながら呟く。


「怖い怖い怖い!!なにこれ!?私の手!?怖い!!」


「とりあえず有給使う……」(震え声)


(つづく)


※次回!勇者になってしまったサクラに危機が!?


◇◇◇


《征服ログ》


【征服度】 :0.1%(爆上がりに見えてまだ微増)

【支配地域】:常闇のダンジョン最奥(本人基準)

【主な進捗】:レベル1から100へ爆上がり。

       ついでに勇者になってしまった。

【特記事項】:称号「勇者」獲得。スキル構成はネタ寄り。

       暴走はまだ序章。

       魔王のアゴが豆腐 (NEW)

       キングベヒーモスを一撃で撃破。

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― 新着の感想 ―
レベルアップ&勇者認定おめでとうございます。でも、なんでなんでしょう。二度見したんですが、あんまり強くなった感じがしないのはなんでなんでしょう(笑)相変わらず効果音はぺったんを煽るし(笑)今回もとても…
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