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魔王がポンコツだから私がやる。──Max Beat Edition  作者: さくらんぼん
第09章 : 中二と天然と信者の、世界ぶっ壊し珍道中
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#105 : 聖典☆噛み跡が刻まれる

挿絵(By みてみん)

こんにちは!カエデです!


オサカを出てエドノに向けて旅を続ける私たち。

石畳の街道は思っていたよりも整備されていて、歩きやすくて助かります。


でも三日も歩き続けると、さすがに足の裏が少し痛くなってきちゃいました。

午後の陽だまりが心地よい中、いつものように私はローザさんと他愛もない話をしていました。


カエデ「ローザさん、エドノってどんな街なんですか?」


ローザ「そうですねぇ、商業都市として栄えていて、色々な国の商人さんが集まる場所だと聞いています。きっと珍しい品物もたくさんあるでしょうねぇ」


カエデ「わあ、楽しみ!美味しい食べ物とかもありそう♪」


そんな会話を楽しんでいると、突然ツバキが足を止めました。


ツバキ「……異形の気配が、途絶えている……」(……おかしい。モンスターが、一匹も出てこない……)


その瞬間、ツバキの表情が一変した。

いつもの厳しい顔つきが、さらに険しくなる。


カエデ「い、いったい何がおかしいの?」


心配になった私は、慌ててツバキに聞いてみた。

こんなに緊張した空気になったのは初めてで、何だか胸がドキドキしてくる。


ツバキ「闇の帳が降りしこの三日、邪なる者の影すら踏んでいない……不吉な……」(街を出てから三日経つけど、モンスターがゼロよ。こんな事、ありえない……)


ツバキの声には深刻な不安が滲んでいた。

目は警戒心でギラついてる。

まるで見えない敵に囲まれているかのように、肩に力が入っている。


……うん?いや、私けっこう見たけどな?

何言ってんだろツバキ?


カエデ「えっ?モンスターならさっきも来てたよ?」


私の言葉に、ツバキが振り返った。


ツバキ「はあ!?カエデ、何言って……オホン!…平穏なる幻想に飲みゃれたか……?」(はあ!?カエデ、何言って……オホン!…平和そのものじゃん!)


すると、隣でローザさんが「それだ!」って顔をした。

いつの間にかポケットから小さな手帳を取り出し、勢いよく書き始める。

===================

【聖女の御言葉】

「平穏なる幻想に飲みゃれたか……?」

【注釈】

⇒ 外的脅威がないことに疑念を持つ鋭き問い。真の平和とは、表面には見えぬ罠であると示唆。

===================


ツバキ「ローザ!?ちょっと待て、それも教典に載せんの!?ていうか今の、ちょっと噛んだし……!」


ツバキのツッコミが刺さる中、ローザさんはうっとりとページを撫でていた。


カエデ「ツバキ?でも、本当にいたよ?さっきも、その前も……」


どうしよう……信じてもらえない…ツバキに嫌われたくない…

そんな不安で胸がいっぱいになりかけた時、遠くの森の向こうに小さな影を発見した。


カエデ「あ!見て!あそこにいるよ!」


私が指差した方向を、ツバキが目を凝らして見つめる。


ツバキ「……遠き虚空の果てに蠢く影……!(え?……あー、確かに……)って、遠ッ!!あれもう背景じゃん!!」


その瞬間、またしてもローザさんがキラリと目を光らせた。

ローザ「いただきました!」

例の小さな手帳をすかさず取り出し、さらさらと書き始める。

====================

【聖女の御言葉】

「……遠き虚空の果てに蠢く影……!」

【注釈】

⇒ 視認困難なモンスターを即座に視認した際の詠唱。聖女様の千里眼が冴え渡る瞬間であった。

====================


ツバキ「ローザ?話をややこしくしないで?」

慌ててツバキが否定してたけど、ローザさんはもう聖女モード全開。


たぶんそのページ、後で装丁される。



(つづく)

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