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魔王がポンコツだから私がやる。 ──恥ずか死した私の黒歴史。  作者: さくらんぼん
第05章 : ど天然ポンコツ勇者カエデ流浪編
51/168

#050 : 異世界☆キャストアウェイ(トムハ○クスさんは無関係)

挿絵(By みてみん)

こんにちは!カエデです!


突然ですが!今!大大大大大ピンチです!

略して カエデ Five ピンチ!


え?いつもピンチじゃないかって?

そうなんです!助けてください!


冷や汗が背中を伝います。

周りを見回すと、薄暗い森の中、木々の間から不気味な目が光っているのが見えます。

普段から運が悪いのは分かっていますが、今回は特別です。


えっと!実は今ですね?


……いち、に、さん、し、ご…なんと!


5匹のゴブリンに囲まれてるんですッ!!


ゴブリンたちは獰猛な目つきで私を見つめ、その口からは鋭い牙がのぞいています。

手には粗末な武器を持ち、私に向けられています。


……どうしよう……KDP(カエデ大ピンチ)です!


「こんなモンスターやっちまえよ!カエデ!」

友達のウィルソンがやたら強気ですが、こんなの勝てるわけがない!


「無理だよ!ウィルソン!ここは逃げようよ?」


……?……あッ!そうか!皆さんは知らないですよね。


紹介しますね。この子はウィルソン。



── その辺に落ちてた良い形の石です。



1人はとても寂しくて……どうしても…友達が欲しかったんだ……

ね?ウィルソン。


……あは。


……あれ…おかしいな……口から水が……


お腹減ったなぁ…おまんじゅう……食べたいなぁ……

私は手のひらの良い形の石を見つめました。


ウィルソンは私が泣いてる時……優しくしてくれた。

ウィルソンは野宿する時も一緒に寝てくれた。

ウィルソンと見た星空はとてもキレイだった。

ウィルソンはいつもいつも!一緒に居てくれた!


……そんな、大切な大切な友達のウィルソン。

大好きだよ?


……ねえウィルソン。


これからもずっと── 一緒に居てね?


「くらえッ!そんな愛と友情のウィルソン☆アタック!!」


私はウィルソンをゴブリンに投げつけてダッシュで逃げました。


「ゴブ!?ゴブゴブ!」(あいつ!?石と喋ってたぞ!)

「ゴーゴブゴブゥ……」(やべーヤツだよ…関わらない方が良い…)

「ゴブ…ゴブゴ……」(そうだな…深く関わるのはやめよう…)


ゴブリン達は怯えながら帰っていきました。


──


どうやらゴブリン達から逃げる事が出来たようです。


国外追放され、着の身木の実ナナ……じゃなかった!てへぺろ☆


着の身着のまま放り出された私。

服は汚れ、髪は乱れ、空腹で疲れ切っています。


それでも今の私は生き抜くしかないのです。


親友のサクラならきっとこう言います。


──『元気がない時は、大声で“ぬん!!”って叫んでみ?みんなこっち見るから。』──


懐かしい友人の名前を思い出し、大きな胸が締め付けられるような感覚に襲われます。


目を閉じ、深呼吸をして気持ちを落ち着かせます。


私は決意しました。


「ぬん!!」


「ゴブ!?」(何だ今の音!?)


ゴブリンが3匹走ってきた。私は2倍速で逃げた。

足つったけど根性で誤魔化した!

ウィルソンは落とした!どっかいった!


──


「ふ、振り切ったかな…はぁはぁ…」

まずは……人の居るところに行かないとね!


「街とか村とか無いのかなぁ…」


私は街道をひたすら歩く。


足取りは重く、疲労が全身に染み渡っています。

肩も凝ったなぁ。

それでも、一歩一歩前に進みます。

道端の草花や木々も食べられるかもしれないし!

よーく見ないとねッ!!


「お!良い形の石みっけ♪」


私は良い形の石を拾い、微笑みました。

「こんにちは!ウィルソン2世。」


その後、大きめのリスのモンスターに襲われました。


私は大きなダンゴムシがたくさん出てくる映画で得た知識


「大丈夫。怯えていただけなんだよね。」


をやってみようと、指を近づけたら噛みちぎられそうな勢いだったので、

親友のウィルソン2世を投げつけて逃げました。


(カエデのスキル : 【ウィルソンを投げつける】のレベルが上がりました。)


「わわッ!なんか聞こえた!ビックリしたッ!」


◇◇◇


「ねぇウィルソン。私、大丈夫かな?これからどうなるんだろう……。」


そう呟きながら、私は良い形の石をぎゅっと握りしめた。

ウィルソンは何も答えない。

でも、手の中にある冷たい石の感触だけが、私に小さな安心感を与えてくれる気がした。


(つづく)


※次回!異世界ぼっちのカエデにとうとう希望が!?


◇◇◇


《征服ログ》


【征服度】:未測定(勇者カエデがゴブリンをウィルソンで撃退し、スキルが進化)

【支配地域】:なし(野宿中)

【主な進捗】:カエデ、森でゴブリン5体に囲まれるも、ウィルソンを投げつけて逃走。

       続くリス型モンスター戦でもウィルソン2世を使用し脱出に成功。

       スキル「ウィルソンを投げつける」がLv2に成長。

【特記事項】:会話機能の無いウィルソンにひたすら話しかける勇者。

       天の声は本気でドン引き。

       生きるために“ぬん”を叫ぶ姿勢に、一部の読者から謎の共感が集まり始めている。


◇◇◇


——————————

★勇者・カエデの現在のステータス

  ・名前:カエデ

  ・種族:人間

  ・レベル:1

  ・スキル:ウィルソンを投げつける (レベル2)

▶︎ウィルソンと喋れる効果は無い。なんか会話始めたし…マジで引いてる。(天の声)

  ・称号:勇者

       → 成長補正[極]

       → エクストラスキル解放

  ・エクストラスキル :

      光魔法解放(勇者専用)

——————————


◇ ◇ ◇


──【今週のサクラ語録】──

「元気がない時は、大声で“ぬん!!”って叫んでみ?みんなこっち見るから。」


解説:

意味はない。けど注目される。

注目されたら、「今、生きてる」ってちょっとだけ思える。

だから“ぬん”は、生存確認用の叫び。

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― 新着の感想 ―
 ウィルソン君……  あれ? 石だよね……  怖いwww  カエデが怖ぃいいいwww  今までが濃過ぎて勘違いしそうだけど  カエデは薄味の中に何を混ぜてるの?
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