#068 : 胸以外狙えよ!☆天丼バトル領主戦
前回までのあらすじ
→ 色々ギリギリだと思った。
◇◇◇
ガン!!!
モンスター領主が投げた瓦礫が私の胸に当たった。
サクラ「かはッ……」
エスト『お姉ちゃん!?』
辰夫&辰美「「「サクラ殿/さん!?」」」
サクラ「……ぐっ……くそ……油断した……って……あ……貝殻……痛くない……」
なんと!クミコ・ゴッデス・タケダさんが私をガードしてくれていた。
私は口に手を当て、目をパチクリしながら ビックリ!のポーズを取っていた。
エスト『な、なんて締まらない戦いなの…』(呆れ顔)
辰夫「はっはっは!サクラ殿らしいな。」(笑いながら)
辰美「こういうところが好きなんだよなー」(うっとり)
ジル「美しい……」(恍惚)
……ほんっと、しょうがないわね。
なんで毎回こうなるのよ。
“魔王軍”って看板、あるけどさ?実質ボディガードじゃん、私。
……ふふ。でも、いいのよ。
小娘が笑ってるうちは、それでいい。
私がやるわよ。誰のためでもなく、私のためにね。
私は仕切り直すように袖を捲りあげ…
サクラ「あービックリした!……とりあえず退治しますかね!小娘!周囲にバリアを張って街に被害が出ないようにしなさい!私の街になるんだしね。」
エスト様に指示を出す。
エスト『あいよー私の街になるんだし☆』
『ふふふ……こんな時のためにも考えてたの!
『その名も──《絶対迎撃魔障壁ちゃんグレート!》!』
エスト様を中心に強大なバリアが街の広場を覆った。
サクラ「ネーミングのクセが強い!!」
辰夫「おお……機能は完璧だな……」
辰美「え、これ自作!?理論構築どうなってんの!?」
エスト『凄いでしょ!?グレートがポイントだよ☆』
サクラ「成長したじゃん?ポンコツのくせに?」
辰夫「魔王っぽくなってきましたな…」
辰美「ちょっとかっこいい…」
エスト『えへへへ〜☆』
嬉しくてクネクネしていた。
いいね。この娘が嬉しそうだと私も幸せな気持ちになる。
ざわ……ざわ……
街の人A「あのモンスターに立ち向かってる人も鬼……だよな?モンスターだよな?」
街の人B「ジル様も一緒にいるけど……仲間……なのか?」
街の人C「領主様がモンスターだったなんて…」
ざわざわ……
人々はバリアの向こうからこちらの様子を見ている。
あとで色々とややこしいことになりそうだ。
サクラ「どうやら私に恨みがありそうだし、ギャラリーも居るから辰夫と辰美がドラゴンの姿に戻ったら……さらに人々を怯えさせることになるし……私がやりますか……ねッと!」
そう言いながら巨大な貝殻を生成し、投げつけた。
シュッ!!
領主(怪)「……ぐがっ!」
領主は飛んできた貝殻を振り払った。
領主が貝を振り払う隙に私は領主の背後に回り込んだ。
サクラ「あっはー!貝殻めっちゃ便利ー!」
そう言いながら貝殻を生成し、拳を覆いナックルにした。
領主の後頭部に右ストレートを放とうとする。
サクラ「喰らいなさい!良い子は真似しちゃダメな…後頭部パーンチ!」
スカッ!
領主は私のパンチを避けると、すかさず反撃のパンチをしてきた!
ガン!!!
サクラ「ぐっ……ん!?痛くない……?」
またしてもクミコ・ゴッデス・タケダさんが私を助けてくれた。
エ夫美『「「「いや!貝殻スキルさ!それ当たりスキルだろ!」」」』
領主(怪)「鬼の女……お前さえ居なければ……殺す殺す殺すーッ!」
領主の殺気がさらに膨らみ、再度パンチを繰り出す!
ガン!!!
サクラ「ぐっ……ゎーぉ……」
またクミコ・ゴッデス・タケダさんが(略)
私は読者の皆さんにゴッデスの写真集を買ってくれよなと思った。
エ夫美『「「「何枚付けてんだよ!領主も胸以外狙えよ!」」」』
一同のイライラがピークに達していたので、この天丼(お笑い用語)もここまでだなと私は思った。
領主(怪)「鬼の女…私はもう……終わりなんだよ……全て失った……しかしな……最高の気分なのだ!破壊が快感をもたらすのだ!ふははははは!」
私の肩がゆっくりと上下する。息を整えて、ひとつ、吐き出す。
サクラ「……ねぇ、領主?」
声は自然と静かになった。
怒ってるわけでも、叫びたいわけでもない。
ただ、伝えたいだけだった。
今のこの──歪んだ私を。
サクラ「わたし、ちゃんと間違えられてるかな。正しく狂えてるかな?……あんたの“正しさ”で測ってみてよ。そしたら──」
私は口元をゆるやかに笑わせた。けれど、目は笑ってなかった。
サクラ「ぶっ壊してあげる。そのモノサシごとね」
ずっとこっちは壊されてきたんだ。
誰かの都合で、誰かの“正しさ”で、勝手に決められて、黙って、飲み込んできた。
でもね──
今度は、私の番。
サクラ「だから今度は、こっちが壊す番なの」
……ふぅ。
サクラ「──さ、続きやろっか? モンスター領主さん?」
領主が拳を振り下ろす瞬間、私は真正面から拳をぶつけた。
ガキィィン!!
貝殻と領主の拳がぶつかり合い、衝撃波が走る。
地面に足がめり込む。私は一歩も引かなかった。
サクラ「はッ!いくぞ!!」
(つづく)
※次回!モンスター領主戦クライマックス!!
◇◇◇
《征服ログ》
【征服度】:3.3% ※進展なし(オーミヤ騒乱事件・貝殻防衛戦)
【支配地域】:オーミヤ(実質的影響力上昇中)
【主な進捗】:
・サクラ、貝殻スキル【殻体】に目覚める
・Fカップの夢を貝で盛る → ノーベルボイン章受賞候補(妄想)
・街に現れたモンスターはまさかの変異した領主
・エストの成長:魔障壁《絶対迎撃魔障壁ちゃんグレート!》展開
・街の民衆がサクラたちに注目し始める(良くも悪くも)
【特記事項】:
・辰夫:久しぶりに飛ぶ。(辰夫ロケット)
・エスト様:もう少しでエストミサイルの餌食。バリアもネーミングも成長(ダサいけど効果抜群)
・辰美:情緒の乱高下が止まらない。今日も末期
・サクラ語録:「わたし、ちゃんと間違えられてるかな。正しく狂えてるかな」
→ 作者はめっちゃ恥ずかしい。
◇◇◇
──今週のサクラ語録──
「わたし、ちゃんと間違えられてるかな。正しく狂えてるかな。」
解説:
正しく生きることに、もう疲れた。
誰かの“正しさ”を守っていたら、
いつのまにか自分の輪郭が、にじんで消えていた。
だからせめて、間違えるなら思いきり。
狂うなら、自分の意志で。
壊れる前に、自分で壊してしまえたなら──
それはきっと、“私”を守る唯一の反撃だったのだ。
……世界征服なんて、たぶんその延長線。
お腹すいた。