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魔王がポンコツだから私がやる。──Max Beat Edition  作者: さくらんぼん
第05章 : ど天然ポンコツ勇者カエデ流浪編
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#051 : 奇行種☆進撃の天然

こんにちは!カエデです!


あ!今度はちゃんと紹介しますね!

この子はウィルソン556世。

とてもとても大切な友達の良い形の石です。


きゃあ!?またモンスターだ!

「くらえ!ウィルソン☆ファイヤー!」


ふぅ。なんとか逃げ切れました。


「あ。……ふふ……これはまた良い形ね。

 あは。こんにちは。ウィルソン557世。」


(カエデのスキル : ウィルソンを投げつける のレベルが 556 になりました。)


「あ!わーい!またレベルが上がった!」


凄いんですよ!

このスキルのレベルが上がるたびに狙ったところにウィルソンが飛んでいくようになってるんです!


大抵のモンスターは目、眉間、鼻の下、顎のどれかにウィルソンをぶつければ簡単に逃げられるんですよ!

でも、良い子はマネしちゃダメですよ?


あれ?王都から放り出されて……何日目だったっけ?

数えてたはずなのに、もう分からなくなっちゃった。


お風呂入りたいなぁ……ちゃんとした布団で寝たいなぁ…

草はもう飽きたなぁ……ちゃんとしたご飯が食べたいなぁ…


……この街道はどこまで続いてるのかなぁ…


──


そしてさらに数日後……素晴らしい光景が私の視界に入ったのです!


そう!待望の街です!街を見つけましたー!やったー!


「やったよ!街だよー!ウィルソン835世!」


私は街までスキップしました。

その辺のスキップじゃないです。

両手を腰にあてて笑顔で首を左右に振るちゃんとしたスキップですからね!


そして街の入り口には衛兵さんが居ました。

衛兵さんは剣を抜き、身構えていました。


「あの……街に入りたいのですが……」


私はおそるおそる衛兵さんに話しかけました。


「あ……ああ……言葉は話せるのか……み、身分を証明するものはあるか?」


「いえ、ありません…。」


「あんなガチスキップでここに来た奴は初めてでな……

奇行種かと思ったんだ……少し調べさせてもらうぞ。」


なんということでしょう!ガチスキップが仇になるとは!


「まずは持ち物を確認させてもらう事になるが構わないか?」


「あ、はい。持ち物はこの袋だけです。」


私は唯一の持ち物である袋を見せた。


「この袋には何が入っている?」


衛兵さんはいぶかしげな表情で私に確認してきます。


「少しのお金とウィルソン……いいえ、良い形の石が 1,000 個ほど……」


お金は国外追放される時にヨハネさんがくれました。


「む。確かにこれらは良い形だな。石屋なのか?」


ウィルソン達が褒められて少し嬉しかったです。


「いえ。違います。通りすがりの巨乳です。」


「……きょ……?……そ、そうか…。」


「冒険者ですか?」


「いえ、通りすがりの巨乳です」


「商人ですか?」


「いえ、通りすがりの巨乳です」


「……。」

「……。」


(沈黙)(カラスの鳴き声)


「そ、そういえばお前はどこから来た?」


「はい。オサカの王都からです。」


「え?ここまで徒歩で?1人で?道中は危険なモンスターだらけだが……」


「あ、はい。まぁ……なんとか……」


「まぁいい。他に持ち物は無いのか?」


「まさか!?尋問からのボディチェック!?

 ……そうやってチェックするふりをして

 ……あんなことやこんなことを!?」


「……いや……ただの持ち物検査……まぁ良い。

 武器になるような物は持って無さそうだしな。通って良いぞ。」


「……それから!それから!そこでジャンプしてみろとか言って胸が揺れるところを……

 小一時間……見て……あ、あれ?……あ、ありがとうございます!

 それから武器はこのダイナマイトボディです!」


「……ほぅ。」


衛兵さんが爽やかな笑顔で剣を抜いたので私はそそくさとにげました。


── こうして私は無事に街にたどり着くことができました!


「街……街!街だあーッ!

 もうビクビクしながら生活する必要は無いんだ……安全なんだー!」


「わーい!まずは宿屋に!お風呂!ご飯!布団!」


私はガチップで街を進みました。


「わっしょい!わっしょい!え?違う?

 でも合ってる気がしてきたからOKです!!どすこい!どすこい!」


私は嬉しさのあまり立ち止まって張り手をして壁に鉄砲を繰り返しました。

街がざわついた気がしましたが、嬉しさでそんなの気にもなりませんでした。


そして!とうとう念願の宿屋を見つけました!


「宿屋だ!!!嬉しい!嬉しい!嬉しい!」


私のガチップの速度が上がります!

あとに聞いた話だと、左右に振る首が高速すぎて振ってないのかと思ったという人もいました。


── その後、私のガチップ姿を見ていた宿屋の店主から


「さっき "奇行種" みたいな動きしてたアンタか……

 申し訳ないけど…うちはトラブルはごめんなんでね。」


と言われて宿泊NGをくらいました。


「あれ……?どうして……?私、ただちゃんとした布団で寝たかっただけなのに……。

 ご飯も食べたかっただけなのに……。ウィルソン、また野宿だね……」


涙をぐっと堪えて空を見上げる。

満天の星空が、ぼやけて滲んだ。


今は空を……空を見ています。星が、星が……とても綺麗です。


(つづく)


※次回!カエデがとうとうちゃんとしたご飯とお風呂に入れる!?ポロリはあるのか!?(無いよ)


◇◇◇


《征服ログ》


【征服度】:該当外(カエデが街に到達し“人類の社会圏”へ進出)

【支配地域】:なし(野宿中)

【主な進捗】:奇跡的な旅路を経て街に到達。

       ガチスキップ&ガチップで目立ちすぎた結果、

       宿泊拒否されて星空を見上げることに。

       スキル「ウィルソンを投げつける」はLv556→Lv835に成長。

【特記事項】:

・スキル「ウィルソンを投げつける」は必中性能を獲得。

・石に話しかけながら旅する奇行がすでに警戒対象。

・ガチップ(ガチなスキップ)と張り手鉄砲により“奇行種”と誤認される。

・なお、本人は超絶前向き。心だけはいつも快晴。


◇◇◇


──【今週のカエデ語録】──

『わっしょい!わっしょい!え?違う?でも合ってる気がしてきたからOKです!!どすこい!どすこい!』


解説:

合ってなくても、楽しければOK。

意味は分からなくても、気持ちが前なら進める。

テンションで押し切る、それがカエデ式ど天然道。

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― 新着の感想 ―
 どこをどう突っ込みをいれればぁあああw  衛兵に奇行種と言われ  宿屋からも奇行種と言われ  スキップは……それとしても鉄砲っw  鉄砲www  読み続けていきませう!!
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