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#045 : 奇襲大成功☆火竜の顎に正義の背脂

目的の北の山が見えてきた。


山からは煙がのぼっている。


サクラ「ん……火山……なのか……」


私は目を細めて呟く。


辰夫「それで火竜が棲みついたわけですな。」


サクラ「なるほど……ね。」

「……さてっと、山登りは疲れるから辰夫に乗っていきますか。」


私は辰夫に笑顔を向けた。


辰夫「そうですな。我も徒歩で登りたくは無いです。」


サクラ「ドラゴンに戻って、私を乗せても空は飛ぶなよ!

「高いところ怖いんだから!歩けよ!貴様!その足はなんの為に付いてんだッ!?」


辰夫「り!理不尽!」


その後、口論を重ね…


サクラ「……だから!」

辰夫「……いや!そもそも!……なので!」

サクラ「……じゃあ!……そうする!!!」


……仕方なく低空飛行するところで折り合いをつけたので、山を登った。


辰夫は本来の姿であるドラゴンの姿に戻り、その巨大な翼で地面すれすれを飛んでいく。


山頂付近に差し掛かった時、突如として激しい咆哮が響き渡った。


私と辰夫の目の前に広がったのは、まさに戦場だった。


冒険者パーティーが巨大な火竜と死闘を繰り広げている。


サクラ「ん……あの3人は……?」


私の目が鋭く光る。


すぐさまアイツらはリンド村の酒場で絡んできた冒険者達だと認識した。


何故なら、私の復讐リストに載っているからだ。


私は嫌いなヤツには一生をかけて嫌がらせをするのだ。


辰夫「うーむ。敗戦色濃厚ですな。」


辰夫が冷静に戦況を分析する。


サクラ「じゃあ☆負けるまで待ちましょう。」


辰夫「サクラ殿……」


サクラ「だって嫌いな奴らだし?……あ!」

その瞬間、戦況が一変した。


火竜が巨大な口を開き、灼熱のブレスを溜め始めたのだ。

冒険者パーティーの顔から血の気が引いていく。


彼らの敗北は目前に迫っていた。


サクラ「……チッ!仕方ないな!」


── 私は辰夫から飛び降りていた!

私の体から放たれる威圧感が、戦場全体を覆い尽くす。


辰夫「……はは!ですよね。」


(我が仕えたかつての主は、冷酷だった。秩序の名のもとに民を焼いた……)


(だが──今の主は、笑いながら世界を壊す。誰よりも強く、そして……誰よりも、危うい)


(それでも、この背を預けると決めた。……今度こそ、間違えないために)


辰夫の口元に、微かな笑みが浮かぶ。

ちょっとだけ、誇らしそうに見えた。


そして、着地の瞬間──


サクラ「《怪力》── 深夜にラーメン食べて罪悪感】モード!!!!!」


ズアアアアアアアアッ!!!


空気が爆ぜ、周囲の空間が一瞬ざわめく。


サクラ「……いいの、誰にも見られてないし……」

「私が許せば、カロリーはゼロ……」

「……背徳感?うるさい!麺は裏切らないッ!!」

「油の海に沈んでも、私は生きる!」


(沈黙)


サクラ「うまいって言っちまった時点で負けなんだよおおお!!!」


──天の声──

《自己嫌悪による筋肉圧力の臨界突破。罪と油の力で腕力が 270% 上昇する。何故かは知らん。》


「いくわよおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」


サクラ「美しく!可憐で!儚く!そして……背脂ましましで濃厚こってりで替え玉無料ッ……!」

「深夜ラーメン罪悪感モード全開ーーー!私のーーー!右ストレートッ!んーーー!どっこいしょーーーぃッ!!」


ズドンッ………


右拳が火竜の顎を捉えた瞬間、四方八方に衝撃波が広がり、大地が揺れた。


そして火竜の巨体が宙を舞った。


辰夫「凄い!形容詞が一切当てはまらない上に……聞いてるだけで胃もたれする攻撃は初めて見た!」


辰夫は、これは深夜ラーメンの注文と食後の言い訳を同時に叫んでいるんだと思う事にした。


すぐさま弾き飛んだ火竜に視線を移す。


サクラ「良いツッコミね辰夫!ノってきたわよッ!!!縮地ッ!」


シュッ…!



──その瞬間、脳内にムダ様の言葉が響いた。

《敵の足は、夢へのハンドルなんだよ。掴んだらドラゴン・スクリューで回す。それが俺の運転免許》



意味はわからない。でも、回せばいいことだけは分かってた──!

宙を舞う火竜に一瞬で追いつき、火竜の右足を掴み、内側にきりもみ状態で倒れ込む!


そう。ドラゴン・スクリューだ!


サクラ「むっとーう☆けぇーいじッ!!!!!おつかれッ!!!!!」


ギュルルルルルルッ!ドガーンッ………


火竜の巨体がスクリューのように回転しながら、地面に突き刺さった。

衝撃で大地が揺れ、砂埃が立ち昇る。


サクラ「ッはーはーはははははーッ!またまた奇襲大成功ーーーッ☆」



── 火竜は動かなくなった。



サクラ「……でももういいや。明日から野菜食べるし?」(深夜ラーメンモード解除)


私の身体から力が抜けた。


辰夫「つ、強すぎる…サクラ殿…やっぱり何かがおかしい……というか、全部がおかしい……」


一方、辰夫は震えながら呟いた。



(つづく)


\\次回予告☆//


ナレーション(テンション高め)

「ついに火竜との大乱闘が勃発ッ! サクラの拳とラーメンの罪悪感が爆発する!」


サクラ(ドヤ顔)

『麺は裏切らないッ!替え玉も無料ッ!』


辰夫ガクブル

『深夜ラーメンで火竜を殴る意味が……意味がわからん!』


火竜(悲鳴)

『こ、この女……頭がおかしいッ!?』


ナレーション(早口で畳み掛ける)

「次回──『ヴが苦手☆改名ショック in 魔王軍』!」


サクラ(ニヤリ)

『お前の名前、今日から“辰美”な?』


辰美(涙目)

『えぇぇぇ!?』


ナレーション(キメ台詞)

「笑いと混乱の支配はまだ始まったばかり!次回も見逃すな!」


\\お楽しみにッ!!//


◇◇◇


──【今週のムダ様語録】──

『敵の足は、夢へのハンドルなんだよ。

 掴んだらドラゴン・スクリューで回す。

 それが俺の運転免許。』


解説:

教習所では教えてくれなかった。

でもムダ様は言っていた。

掴んで回せ、と── これで車の運転もできる。(できない)

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